音楽は語るなかれ

音楽に関する戯れ言です。

音楽遍歴 5 禁断の楽譜

2008-07-20 | 音楽遍歴


この頃、私はピアノ教室との約束をひとつ破っていた。それは教室から出された課題曲以外は絶対に弾かない事である。

当時歌謡曲が相当流行っていて、平凡とか明星という芸能界雑誌には必ず付録に歌の本がついていて当然五線譜も半分以上は載っていた。それらは、教室に通っている生徒には即興で意図も簡単に弾ける五線譜だから、先生はそれを避けたかったのだろう。だから良く学校で昼休みや音楽授業前の休み時間に、友人に弾いてくれと頼まれた。

勿論、それはとても簡単なものであったが、楽譜に普段気にしない記号を見つけた。

コードである。

Aとか、Cmとか記してある。そう、ピアノ教室では習わないものだった。

だから、メロディしかない譜面を片手で弾いていると両手で弾けないのかと、馬鹿にされた。一度、クラシック至上主義の先生に付録の楽譜を弾いているところを見つかり、私は何故かその時間は廊下に立たされた。

家では、母も、これはピアノ教室からの通達という訳ではないが、テレビで歌謡番組が始まるとこれは良い番組ではないと、すぐにチャンネルを変えた。

だから、信じられないかもしれないが私は歌謡曲というものを全く知らなかったが、幸か不幸か、そのジャンルの音楽を下にみたこともなかった。

ただ、コードの事はとても気になったが、教室の先生にも、学校の先生にも何か怖くて質問できなかった。

だが、ある時、やはり友人の持って来た付録の楽譜を弾きながら勝手に自分で左手の伴奏をつけれることが出来た。自分でも驚きだったが、これは聴音訓練の効果だったのかもしれない。格好いいじゃんとか何とか友人に褒められて調子にのり、色々な曲にチャレンジした。大概の曲は、3回くらい弾くと、左手の伴奏も調和する。

かなり得意気であったが、これは、将来の自分の鋼金との関わりに大きな汚点となることを、この時点では知る由もなかった。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。