東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

ピケティ入門

2015年02月02日 | 日記

 フランスの経済学者ピケティが来日し話題を呼んでいる。
 資本の蓄積が格差を生むことを緻密で長期にわたる調査により理論化した著書「21世紀の資本」(LE CAPITAL)もベストセラーになっているようだ。
 彼の理論は、金持ちの貯蓄によって資本は膨らむ一方で、経済成長(賃上げ)は萎むことを資本の第一原則、第二原則により明らかにしている。その克服のために、累進課税の強化と国際資本税導入こそ世界的な格差を解消する政策であるとする。

 来日中の講演会でも、経済の低成長が続いている日本などの先進国で「この数十年間、不平等が拡大している」と警鐘を鳴らしていた。一方、国会では、安倍首相がピケティの理論に否定的な見解を表明する場面もあった。
 ピケティの理論を分かりやすく解説した「ピケティ入門」(竹信三恵子著、金曜日)も好著である。
 この本で竹信は、アベノミクスは格差拡大の経済政策であることをピケティを引用しながら展開している。とりわけ安倍首相が成長戦略の柱にしている労働者保護ルール改悪は格差拡大の最たるものと批判。「解雇の金銭解決、新しい労働時間制度(ホワイトカラー・エグゼンプション、残業代ゼロ制度)」「限定正社員制度(地域限定、ジョブ限定、低賃金)」「労働者派遣法改定(生涯派遣法)」が主な内容だが、地方議会からは反対の意見書が続出している。
 また、「女性が輝く社会」政策は、女性の中の格差を広げ、外国人に低賃金で家事労働をさせる「上層の女性」と低賃金派遣労働を強いられる女性に分化する。
 この他にも、教育格差の拡大。貧困の連鎖。地方創生と最低賃金制の格差の矛盾などについても指摘している。一読をお勧めする。