大雪の光景を見て、長女がふる里に帰りたいな、と言ったが、家を出て何年になるだろう。高校は渋川市で過ごし、そのまま東京に出た。私も15才で東京での生活を始めたので、本人の望むとおりにしてやりたい、とは考えていた。
高校時代は演劇に熱中し、担任から「練習に打ち込む情熱を勉強にも」といわれ、先々を心配していたが、そんなある日、知人から「グラフぐんま」に娘が載っていると聞き、早速、「グラフぐんま」を開いてみた。
群馬県の人口が200万人突破した記念に、県が制作した「眠る男」という映画のカットで、商店街をバックに自転車を押している制服姿の娘が映っていた。
監督は「泥の河」などを撮った前橋市出身の小栗康平さんで、中之条伊参の廃校をスタジオにして撮影されたとは聞いていたが、まさか脇役でも自分の娘が出ているとは想像もしていなかった。
幸いなことに、小栗監督から「君は演技の才能はないから勉学に励みなさい」と言われ、次の日から勉強に没頭したようだ。そういう意味では小栗監督に感謝だ。
夏には帰ってくれば良い。