徒然にふる里を語る

 一市井の徒として、生まれ育った「ふる里」嬬恋村への思いをつづります。

墓地

2020-03-23 10:38:24 | Weblog

 彼岸の明けで、お墓参りに行ってきた。家内が朝から忙しそうに動いているので、私1人で共同墓地に向かった。彼岸の明けくらいお墓参りができないの、と言いたいところだが、その辺りは丸くなった。

 彼岸やお盆には、普段くすんでいる墓地の光景が一瞬華やかになる。我が家の墓も不釣り合いのほど、菊や色花で飾られていた。中日に姉と妹があげたのだろう。それに自分の持って行ったカーネーションや小菊を加えた。

 風が強いので注意しながら線香を手向け、「おさご」をまいた。墓は父親が建てたもので、中台には父親の字で「色即是空」と刻まれている。魂入れの折、菩提寺の住職がそれに気づき「誰が考えたの」と父親に聞いた。「倅がさ」と父。

 我が家のお墓には、戦死した伯父2人が刻まれた石塔が並んで建っている。お墓を改修するとき口論になったのだが、私には、祖父が飲みたい酒を断って、息子2人のために、やっとの思いで建てたものを撤去する気持ちにはなれなかった。

 忘れてはいけないし、忘れるべきではない、と今でもと思っている。