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人間が隕石にならないために

2021-10-06 22:58:25 | 

10月3日の朝日新聞グローブ No.246

絶滅しない経済学

限りない成長を求める人間のあくなき欲望に、自然が悲鳴を上げている。

大地や海の恵みには限りがある。この瞬間に地球上から生きものが

一つ、二つと消えていく。人間もその生きものの一つ。生態系の崩壊を

防ぐ取り組みが、様々な分野で始まろうとしている。

恐竜に学べ 人間が隕石にならないために

 大量の生物が消えていく現代は、「第6の絶滅期」とも言われる。われわれ人間が

生物多様性を追い詰めることで、私たち自身の生存も脅かされている。今から

6600万年前の「第5の絶滅期」に滅んでいった代表的な生物が恐竜たちだ。地球

上のあらゆるところに生息し、大いに繁栄した恐竜の絶滅から、われわれは何を学

べるだろうか。

 ティラノサウルス、トリケラトプス、イグアノドン・・・。全長1メートル程度の

小さな種から、30メートルもの巨体を誇るものまで、大きさも形も様々な恐竜たち。

今も続々と新しい発見が続き、年齢を問わずファンを魅了する。映画やアニメの題材

としても人気だ。

 恐竜が主にくらしていたのは、約2億3000万年前~6600万年前。多くの

種類が現れ、消えていきながらも、約1億7000万年にわたって恐竜の時代が続いた。

現生人類の歴史がたかだか約20万年、産業革命以降からは200年ほどしか経って

いないのを考えると、気の遠くなるような長い時間だ。

 「個々の種は一定の割合で絶滅しつつも、全体として特定の環境に特化した様々な

スペシャリストがおり、長い期間広い環境にしんでいたゼネラリストもいた。総合的に

多様化していた、非常に優れた生命だったといえる」と恐竜の研究で知られる、北海道

大学教授の小林快次は話す。現在注目するハドロサウルス科の中にも、エドモント

サウルスのように米北部のアラスカから米中部のコロラドまで広い範囲に見つかるもの

もいれば、ごく狭い地域にだけすんでいたと考えられる種もいた。

 恐竜たちは、約6600万年前の巨大な隕石の衝突を引き金として、現代に続く鳥の

祖先を残して絶滅していった。隕石によってまき散らされたちりが太陽光を遮り、気候

が寒冷化したり、植物が育たなくなったりした。寒さに適応できなかったり、エサを

失ったりした恐竜は滅んでいった。周囲の環境の変化が、生物にとって絶滅にもつながる

大きな影響を与えることがわかるし、恐竜に多様性があったからこそ、一部は鳥類とし

て生き残ったとも考えられる。

 現代の人間は、温室効果ガスを排出し、森林を伐採し、水や土を汚染している。こう

したことが、地球の気候を変え、すみかを奪って、生物多様性を劣化させる要因になっ

ている。小林は「今の地球上の生命にとって、人間の存在は、恐竜にとっての隕石に

相当するといってよい」という。

 そして、人間は「ヒト」という生物の一種でもある。だから誕生や繁栄とともに、

衰退も訪れる。人間もいつかは必ず絶滅する。生物多様性の恵みは、私たちの生活に

不可欠だ。それを傷めつければ、やがて私たちに跳ね返ってくる。今やっていることは、

自らの首を自ら絞めて、絶滅を早めているだけとも言える。

 ただ、小林は隕石と人類の間の違いとは何かを考えることも重要だと指摘する。

「恐竜にとっての隕石は地球の外側から来る、いる意味「どうにもならないこと」

だった。人間は自分自身で環境を破壊して、地球の内側から大量の生物を絶滅に

追いやってしまっている。逆に、隕石と違って我々は事態をコントロール出来る」

 小林は国連の持続可能な開発目標(SDGs)などの価値観が浸透し、78億人が

力を合わせれば、未来は変えることができると考えている。「現状は全く希望がない

わけではない。生物が多様だからこそ、ヒトの種としての寿命も延びる。自分たちの

ことだけでなく、地球の一員としてどう共存できるのかしっかり考える時だ」

 

★約6600万年前、約10キロメートルの小惑星がメキシコ・ユカタン半島北部

に衝突したことにより恐竜絶滅になったと言われています。これが「第5の絶滅期」。

 地球に大規模な被害をもたらすとされる1キロメートル以上の地球接近型小惑星

を全て検出する作業が世界各国で精力的に行われています。90パーセント以上

検出されています。今まで検出された地球接近型小惑星は、1万年先まで地球に

衝突の可能性はありません。

 地球に接近する小惑星を探す作業は、スペースガード又はプラネタリーディフェンス

と呼ばれています。日本では、岡山県井原市美星町の美星スペースガードセンター

で行われています。


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