ある医療系大学長のつぼやき

鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog

大成功のオペラ“ドン・ジョバンニ”~地域の人々の手による本物の芸術~

2010年03月08日 | 日記
3月6日(土)、2月16日のブログでご紹介した谷友博さん主演のオペラ「ドン・ジョバンニ」が三重県総合文化センターで開催され、私も“観客の一人”として観に行きました。“観客の一人”とことさら言いましたのは、この事業は三重県総合文化センター開館15周年事業であり、私が理事長をしている三重県文化振興事業団が主催者の一人なのですが、私はきちんとチケットを買って観に行きますので、“観客の一人”ということになるんです。

1998年から、三重県民を中心としてオペラ・バレエ・管弦楽・合唱など、クラシック音楽の活動事業を通して、県内の洋楽活動の活性化と人材育成を図る「三重音楽発信」という事業が続いており、今回はその第7弾目ということです。

キャストの中で、谷さんを含めて3人の男優だけが客演者で、あとはすべてオーディションによって選ばれた三重県に関係のある“アマチュア”の皆さんです。合唱は “うたおに”の皆さん、そしてオケは “三重フィルハーモニー交響楽団”でした。

実は、三重フィルのフルート奏者の岡本有希さんは、三重大の事務職員で、私がこの前、新任研修をさせていただいた方なんですよ。

オペラというと一般の方々にはとっつきにくい面があり、プロを呼んでもなかなか集客をするのが難しいのですが、この日はこの地域でのオペラの興業としてはかなり多い、約1000人近い観客が訪れました。そして、私も主催者の一人なので、観客がどのような反応をするのか耳をそば立てて聞いていたのですが、「すばらしかった」「よかった」「感動した」「大成功だ」という感想が、あちこちから聞こえてきます。翌7日(日)のキャスト総入れ替えのドン・ジョバンニを連日観るという人もいました。

また、出演者がプロと思っていた方々も多く、ほとんどの出演者がアマチュアであることを説明すると、みなさん、とってもびっくりしていましたよ。

三重大の職員たちも友達が出演するというので、付き合いでオペラを生まれて初めて観に来たところ、「オペラがこんなに楽しいものとは知らなかった。次にこういう機会があれば、ぜひ観たい。」と申しておりました。私自身も、今までオペラを見たのは数回しかなく、言葉も分からないし、あまり、楽しいと思ったことがなかったのですが、このドン・ジョバンニは、ほんとうに楽しく素晴らしいと思いました。歌手の歌唱力も非常に高く、演技も堂々とし、オケも素晴らしく、舞台装置も本格的なものでした。ストーリーも分かりやすいですしね。

オペラはお金がかかると言われており、通常オペラ創作には約1億円かかるそうですが、この事業は、総額約2000万円で済んだとのことです。岡田文化財団、財団法人地域創造、芸術文化振興基金からの助成もいただき、オペラとしては入場料をかなり安く抑えることができました。

三重県で、地域の人々自身の手による本物の芸術に身近に触れることができることは、ほんとうに素晴らしことだと思います。

このオペラの大成功には、音楽監督・指揮の星出豊さん、演出の直井研二さんのハイレベルのご指導とともに、三重音楽発信実行委員会、運営委員会の皆さんを初め、表に出てこない皆さんも含めて実に多くの方々のご協力があります。“女たらし”のドン・ジョバンニの漫画のパンフを書いていただいた県立志摩高校の漫画研究会の皆さんもありがとう。そして、この事業を通してさまざまな手配の作業から託児サービスまで、誇りをもって裏方で働いていただいた文化振興事業団の職員の皆さん、ありがとう。

三重県総合文化センターの事業には、このような掘り出し物がいっぱいあるんですね。これからも“そうぶん”の催し物には目を離せません。

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