参議院選挙が近いので、安倍政権論に触れておきたい。安倍一強といわれるが、副総理の麻生さんの役割を、菅官房長官よりも上において政治評論するべきではない。もちろん、菅さんの緻密な仕事ぶりは大事である。マイクロ・チップの働きである。しかし、この複雑な貿易・通貨戦争において、アメリカ、中国と対抗する「円のポジション」を保つ名監督としては、麻生さんの勝負勘は、官僚には全くない高度プロのさらにその上を読んで指揮をとっておられる。安倍さんの政治外交は、官僚の進言プラス、総合商社とトヨタなどの財界筋のサポートによる個人技がある。ただ、賑わいだけで実利は少ない。それに比べ、金融市場は高度プロの知識がいる。野村證券は世界で負けて、帰ってきた。三菱UFJは、中国人民元の仕切りにつき、外国銀行というハンディーを除去し、世界で最大の人民元のオペレーションに参加した。「一帯一路」でグダグダいいながらも、人民元経済を安く買いたたき、安定軌道にとり、日本円のオペレーションに最適の条件を作った。麻生さんが、中国共産党の総書記の一番に苦手な人民銀行を抱き着かかえ、安倍さんが米ドルの操作人であるトランプ大統領に抱き着き、耳元で小声で好感を売り込み、日本を最強のオペレーションに誘導している。つまり、6月末のG20は、各国首脳会議の前提となる各国の蔵相・財務大臣の会議が、コアーとなる会議である。金融市場の高度プロが、世界経済の大不況への引き金に安全装置を掛ける作業に集中している。実は、大阪G20の真の主役は、麻生さんである。
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