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朱子学の謎:理と気の二元論

2021年02月25日 | Weblog

朱子学は、理学とも呼ばれるが、普通は、孔子の儒学の継承ではなく、宋王朝の時代に易学から導いた「理と気」の概念を基軸とする哲学である。そのため、孔子の儒学にたいし、異質な「新儒学」と理解されている。しかし、「理と気」の、特に「気」の概念は、孔子に先駆ける管子に始まる。朱子学では、管子との関係を一切、断絶しているが、管子の「宙合」篇にみられる「気」の概念は、孔子にはほとんどみられない。孔子の易学は、「道と器」の二元論の哲学に帰結している。つまり、朱子は孔子の「道器」論ではなく、管子の易学から「理気」論を引き出している。また、朱子は、「孟子」をもちあげて、初心者が学ぶべき四書として、大学、中庸、論語、孟子を挙げており、孟子のみ「気」の概念を展開していることから、孟子を省くことができなかったと思われる。いずれにせよ、朱子学は、管子と孔子の学問の©長短を是々非々し、孔子の学問を組み換え、特に文献学として衰弱した孔子学派に、孔子の先の師である管子から「気」の概念を抜き出したことは確かである。

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