昨年秋、中国共産党大会で習近平総書記の再選が決まった段階で、金正恩は祝辞をおくり、関係確立に向けた対中工作を進め、今年、1月、中央対外連絡部長の訪朝により、中国の望む「朝鮮半島非核」のプランと、アメリカから引き出せる最大限の譲歩などの情報交換を進めてきた。その後、中国は、アメリカと朝鮮との裏面での直接交渉を重ね、その一連の合意事項を実行するにあたり、中国共産党の「承諾」という担保をアメリカから求められた。習近平総書記が、アメリカと朝鮮との事前交渉の経緯を承認するとともに、特に習近平政権が、北朝鮮の米朝の合意履行の保証人として名乗り出たわけである。その場合、和平解決を一枚看板にするアメリカの国務省のラインとの合意では、北朝鮮・中国からは担保性が低いので、アメリカ軍の総意のもとで、朝鮮半島の非核化と交換条件に、アメリカ軍がどこまで撤退するのかの担保のシグナルを求めた。トランプ政権がアメリカ軍の総意として、軍事力行使のリスク回避、北東アジアへの関与の度合いを低めるというシグナルが、財界出身の国務長官との合意では北朝鮮側が信用せずに、トランプ側が、誠実履行のシグナルとして、米軍の総意として、「非核化」の措置の履行を誓約した。それたいし、アメリカは北朝鮮が真に核兵器開発を停止し、みずから非核化を実行する担保として、中国政府の連帯保証を求めた。北京には、アメリカの外交代表が駐在し、北朝鮮の金正恩の代表団との最終確認は直接に可能である。なお、アメリカと中国との貿易摩擦のからむ米中の対立に関しては、李国強国務院総理に総括責任があり、経済貿易外交では、中国とアメリカとは激しく渡り合ってるが、交渉の題材も関係官庁の責任分担でも、全く次元の異なる外交チャンネルである。
日本人は、ほとんど勉強が足りていないので、習近平政権の「新時代の社会主義」の理論を北朝鮮が受け入れ、中国の東北三省と北朝鮮の「民生」に取り組むという「レボリュウション」テーストの急展開が理解できていない。今朝も、馬鹿な新聞は、中国は北朝鮮への経済制裁を強化せよ、と社説に書いていた。「日本海の新時代が到来するか?」という予測記事を書いたほうが正解である。習近平の頭にあるのは、日本列島を含めたユーラシア旧世界のロジスティクス・マネジメントを基礎とする「民生」の改善である。