富山マネジメント・アカデミー

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ユニ・チャーム共振の経営を読む

2015年12月15日 | Weblog

TMA講師代表の読書ノート:遅ればせに、高原豪久社長の本を読んだ。日本経済出版社から、2014年6月にでている。富山市立図書館でお借りした。先代のカリスマ経営者の専制システムであった企業が、息子さんへの世代交代で、グローバル企業として躍進する成功談である。

感心したのは、企業人としての社内マニュアルが、体系的に細かく文章にされていることである。マニュアルの共有化、見える化が達成されているから、社長と役員、社員との「共振」のコミュニケーションが、実効性をもつ理由が良くわかる。

これは、一般論であるが、人文・社会科学では、論者により言葉の定義は、各人各様である。しかも、思想が絡んでくると、言葉の流儀も違う。例えば、資本主義ということばを、社会主義の対義語として使用する論者には、私は冷たい視線を送る。単純な2分法であるからだ。僕は、古代から現代まで、人類の経済原理は、指令型経済原理、市場型経済原理、互恵型経済原理の3つの磁力が均衡する関係だと考えている。ところが、基本の考えが一致しているのに、指令型経済原理という名称が気に入らないという学者もある。要は、国家が税を集め財政支出する経済原理のことだと定義すると、名称が気に入らなくとも、財政の均衡論だと誰でも理解できる。市場型経済原理は、貨幣の価格を媒介に需要と供給とが均衡する経済原理だと定義すれば理解されやすい。互恵型経済原理は、無償の供与が基本である。大学院生のとき、戴いた奨学金は、返済を免除される官職を得たので無償の支援を指令型経済原理から供与されたことになる。その分、この国の大学教育には、報酬を上回る努力をしてお返しした。

このように、企業の文化として、社長から社員一同が守るべき社内マニュアルが、手帳の形で情報共有されていると、第何条の何の項目に外れているという注意も可能である。「共振」の経営とは、経営者の考えが現場で咀嚼され、現場での出来事が経営者に反映される関係を意味する。企業にとり唯一の目標に向け、努力のベクトルが一致している状態を保つには、絶えない共振のためのコミュニケーションが必要である。

企業文化として、マニュアルの用語集が伴っているには良いことだ。しかも、英語版もあるとのことだ。言葉の用法が違うと、共振という振動の周波数が狂ってくる。一読に値する名作である。やがて、紙おむつのお世話になる身には、ありがたい企業様である。

 

 

 

 

 

 


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