富山マネジメント・アカデミー

富山新聞文化センターで開講、教科書、参考書、講師陣の紹介、講座内容の紹介をいたします。

公立図書館の新刊の貸し出しは、出版業を歪めるのか?(改定)

2015年12月04日 | Weblog

TMA講師代表の私見:

一般に、図書館司書の世界では、貸し出しの数量計算に「冊数」が使われる。大学図書館や、学校図書館では、学生総数という分母が確定数なので、年間あたり学生総数に対し、何冊の書籍が借り出されているかで、その大学の入試以後の真の偏差値は分かる。文学部、人文学部などでは、有効な指数である。問題は、市民を対象とする図書館の場合である。

市民の総人口あたりの年間の貸し出し冊数では、あまりに漠然としすぎる。そうではない。大事なのは、図書という知的資本財を無償で貸し出すということは、「知財銀行」が、知の市場に無償で融資することになるから、貸し出す本の平均単価を仮に800円とすると、年間に1万冊貸し出せば、800万円の知的資本財を公的に融資したことになる。こうして、市民の頭とココロに、知性と徳性が社会資本として再活用されるようになる。

図書館は、知識を資本とする21世紀の世界にあっては、「知財銀行」と定義できる。従って、富山市の住民税の総額収入に対し、市立図書館の蔵書は、図書という知的資本財の蔵書価格の総額との関係で、数的な比例関係が計算できる。

貸し出しできる本は、無償で融資できる長期資本財と定義できるから、年初のストック残高に対し、1年間の融資総額が計算できる。このロジックは、大学図書館でも可能である。特に私立大学では、購買した図書価格がそのまま大学の資産勘定の資産の部に計上できる。大事なのは、平均単価×貸し出し総数=知的資本財の無償融資額が計算できることである。

このように考えると、公立図書館は、知識を資本とする21世紀の世界の「知財銀行」と再定義できる。TSUTAYAとタイアップするべきか、それに反対する進歩的市民団体との図書館戦争は、双方向に次元が低すぎる。では、新潮社の社長が、新刊図書は、せめて公立図書館では、発売から6か月間、無償貸し出ししないでくれという主張をしている。これは、馬鹿な図書館では、人気のある本は、何十、何百の副本を用意して、市民の期待に応えるから、こういう出版業界の主張も出てくる。しかし、図書館に常備されるべき、高価な辞典、年表、文献目録など、総記の類に徹した良心的な出版社も数多く存在する。出版界は、図書館のおかげで読者を失ったというのは言いがかりである。

富山市立図書館では、伝統的に複本は2冊まで。その代わり、人気だけで選書しないで、名著として長く使用できる知的な資本財となるもの広く選んでいる。

公立図書館がうまく運用できない自治体は、都市という公共財に占める知的資本財の無償融資の制度が、理論的な骨子であることが見えていない。賢い市民と、そうではない市民様の違いは、その自治体図書館を見ればよくわかる。もちろん、「良心的な図書館」というのにも、嘘がある。反政府的な市民運動のたまり場となっている事例がないわけではない。だから、TSUTATAと提携という選択肢も出てくる。


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富山県庁の地域振興課の「30歳の同窓会」プランは、良いアイデアですよ。

2015年12月04日 | Weblog

「30歳の同窓会」というのは、良い企画です。実は、そのアイデアの理論的な基礎は、このブログにすでに示している。パクリは、大歓迎。富山新聞文化センターの富山マネジメント・アカデミーが、凄い、と分かって戴けたら、それで十分である。僕も、無給で頑張ってきたかいがある。その証拠に、ネタ元となったブログ記事を再録しておきたい。

<TMA講師代表からの提案:「後期高齢者」というネーミングは嫌われているが、健康保険制度の制度なので、余計な批判はしない。ここでは、「後期高齢の若者」を話題にしたい。「後期高齢の若者」とは、27歳から32歳の6年幅のエイジ・グループである。孔子でも30歳という年齢には、意味を持たせている。大学院の博士後期を修了すると、順調に27歳で満了する。この間、4年制の大学を卒業し、就活し、新卒採用された若者は、まだ「前期の若者」である。そこから、2年、3年とたつと、生涯、最初に入社した企業に不安を覚える。この段階で、富山の企業が「第二新卒」として採用しても、「落伍者」を間違って採用することになる。社会人として不適格なひとが、転職、転社を希望しているだけである。危ない人材市場である。

ホントに頼りになるのは、業務の水準が一流で、主任、係長の候補者としてすでに認められている人材である。例えば、今は野村證券で活躍しているが、父母の介護を考えて、富山に帰郷をしなくてはならない人材である。富山市は、市職員として、こうした人材を積極採用している。すると、パソコンの業務アプリでも、一流企業の隠れた技術を富山の企業に転写できるからである。東京都の職員で、富山の出身者を引きぬくことである。だから、富山の企業は、ライン系は富山県立高校で採用し、土日は、私共のような富山マネジメント・アカデミー型の私塾で鍛えていく。それにたいし、スタッフ系やスペシャリスト系は、「後期高齢者」のために、30歳前後の一流企業経験者の採用が最適である。ネックは、勤続年数による退職金の不利である。それでも、30歳の採用で65歳までの雇用を続けると、勤続35年は保証できる。契約書による採用という採用方式もある。

富山の場合、営業・事務系は一皮むくと、富山商業、高岡商業の卒の文化が人材地層として見えてくる。それでは、グローバル化した現代企業の業務では間に合わない。英文メールをこなせるひとが多くない。だから、富山の企業は、東芝のような現場一流、経営能力三流の「一流企業」から帰郷を勧めるのが最適である。新卒の市場で、東京の2流以下の大卒を郷里に戻しても、彼らには一流の業務能力を一流企業のノウハウを盗んできているわけではない。>

県庁の狙いは、同窓会という仕掛けで、結婚の促進をねらっている。いつの間にか、富山県庁は、昔のやり手婆さんの「仲人」、ブライダル産業の支援に陥っている。それなら、ついでに温泉旅行の券も配ったらいかが。

県庁さん、大事なのは県民税の税収効果をあげるというスループット理論なんですよ。


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