レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

この国で選びたい! 選挙権と国籍

2013-04-26 05:00:00 | 日記
21年間継続してアイスランドに住んでいますが、私は日本国籍です。つまりアイスランドに住んでいる日本人ということです。国籍を取得する条件は全て満たしていますが、今すぐにそうするつもりはありません。

その理由は単純で、アイスランド国籍を取得すれば日本国籍を放棄しなければならないからです。アイスランドは二重(または多重)国籍を認めていますが、日本は違います。

この二重国籍の問題は大きなテーマなので、そのうちまた取り上げてみたいと思いますが、今回は選挙権に関わる範囲のみで考えてみます。

小国アイスランドでは選挙の仕組みもスッキリクッキリで、市や他の町村などの地方自治体選挙、明日の土曜日に投票されるアルシンキの国政選挙、そして大統領選挙のみっつです。これに特定の問題についての国民投票を加えてもいいかもしれません。

さて、普通考えれば外国人は選挙には関係ないと思われるでしょうが、実はここでは5年以上継続して居住している外国人は地方自治体選挙には参加できます(スカンジナビア人の場合は3年間です)。投票できるだけではなく立候補も可能です。

これは2002年に法律が改正され可能になりました。(スカンジナビア人に関してはそれ以前より道が開かれていましたが。スカンジナビア諸国は一種の兄弟国関係という意識があるので、少し特殊です)

法改正の際も得に反対はありませんでした。西欧に共通することなのでしょうが、こちらでは「タックス・ペイヤー」という意識がかなりはっきりしているので、外国人であれきちんと税金を払っている以上口を挟む権利があるとみなされているようです。

ただこれは国政にはそのままでは適用され得ません。国政には外交など国の独立性に関わる問題も含まれてきますので、外国人は残念ながら選挙権はありません。ただ二重国籍を持っている人たちは自分自身の母国での規制に引っかからなければ選挙に参加することができます。

というわけでアイスランドに住む日本人であるワタシは明日投票所へ行くことはできません。ちょっと残念。

その代わり、と言ってはいけないのでしょうが日本の選挙に投票することはできます。選挙があるたびにお知らせをいただいております。投票したことはありません。するつもりもありません。帰省の際に消費税を払う以上の税金は払っていませんし、海外派遣と違ってこれから先また日本で生活をする予定もない身としては、投票することがむしろ無責任なことに思われるからです。

翻って日本では外国人への地方選挙への参政権についても根強い反対がありますね。在日朝鮮・韓国人の人が約56万人、在日中国人が68万人という事情がある日本では、外国人への地方選挙参政権も二重国籍の承認も「国の危機」につながる、という危惧が強いのだと理解しています。

でもそれって公正なことなんでしょうかね?

なぜ日本に大勢の朝鮮、韓国、中国等の人が住んでいるということの経緯も大切な問題だと思います。それはさておいても、日本にずっと住んでいて同じように税金を払い続けている人がその払った税金の使い方に何の意見も言えない、というのはどんなもんでしょうか?

なんらかの危惧が本当に存在するのなら、具体的にどのようなものであるかを明らかにしたうえで、その危惧を解消するための手だてというものを考えることはできないのでしょうか?

これはかなり基本的な人の権利の問題だと考えます。日本でも議論があるのは承知していますので、それが創造的な方向で継続されることを願います。

また同じことが在アイスランドの外国人の国政選挙権についても言えると考えます。そちらの方は、こちらにいる当事者たちが声を上げないといけないですね。

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