レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

アルシンキ - 小さくとも国会

2013-04-24 05:00:00 | 日記
前回書きましたように、アイスランドの国会であるアルシンキの議員の選挙がこの土曜日に行われます。定員は63議席。現在の与党は社会民主党とレフト緑の党です。

アイスランドの伝統的?な政党はこれら与党の他には、金融危機時の与党(社民党との連立)で、それまで万年与党だった独立党、地方を基盤にした進歩党があります。

進歩党は実際には保守等なので、「進歩」を意味する「framsokn」という単語は実際には「保守的」ということを意味してしまうことがあります。アイスランドの人たちは本当に「進歩的」ということを意味したい場合には別の言葉を選びます。エエイややこしい...

以上はわりと歴史のある安定政党なのですが、金融危機真っ只中での前回選挙時には、市民運動系の運動党が誕生しています。さらにアルシンキではないのですが、レイキャビク市の選挙時に同じく市民運動系のベスト党が躍進しました。現在の市長の党です。

今回のアルシンキ選挙では、上記の運動党がピラター党と夜明け党へ分裂発展、ベスト党も市政から国政へ進出を狙い明るい未来党を形成しました。

この他にも新憲法の制定を促す民主主義ウォッチ党(かなり無理矢理な訳ですが)やライト(右)緑の党、家庭党、虹の党、その他の新しい党派が出来ています。数が増え過ぎて従来の投票用紙の形式では間に合わない、と選管は慌てていると報じられていました。

さて、アイスランドの選挙が日本と一番違う点は、ここでは100%比例代表制であることです。つまり各政党は比例代表名簿を選挙時に提出し、有権者はその名簿を選ぶわけです。

選挙区は六つあるのですが、議席は10の選挙区が3、11の選挙区が3あります。政党はそれぞれの選挙区での比例代表名簿を提出します。規則を詳しく調べてないのですが、定数の倍数はリストに載るのが通常です。つまり定数10の選挙区なら20人の候補者が必要になります。

ところが実際にはひとつの選挙区で、ある特定の政党が獲得できる議席というのは多く見積もって5。ですからプロの?政治家を目指す人は上位4位くらいまでには入る必要があります。

もっともアルシンキは議員のメンバー交替が可能で、例えばある議員が病気などで休養する必要がある場合は、名簿の次点者の中から交替議員が出ます。ですから名簿の上位にいれば、当選しなくとも国会に参加する機会は十分にあります。

その名簿の順位は大体選挙の半年くらい前に各政党ごとに行われる予備選挙で決められます。これは政党内選挙で「誰々を1位に!」というようなことを決めるためのものです。アメリカの大統領選のミニミニ版のようなものです。

予備選挙はある一定規模のある党では行われますが、新しい市民運動系の小政党では省かれることの方が多いようです。そういう党は普通特定のカリスマ候補?によって動いていますので、選挙をしてまで決めるものでもないようです。

で、先ほど述べましたように、名簿状は20人登録されていても実際に国会活動に関わる可能性があるのは上から6人が限度でしょう。ですから下位の12、3人は飾りということになります。この「飾り」にはシンパである学識文化人や著名人、はたまたそこらのおっさんが入ってきます。

今回の選挙、実は保守である進歩党が大勝ちするという予測が出ていました。今はちょっと落ちてきていますが。いつもはないような「大勝ち」で困ることは、名簿のずいぶん下位の方まで国会に関わる人が出てくるということです。

もともと名簿の飾りの意味で名を連ねた人たちが、実際に国会運営に引っ張り出されたのでは当人も困惑するでしょうが、国民もたまったものではありません。節度ある範囲に落ち着いて欲しいものです。小さくとも国会なんですからね。
...というようなことを言うのは、これも保守的かな...?


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