レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

あわただしい一週間

2014-03-06 05:00:00 | 日記
昨日の水曜日からアイスランドの教会の暦では「ファスタ」と呼ばれる「受難節」に入りました。復活祭(今年は四月二十日)までの四十六日間の期間のことをいいます。受難節は四旬節とも呼ばれます。四旬節は本来は四十日間を意味するのですが、教会では日曜日を含まずに数えるので実際は四十六日分になってしまうわけです。

この受難節というのはキリストの十字架への道行きを偲ぶ期間ですので、どちらかというと沈痛な重い期間になります(少なくともそのように期待されています)。そこから受難節中は肉食を断つとか、はしゃいだイベントをしないとかのいろいろな習慣が昔より生まれてきました。

そしてそのようなつまらない?受難節に入る直前の週三日間-つまり今週の前半ですが- には最後のあがきで楽しく過ごそう、というカウンターアクション的な習慣が、これも昔日より培われてきました。

例えば今週の月曜日は「ボル・ダーグル」という老若男女がそろってシュークリーム的なお菓子を食べる日でしたし、火曜日は「スプレンギ・ダーグル」という塩漬け肉や豆をお腹が破裂(スプレンギャ)するくらい食べる日でした。

さらに受難節初日である水曜日は「灰の日」または「オスク・ダーグル」と呼ばれる日で、これは灰をかぶって受難節を向かえる、というもともと厳粛な日なのです。昔のユダヤ今日の習慣で、人は嘆き悲しむ時などに灰を頭からかぶったことに由来しています。

ところがなぜかアイスランドでは、この日は子供たちが妙な衣装で仮装をし、歌を歌いながら近所を回ってお菓子をもらう、というミニ・ハロウィーンと化してしまっているのです。調べたところ、これはどうもカーニバルの遺産のようです。

受難節の始まりとして「灰の日」に特別な礼拝式を行う教会も世界には多くありますが、なぜかここアイスランドではあまり重きが置かれていません。次の日曜からが本当の受難節、という思いの方が強いようです。

これらの日の由来については昨年書いていますので、関心がある方はそちらも参照してみてください。

ボル・ダーグルはこちら

スプレンギ・ダーグルはこちら

オスク・ダーグルはこちら



というわけで、スペシャル・イベントが三日続くこの一週間はやはりせわしないというか、慌ただしい雰囲気の週となってしまいます。とりわけ家庭に小さな子供さんのいるところでは、シュークリームを食べないわけにはいきませんし、子供の仮装の衣装の準備も必須ですのでせわしなさも避けようがありません。

子供が大きくなってしまえば仮装だの衣装だのは縁が遠くなりますし、シュークリームや塩漬けの肉も別に無理をして食べる必要はありませんので、「あれ?今日はボル・ダーグルだったのか」などとうっかりする人もあるかもしれません。私自身のところではどうだったかといいますと、火曜、水曜は極めて平穏でしたが、一番初めの「ボル・ダーグル」だけは多少走り回ることになりました。




年一回の楽しみ、マイ・シューたち


このアイスランド的シュークリーム、いろいろなバラエティがあっておいしいのです。シュー皮も日本のシュークリームのようなものと、デンマーク風の何というか少しドーナツのような感触のものと二種類あり、かつ中のクリームにもバニラやラズベリー、ブルーベリーなどのように種類があります。

加えてトッピングがチョコレート、ストロベリー・チョコ、キャラメルのコーティングだったり、その他何と称するのか知りませんがプチプチ・チョコやシュガーパウダーがまぶしてあるものもあります。

要するにワタシはこのシュークリームが食べたいのです。普段はほとんど甘いものには関心がないのですが(アイスクリームは例外)、一年に一度この時期だけは食べます。大量に。大事なことを付け加えておきます。アイスランドではこの時期以外はシュークリームは売っていません...

ここ数年は「ボル・ダーグル」に先立つ土曜、日曜にもスーパーやベーカリーではシュークリームを売り始めています。こういうのを「嬉しい抜け駆け」といいます。v(^^)/ 

ワタシはまず土曜日に娘とパン屋さんへ行き、シュークリーム十個をゲットしました。子供たちがみっつ食べましたが(ケチ?娘はダイエット中なんです)、残りはワタシ専用。週末から月曜にかけてゆっくり食べるつもりでした。

すると娘が「そんなに日持ちしないよ」
「大丈夫だよ、三日くらい」
「ネットにケーキ屋さんでバイトしてた人が書いてる。カスタードはすぐいたむので消費期限は当日のみ、だって」

ええい! 余計なことを書く奴がいる。それにここのシューはカスタードを使ってないから大丈夫だ。と、自分的には納得しましたが、考え直して作戦を変更。土曜、日曜で自分用の七個を消費しました。月曜の本番日にもう一回買いに行けばいいのだ。

ということで月曜日の午前中に仕事を抜け出したのですが、同じパン屋さんに行くのは恥ずかしかったので、隣りのスーパーへ。ところが例年特売場を出すそのスーパー、今年はなぜかやる気なく申し訳程度にしかシュークリームはありません。

そこで慌ててスーパー2へ。そこにはあることはありましたが、ちょっとクオリティが下がるものばかり。やはりパン屋か、ということで再びカローラを駆って同じパン屋さんへ。ようやく新たに八つのシューちゃんを確保したのでした。

邦人の女性の皆さんの中には自分で皮を焼いてクリームを仕込む方も大勢います。ちゃんとFacebookで写真もアップしてたりしてさすがです。でも、誰もワタシに分けてくれません... まあ、姪から申し出はありましたが、チョト遅かった。

受難節に入る一週間は、かくて己の中の物欲、食欲、所有欲とせこさを痛感する時となったのでした...


応援します、若い力。Meet Iceland


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is

コメント (2)
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