レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

旦那の日と奴隷

2013-01-21 05:00:00 | 日記
日本で七草がゆを食するのはいつか、そして七草とは何と何か?と問われても答えに窮する人は少なくはないと思います。(やたらに人を巻き込むのはやめにします。「私は」窮します、ということです)さらに何故そういう風習ができたか?と突っ込まれたら完全降伏です。

日本でさえそうなので、アイスランドではなおさらです。毎年一月末から二月にかけて「古く伝統的な料理」というのを食すことは知っていましたが、詳しい由来は知ることなく過ごしてきました。今年はブログの効用で少しだけ調べてみました。

まずこの伝統食は「ソラブロート」(ソリの捧げもの/食事)というのですが、このソリ(ソラはソリの連語形です)というのはアイスランドの古い暦の中での第四の月のことを言います。このソリの月は大分古くからの文献にも残っているようで、十二世紀の古写本の中でも触れられているとのこと。「ソリ」(Thorri)というのは人の名前で、今でも使われています。

ソリの月は冬の第十三週の金曜日から始まることになっており、現代の暦で言うならば一月の十九日から二十六日の間に納まります。今年の場合は一月二十五日から「ソリの月」に入ります。

このソリの月の第一日を特に「ボンダ・ダーグル」(「ダーグル」は「日」の意味)と呼びます。「ボンダ」というのは「農夫」のことを指しますし、同時に一家の主人、旦那と言う意味もあります。ということでこの日は「父の日」ならぬ「旦那の日」というわけです。

由来が古い分、このソリの月の伝統行事がいかなるものであったかは不明なことも多いようですが、このボンダ ・ダーグルにもそれなりの習わしがあったとのことです。農家の主婦はこの日の晩に農家の敷地の表門までソリを迎えにでます。そして家に残った者は全て立ち上がってうやうやしくソリを招き入れました。(この辺は全てWikipediaの受け売りです。m(_ _)m )

もちろん今ではそのようなしきたりを実践している人はいないと思いますが(絶対とは言いませんが)、「旦那の日」としてご主人に花を贈る主婦の方々はいらっしゃいます。ついでに約一ヶ月後、ソリの月の翌月ですが「妻の日」がありますので、男女平等です。

で、このボンダ・ダーグルの晩に当時のご馳走を食べて晩餐を祝ったのが「ソリの捧げもの/食事」のひとつの由来のようです。もうひとつの由来は古いお話しの中でノルウェーのスナイル王の子の一人、ソリは毎年冬の中頃に生け贄を捧げたとの記述があり、ここからソリと言う月の名前と食事が来ている、というものです。

ただし、いずれにしても現在アイスランドでこの時期に「ソリの捧げもの/食事」として食しているものは、この古のボンダ・ダーグルの晩餐とは別物であるとのことです。それについては次回に書きてみたいと思います。

最後に、ソリの月の最後の日のことを「ソラスライトゥル」と言うのですが、これは「ソリの奴隷」という意味です。何だこれは?と思っていくつか調べたのですが、なぜこういう名称がついているのかまだ不明です。「旦那の日」で持ち上げられておいて、最後は奴隷化し、翌月の「妻の日」に続くのか...旦那の運命?と勘ぐってしまいました。

本当の由来は何なのでしょうか?
コメント
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