レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

ソリの捧げもの

2013-01-25 05:00:00 | 日記
前々回は「ソリの月」というアイスランドの古い暦の中の月のことをご紹介しました。そのソリの月は今日二十五日から始まります。今日はボンダ・ダーグル、「旦那の日」です。今回はこのソリの月に食されるアイスランドの伝統的食事である「ソリの捧げもの」についてです。

ソリの月の由来は十二世紀くらいに遡る相当古いものがありますが、現代のアイスランドでソリの捧げものと呼ばれている食事は割と新しいもので、十九世紀になってからのメニューであるようです。これはコペンハーゲンに留学していたアイスランドの学生が故郷を懐かしんで食べたとか、あるいはレイキャビクの考古学会がパーティーを古の仕方で催したのが始まりとかの説があります。

さて、その現代的な-とはいえ伝統的なのですが-ソリの食事、具体的にはどのようなものなのでしょうか?

まずは魚の干物ですが、これはごく日常的に食べられています。おいしいですよ。

次は、レバのソーセージ、ブラッドプディングなどの「もつ食材」です。これらは昔日においては乳酸と共に樽漬けにして保存されたようで大切な保存食でした。

同じ酸っぱい系ですが、それより臭さの方が強烈なサメをアンモニア発酵させたもの。加えてクリスマス前のソルラウクス・メサにも食されるアンモニア発酵のエイも登場します。

そして主役は何と言ってもスヴィズと呼ばれる羊の頭を煮たものでしょう。羊の頭はなぜかかは知りませんが、正面から真っ二つにカットした形で売られています。食べられない部分を取り除くためかもしれませんね。ただし目玉は付いています。

これらをロウバと言う黄色いカブのようなものを煮ておろしにしたものやジャガイモと一緒にいただきます。



分かりにくいかもしれませんが、中央上は羊ちゃんの頭の右半分です
-Myndin er úr www.skeidgnup.is-

このようにソリの食材は大旨「もつ系」で、保存の関係から酸味をおびたものが多いのです。「美味しいか、不味いか?」と聞かれたら「不味い」です、ワタシ的には。魚の干物は美味しいです。羊の頭もいけます。目玉も大丈夫です。その他の物は全部ひとくくりにして「不味い」で構いません、ワタシ的には。

ユダヤ教に「過ぎ越しの祭り」というものがあります。この祭りの際にはユダヤ人はパン種を入れないで焼いたパンや苦い菜を食べることになっています。これらは神がユダヤの民を救い出した「出エジプト」の出来事(救いではあるが、決して楽なものではなかった)を忘れないためのものと言われます。

このソリの食事も「昔はこういうものを食べて、おいしいと思ったんだ」という教訓的な意味で食べるのであれば大切なことかも、という気はします。

ある食品メーカーでは、それでもこの「ソリ食のパック」が二千食は売れるだろう、と見込んでいるとの記事が新聞に出ていました。この数、一体多いんでしょうか、少ないんでしょうか?ビミョー?
コメント
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