教えて!TOSHIさん:ブログ版

ライブハウス<T☆ROCKS>のオーナーTOSHIによる、音楽や音楽以外・・のお話!

ボーカリスト事情

2018-02-14 | 音楽的アドバイス

バンド内での永遠の課題(問題?)におなじみの音量問題と

言うのがある。

楽器類は聞き取りづらくなるだけなのだが、やはり

一番影響を受けるのはボーカルだよね。

 

以前、バンドのアドバイスでこう言ったことがある。

「とにかく全員音を下げろ」

良いボーカリストがいたんだけど、後半必ず声をからして

まともに声が出なくなる。

本人は、もっと練習して喉を強くしないとなどと言っていたが、

根本の問題はそこではない。

周りの音がでかいから、声を通そうとして無理して大きな

声を出し続けなくてはいけない。

そのため負荷がかかり、数曲で喉がオーバーヒートすると

言うわけ。

 

意外と歌っている本人は気が付かなかったりするんだよね。

やっぱり周りの環境に影響されて合わせようとするからね。

そのバンドはちょっと尋常じゃないくらい楽器の音が

大きかった。

それじゃボーカリストもつぶれるわ。歌ものだったからもったいないと

思ってね。ヘビメタならまだしも。

 

歌ったことがない楽器隊の人はあまりピンと来ないかも知れないけど、

ちょっとでいいから歌う人を意識してあげて欲しい。

そりゃ、自分のギターの音は気になるでしょうよ。

他の音なんてどうでもいいのはよくわかる。

スネアなんざどうだっていいのももっともなんだけど、ことボーカルだけは

音量調節が効かず、また周りの音を頼りに歌うしかないので、なるべく

聞き取りやすい音で、自分の声が聞きとれる音量や音質にしてあげると言う

ことを常に考えて音を出してほしい。

 

とは言え、遠慮して不満が残るまま演奏しろと言うのではない。

ボーカリストってやつのこともアウトオブ眼中でなく、「これでちゃんと

歌えるだろうか?」と少しだけでいいので心配してあげると言うか想像して

あげるだけで良い。

その際は音量だけでなく、”音質”も考慮すると尚良い。

やはり歌にとって一番近い周波数はギターだと思われる。特に500Hzから

2kHzくらいまでのいわゆる中域から高域かなあ。(定義はないけど)

ベースやシンバルが邪魔で歌いにくい・・・ってのはあまりないだろう。

同じ音量(デジベル)だったとしても高域(1~4kHz付近)がどれだけ

出ているかでも随分と印象が変わるし、歌いやすさにも影響する。

理想はどの楽器や歌も出している周波数が被らないことが望ましいけど、

さすがにそれは不可能で、本当は殆ど被りまくっている。

ただ、強調する(受け持つ)帯域が多少ずれているだけだ。

だからその”楽器が受け持つ帯域”を出して、他はなるべく削ってあげる方向で

考えればいいと思う。

ギターであればほぼ100Hzから下はベースでまかなってくれるのでわざわざ

協調する必要はない。なんなら200Hzあたりから下もいらないくらい。

デスメタル系なんかでギターもものすごい低域を出していたりすると、

ベースの音なんて判別できないことが多々あるでしょう?

まあ、そういうことですよ。(その音楽のかっこよさにもつながっている)

ドラムはバスドラからシンバルまでそれこそ低域から高域まで広域にわたって

音が出ているし、そもそもボリュームコントロールはついていないので

自力で制御するしかないんだけど、やはり曲や歌に合った鳴りを追求し、

コツとしてはハイハットは常に鳴っているのでやかましくならないように

意識するといいと思う。そしてタイトに叩くことが重要。つまり16分音符で

すべてが納まっているのが望ましい。いわゆる縦の線がずれると音が濁って

くるのでとたんにやかましく、また汚く聞こえる。

 

繰り返しになるが、被らないようにするのは不可能なので、その

イメージで考えるといいと思う。

 

 

 

そして同時にボーカリストにも言いたいんだけど、バンドのボーカルを

やるってことはせめて人並みの声量くらいは備わっていることが条件だと

思う。あまりの音痴はまあ論外としても、声量のアベレージはあまりに

下回ると現代のシステムではライブハウスやスタジオでは補えない。

レコーディングは別として。

もしかしたら若い人は平等が当たり前だと思っているかもしれないけど、

誰でもかれでも同じことが出来るとは限らないのだ。

”私にも歌う権利はある”と思うかもしれないけど、”そんなに声が小さいのでは

バンドでは使えません”ってこともあるのだ。残酷だけど。

昔の話をして嫌われそうだけど、それこそ”てめえはボーカリストなんだから

もっと通る声で歌え、音量なんざ下げねえよ。なぜかって?このマーシャルは

ここまで音量を上げないといい音で歪まないんだよ”なんてのがまかり通っていたのだよ(笑)。

人一倍強い喉を持っているからとか高い声が出るからこそのボーカリストってのが

当たり前だったんだ。バンドの顔としての役割も含めて。

今はだいぶ違ってきて、結構誰でもかれでも歌っちゃおうかな的なVoが多いように

思う。それほど覚悟が無いから簡単に「声が聞こえませーん、もっと上げてください」って

自分の力量を知らずに簡単に言うことが出来るんだ。己を知れ。

またマイクの使い方も研究しない。いかに効率よく声をマイクに乗せるか、少しくらい

考えようよ(笑)。

 

 

 

と、両方の立場からのお話をさせて頂きましたが、現代はここをすり合わせて

いいとこ取りをすれば一番スマートでいいのではないかなと思うね。

 

楽器隊は歌う人のことを想像する。

歌う人は自分が適切な声量や歌声で歌えているか意識する。

 

お互い歩み寄れば良いではないか。

 

 


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