続「とのむら通信」ブログ版

前島本町議会議員・外村敏一(平成29年4月29日付けで引退)
日々の思いや議会傍聴の感想など引き続きお伝えします。

「かつての黒字大国」日本が危ない。過去最大6兆円の貿易赤字、即刻歳出削減が必要

2014年08月28日 | 日々の思い


一昨年暮れに発足した安倍政権は未曾有の超金融緩和政策による円安誘導、株高を演出し、一部の大手輸出型企業や富裕層に
一定の利益をもたらした。特に世界的なカネ余り現象で日経平均株価もこの1年あまりで70%近く上げた。そういう意味では
所謂アベノミクスは成功したのかも知れない。確かに今年の3月くらいまでは好業績決算を見込む企業も多く、連れて賃上げも
実現し、景気も一気に良くなったかに見えた。

しかしここにきて円安のマイナスの方が顕著になってきた。先日財務省が発表した今年上半期の経常収支(一国の国際家計の収支)は
5075億円の赤字で半期ベースでの赤字は昨年の下半期から2期連続。こんなことは1985年以降では初めてのことらしい。
円安基調にもかかわらず輸出が伸び悩んでいる一方で火力発電燃料などの輸入額が増え続けている結果、貿易赤字が6兆円にも
膨らんだことが響いている。貿易赤字の6兆円というのは比較可能な統計がある96年以降過去最大だそうだ。

経常収支が大幅に悪化している理由は貿易赤字が膨らんでいるため。旅行や輸送などのサービス収支も1兆5780億円の赤字、
海外からの配当金などの動向を示す第一次所得収支は8兆3226億円の黒字なるも3か月連続で前月実績割れとのこと。
何れにしても貿易収支が大幅な赤字で経常収支の赤字基調が続くということは非常事態であると認識しなければならない。

経常収支の回復は容易ではない。原発の再稼働が困難な状況でエネルギー輸入は高止まりする。しかも企業の海外移転が
進んだ今や輸出の戻りも鈍い。所得黒字を急に増やすのも難しい。このまま経常赤字が続けば国債消化への懸念から長期
金利が急騰する可能性もある。もう既に手遅れに近いが、一刻猶予もなく即実行しなければならないのが財政再建である。
消費税は上げたが一向に歳出削減の取り組みが全くと言っていいほど置き去りにされている。と識者も警告している。
安倍総理や現政権はこの深刻な事態をどれほど真剣に受け止めているのだろうか。国が傾きつつある大いなる危機である。

一昨日の新聞報道によると、各省庁の来年度予算の概算要求額は101兆円程度(今年度比6兆円増)に達する見通しとのこと。
アベノミクス効果で少しは税収が増えるとしても所詮税収の倍以上の借金(赤字国債の乱発)で賄う構造に変わりない。
むしろその借金頼みの体質はより悪化しているのではないか。安倍政権には財政再建への熱意が全く感じられない。
しかも来年度予算を論ずるのに「ではその裏付けとなる歳入はどれだけ見込めるのか」という試算さえも示さないで各省庁
からお要求額だけを論じているところが大きな問題である。結局は歳出額を先に決めて不足分は借金に頼るという構図である。
収入の倍以上の借金をして何年も続く家庭がどこにあるのか。国ならそれが許されるのか。赤字国債を永遠に刷りまくるのか。
そんな財政非常事態にも拘わらず防衛省は過去最大の5兆円も要求するとのこと。これが積極的平和主義の目指す先なのか。

今後金利が上昇すれば借金の利払いだけで30兆円規模に達する。財務省は来年度予算の国債の元利払い費のための予算を
26兆円程度要求する。という異常ぶりである。今の政権与党、いや野党にも「憂国の士」はいないのだろうか。情けない。

庶民には益々辛い日々がこれからも続きそうである。円が最近104円台を付けた。またガソリンが上がる。各種物価も
最近又値上げされた。その割には家計の可処分所得は増えていくだろうか。賃上げもほんの一部の大企業での話である。
皆さん、本当にこれでよいのでしょうか。時々は政治、経済、日本の将来について考えましょう。

注釈)

 経常収支とは

 一国の国際収支を評価する基準のひとつで、経常勘定といもいう。「貿易収支」「サービス収支」「所得収支」「経常移転収支」の4つから構成される。
「貿易収支」はモノの輸入と輸出の差額から算出。「サービス収支」はサービス取引を表す。「所得収支」は対外直接投資や証券投資の収益で、
「経常移転収支」は政府開発援助(ODA)のうちの医薬品など現物援助を表す。1996年、IMFが設ける国際収支基準の改定を受けて、日本の統計も新基準に切り替わった。
 大きな変更点として、従来の基準で経常収支に含まれていた、投資用金の購入、解約や途上国への無償資金が資本収支に含まれるようになった。






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