水道事業の民営化が取りざたされている。本年5月、企業に公共水道の運営権を持たせるPFI法を
促進する法律が可決された由。先ずは自治体が水道民営化し易いよう、企業に運営権を売った自治体は
地方債の元本返済の際に利息が大幅に免除されるようにするとのこと。
小泉政権下で竹中平蔵氏は「民営化」「規制緩和」というキャッチフレーズで郵政民営化を主導し、
民営化というキーワードであたかも改革推進政権かのような錯覚を抱かせたのがことの始まり。
実際のところ郵便事業を民営化して何がどう変わったのか、我々の生活が便利で豊かになったのか。
全く検証されないまま今に至っている。
何でもかんでも民営化すればいいと言うものではない。教育や福祉、そして上下水道など国民生活
に直結するライフライン等は利潤追求の理念とは無縁の国や自治体が責任を持って運営するのが当然。
今回の「水道法改正案」は今後膨大な維持費用がかかる経費を民間の知恵とノウハウで節減するのが
狙いだと言うが、民間企業が担当しようが自治体でやろうがメンテナンスにかかる費用は同じである。
むしろ利益追求、株主への配当を優先課題とする民間企業に任せればそれだけでもコストアップになる。
ここは冷静にライフラインは行政の責任と我々の税負担で賄う覚悟が必要である。民営化なんてありえない。
しかも既に諸外国で公営から民営化した多くの都市で「大幅な水道料金の値上げ」に根をあげて再公営化に
踏み切る事例が相次いでいるというではないか。そんな世界の潮流の中、日本が民営化に舵を切る理由は
何なのか。全く理念が無い。水道事業など毎年入札で業者を決める訳にはいかない。当然長期の契約になる。
そうなればいくら自治体が「経営を監視する」「料金の上限を決めておく」などと言ってもどこまで内部情報が
得られるのか、料金を上げなければ撤退すると言われればお手上げ。そんなことにならない保証はどこにもない。
堤氏は著書の中で水道事業の民営化は「水という商品を商売や投機の対象にしたビジネスにしてしまうこと」
と言っているが正にその通りである。他に替えようがないライフラインを倒産する可能性のある企業に握られる
ことほど不案なことは無い。命の水がいつストップするかわからない不安など考えられない。
今の安倍政権のやり方は本当に我々国民の幸せなんて全く眼中にないのではないか。全てがトランプの意向や
外資の意向などを気にしながらの政策ばかり。しかも殆ど国会での議論もないままに最後は強行採決のオンパレード。
今回の水道法改正案でも委員会ではたったの9時間、本会議ではわずか2日間の審議で可決という横暴ぶり。
このまま現政権が続けば将来的には学校も全て民営化、借金が膨大でにっちもさっちも行かなくなれば挙句の果てには
公共の施設やインフラ(図書館、公園、競技場など)までも何でも民間に売り飛ばすのではないかと危惧する。