久し振りに映画を観た。先ずタイトルが綺麗である。平日だったせいか客席が空いていたのは意外だったが作品は大変良かった。
私はてっきり藤沢周平氏の物語かと思っていたが違った。第146回直木賞受賞作家葉室麟氏のベストセラー小説の映画化作品。
主人公は謂れなき不義密通の咎で寒村に幽閉されている元郡奉行の戸田秋谷なる武士。その生き様、人間として男として生きていく上で
何が大切で何を守らなければならないかを改めて今の世の我々に問かけているようだった。公平な裁判もない時代、権力や上下関係だけで
理不尽なこことが平気でまかり通っていた時代にも気骨のある人物は存在感を示し、その姿は周りの者や家族にも正しい生き方を示唆するもの。
映画の中では沢山の名せりふ、名場面が出てくる。どんな時代でもどんな境遇にあっても「正直に生きる」「一日一日を大切に生きる」
「人と人との縁(えにし)を大切にする」など極めて当たり前の言葉が映画の中ではとても新鮮に感じられた。キャストが好いのでしょうか。
秋谷が灰の中から火種を探して吹きながら「決して諦めるな。どこかに埋もれ火が隠れている筈。大切なのは吹き続けること」と岡田准一扮する
武士に向かって説くせりふや、日頃から秋谷の生き様を見てきた一農民の子ども(秋谷の息子の親友)が庄屋の理不尽なやり方に抗議したとして
番所で拷問の末殺され、これに義憤を感じた秋谷の息子が命をも顧みず家老の屋敷に乗り込んで一太刀浴びせて見事親友のかたき討ちをするシーン
もなかなか良かった。さりげない夫婦愛、家族愛、友との真の友情なども上手く表現されていた。堀北真希さんが踊るシーンは綺麗でした。
主役は秋谷を演じる役所広司、その妻に原田美枝子、長女に堀北真希、準主役は秋谷を監視する為に派遣された武士を演じた岡田准一と
キャストもすべて落ち着いた雰囲気の中に凛とした存在感があってとても良かった。これ以上は良さを説明できません。是非ご覧ください。
「とのむら通信VOL.22」を鋭意配布中です。既に半分以上のところに配り終えましたが来週月曜日には臨時議会、水曜日には亀岡での研修
などがありますのでもう少しかかります。どうぞ今しばらくお待ちください。