続「とのむら通信」ブログ版

前島本町議会議員・外村敏一(平成29年4月29日付けで引退)
日々の思いや議会傍聴の感想など引き続きお伝えします。

世界の民主主義にとって重要な米中間選挙(華氏119を観て)

2018年11月06日 | 民主主義の危機を考えよう


長らくブログの更新を怠っていましたが又時々投稿しますのでよろしくお願いします。
昨日今話題の映画「華氏119」を観てきた。アメリカの中間選挙を真近に控え、極めて
タイムリーな映画ではあるが、実際に鑑賞した感想は期待ほどではなかった。
しかしマイケルムーアが言わんとする内容は全世界にとって重要で我々が生きる民主主義
という統治システムをも破壊してしまいそうな今の危機状況に対する多くの示唆に富む。

トランプの「まさかの大統領当選」以降この2年間で世界の政治バランスが崩されたばかりでなく
民主主義の先進国と思われたアメリカでさえ民衆を分断するかの様に個性や価値観の多様性を
認めてきた社会をも否定しかねない状況を生み出している。

今や地球規模でのグローバル世界にも拘わらず自分ファースト、自国ファーストという保護主義
の再来で、次々に世界秩序を乱してでも我が道を行く協調性の無い異端児の台頭である。
トランプ出現以降各地で第二第三のトランプが誕生したり、トランプ現象が起きていることは誠に
ゆゆしき事態である。

今回の米中間選挙はそういった風潮が今後も続くのか、アメリカ国民がその道の継続を選ぶのか、
それによって益々世界中の秩序が乱れるのか、ストップをかけるのかが問われる大きな選挙である。

ムーア氏は「民衆が政治にうんざりして諦めた時代に独裁者が現れる」と言っている。確かにその通り
であろう。今の日本においてもそのことが言える。我が国で長く続く自民党政治にうんざりと諦めに
近い状況の結果、安倍独裁政権が誕生したと言えるのではないか。そして究極のスキャンダルが森友
加計疑惑事件である。政権が長く続くと政官癒着など次第に腐敗した挙句に「少々のことは何をやっても
乗り切れる」というタカを食った暴挙が生まれるのである。今や司法までも萎縮してしまっている。
しかも公文書改ざんに始まり次から次へと出てくる状況証拠を突きつけられても「知らぬ存ぜぬ、記憶にない」
の羅列で神聖なる国会をも騙し続けることがまかり通る世界は正に独裁と言わずして何というのか。
この森友・加計疑惑問題は我が国の民主主義の根幹を揺るがす大事件だけにどこまでも徹底解明されなければ納税者
である国民は報われない。このまま許したのでは日本もトランプと同じく「何でも都合の悪いことはフェイク」
で押し通す強権政治が続くことになる。怒りを忘れず、民主主義を諦めてはならないのである。

この映画華氏119は反トランプ映画であることは確かであるが、しかしムーアの最大の関心事はこんな大統領を
誕生させた米国民主主義の危機を抉り出すことにあったのである。
2年前の大統領選では直前まで誰もがヒラリークリントンの勝利を疑わなかった。それなのにどんでん返しの
トランプが誕生した。劇薬による劇的な政治体制の変化を望んだ民衆が意外にも多かったということである。
従って今回の中間選挙においても事前の予想は当たらない。上下両院とも共和党が勝つという結果も予想される。
しかし私はそうは思わない。2年前の劇薬は劇薬過ぎた。その副作用はあまりにも多くの害を生んだと考える
米国民が多くいることを期待したい。だから今回は「まさか」は起こらないと思う。

翻って日本のこれからを考えるとあまり希望が持てない。アメリカのようにいつでも拮抗した2大勢力が緊張感を
持って施政に臨み、緊張感を持って選挙を戦う土壌に無いからである。どんなに悪質極まりないスキャンダルを起
こそうが、どんなに低レベルの閣僚が誕生しようが常に選挙では圧倒的な議席を取る唯一の政党が存在するからである。

今や日本の民主主義もトランプ政治とたいして変わりない。野党があまりにも弱いだけではなく、独走の自民党の
中に「憂国の士」がいないことである。森友・加計疑惑というあれだけの国民を馬鹿にした大スキャンダルにも拘わらず
自民党内部から正義の声が上がらない状況こそが腐りきった集団であることを証明しているからである。国民の不幸である。
早く強力な対抗野党勢力の結集が求められると共に骨のある政治家・憂国の士の出現を待ちたいものである。