「ワールド イズ ノット イナフ」は 007シリーズの第19作目だ。
一度、見た記憶があったが、また見たくなったので、借りていた。
実は、これで、アクションシーンのカット割りの研究をしている。
映画のカット割りと、漫画のコマ割りは、同じなんじゃないのか?
・・などと、今さらながら思い直して、この作品をスロー再生などで見ているのだった(笑)。
気にいったのは、モータボートでの追撃シーン。
これは、映画の主題歌が流れる前のつかみの部分だが、
そのモーターボートのアクションシーンだけで、160カット近くもあった(だいたいね)。
これを漫画にすると、わりと小さ目のコマを多用しても、22~3ページになってしまう。
実際、ネームにしてラフで描いてみると、それくらいになった・・。
スピード感を強調したり、緊迫感を煽(あお)りたいところでは、
短いシーンで、映像がめまぐるしく切り替わり、カットバックも使われていた。
なるほど!こういう感じで映像が構成してあるのか!と思ったりしたが、
カメラワークは、本当に、いろいろなアングルで撮影し、観客が飽きないように構築してある。
特に、この追撃シーンで面白いのは、どんなにピンチになっても、
ボンドは、ネクタイが曲れば直すし、髪が乱れたらしっかり整えて、どこまでも紳士的でスタイリッシュなことだ。
死に物狂いの命がけで追撃してはずなのに、この余裕が、いかにも007らしい(笑)。
そういうわけで、イントロのシーンが、クライマックスシーンに匹敵するほどに、見ごたえがある。
007シリーズは、アクションが売りの1つなだけに、その見せ方としては本当に一級品だ。
ちなみに、昔からある、この007シリーズの中では、
「ロシアより愛をこめて」が、最高傑作かもしれない・・などと勝手に思っている。