肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『ライフ・イズ・ミラクル』、観ました。

2007-07-12 20:56:05 | 映画(ら・わ行)





監督:エミール・クストリッツァ
出演:スラブコ・スティマチ, ナターシャ・ソラック

 『ライフ・イズ・ミラクル』、観ました。
1992年、ボスニア。村に鉄道を引くために、今日ものんびり仕事に出掛けていく
セルビア人のルカ。だが、紛争の勃発で息子ミロシュが徴兵に取られて、おまけに
妻まで別の男と駆け落ちしてしまう。悲しみながらも、一人のんきに暮らすルカは、
ある日現れた若く美しいサバーハと恋に落ちるのだが…。 
 エミール・クストリッツァ作品のタイプとしては、前作『黒猫・白猫』と、その前の
『アンダーグラウンド』の、ちょうど中間くらい。“戦争への皮肉”を散りばめながら、
“生の輝き”の高らかに謳い上げる《人生喜劇》。つらくても底抜けに明るい登場
人物たちが、人情味溢れる“生き生きとした描写”で描かれる。劇中で流れ出すたび、
高揚感が湧き上がる“ジプシー音楽”の使い方が特徴的。そして、ストーリー性よりも、
“印象的なワンショット”の積み重ねで、観る者の心に訴えかけてくる手法は、あの、
フェデリコ・フェリーニの映画を観てるよう……。例えば、徴兵される息子がその父との
別れ際、走り出したバスの後部の窓に書き記した“母への伝言”…。捕虜となった
ヒロインが、僅か一切れのパンを猫と分け合ってかじるシーン…。また、主人公と
ヒロインとの間に愛が芽生え、その食べ終わったスイカの両端が、川に流されながら
惹かれ合うように重なる瞬間…。そして、愛し合う二人が、毛布にくるまいながら
丘の下へと転げ落ちていく場面など…、観ながらオレは“切なさ”と“幸福感”とが
入り混じった不思議な気持ちに満たされ、ふいに胸の底からアツいものが
込み上げてくる。オッと、それから忘れちゃいけないッ、恋に破れた悲しいロバと、
ネコにイヌにアヒルたち‥‥、愉快な動物たちが大騒ぎで登場し(笑)、物語に
“良いアクセント”を付けている。さすが、今作でも“クストリッツァ節”は健在だ。
 ただ、一方で…、この『ライフ・イズ・ミラクル』が、必ずしも“先の2作品”を凌駕した
とは思えない。戦時下における“人生の喜悲劇”は、その“ブラックさ”において
『アンダーグラウンド』に及ばないし、『黒猫・白猫』でのグイグイ畳み掛けてような
“人生讃歌”もここにはない。いや、そもそも、日本人的な感覚からして、主人公は
妻子のある身でありながら、“別の若い女性”に走るというのは如何なものか。
オイラ的には(浮気性だが)精神を病んた“妻のヤドランカ”を最後までニクめずに、
(ラストの)主人公の決断はチョット気の毒に思えちゃったのだが。



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