肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『ディパーテッド』、観ました。

2007-07-09 20:18:58 | 映画(た行)





■監督 マーティン・スコセッシ
■出演 レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン、マーク・ウォールバーグ、マーティン・シーン

 『ディパーテッド』、観ました。
貧困と犯罪のなかで育ってきたビリーは、長じて優秀な警察官になった。やがて
ビリーはその生い立ちを買われ、マフィアへの極秘潜入捜査を命じられる。一方、
同じく優秀な若手警察官であるコリンは、マフィア撲滅の特別捜査班に配属される。
署内でも人望の厚いコリンだが、実は彼こそマフィアのボスコステロが警察内部に
送り込んだスパイだった‥‥。
 普通に(?)よく出来た‥‥いや、“楽しめる作品”には仕上がっていると思う。
ただ、それはあくまでも“娯楽的な観点”から見た場合で…、例えば、“リメイク
映画”として、オリジナルの『インファナル・アフェア』を凌駕しているだとか…、
“アカデミー作品賞”として、それに相応しいかどうかに限ったことじゃない。
まぁ、アカデミー賞うんぬんに関しては、いろんな思惑(?)が絡み合っていたと
推測されるので、レビューの最後にほんの少しだけ触れることをお約束して、
ここでは一先ず、その前者についてのみ書くとしよう。
 まず、本題に入る前に、オリジナルとなった『インファナル~』が優れている点は、
単なるサスペンス映画の枠を超え、人間なら誰しもその心の中に併せ持つ、善と
悪との二面性まで、しっかり踏み込んで描かれていたと思うんだ。それは、善の
人間が悪の世界に入って尚、善の心を保っていられるか…、あるいは、悪の人間が
善の世界での地位を手にして尚、それを手放すことがきるのか…。言い換えれば、
勝ち取った信頼を裏切ってまで、善は善に、悪は悪に、徹しきれるか否か……。
オリジナルでは、その内面的な描写が凄まじく、ギリギリの緊張感の中で
ドラマ性を盛り上げていたと思うんだ。一方、今回のリメイク作に限っては、
それらが物足らないというか、全体的に人物の描き方が“淡白な印象”を受ける。
確かに…、主演のディカプリオは、その名の通りの大熱演で頑張ってはいるが、
彼は何に怒り、何故イラついているのか…、他人(仲間)を欺くことでの“良心の
呵責”??、それとも、次第に圧し掛かってくる“孤独”と間近に迫った“死の恐怖”??、
どうもハッキリしない。更に、ジャック・ニコルソンはニコルソンで、いつものように
“やり過ぎ感”たっぷりの怪演で(笑)、いかんなく存在感を発揮してはいるが、
果たしてそのキャラクターに“人間的な魅力”を感じるかといったら、そうじゃない。
コステロ(ニコルソン)がビリー(ディカプリオ)に信頼を寄せているのは何とか
理解できるが、ビリーはコステロのことをどう思っているのか…。結局、この映画の
全体にメリハリがなく、終始ボヤけた感じで終わってしまうのは、それぞれの立場や
心情が明確に確立されていないからではあるまいか。
 ラストシーン、部屋の窓の外に見える“国会議事堂”が天に向かって聳え立つ。
皮肉にも、それは主人公のコリンにとって、目の前に見えるのに届かない、近くて
遠い《幻》のようなもの‥‥“成功”であり、“幸福”の象徴だったのだ。一方、予期せぬ
形で“それ(栄光の?アカデミー賞)”を手にしたマーティン・スコセッシの今後は‥‥??、
何かこれで“長年の目標”を達成して、急激に老いてしまうような気がしないでも
ないですが(笑)。



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