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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『ウサギはなぜ嘘を許せないのか?』 マリアン・M・ジェニングス(著) 山田真哉(監修)

2007年04月17日 | ビジネス書・マスコミ関連


ウサギはなぜ嘘を許せないのか?.jpg



最近よく聞く言葉に “コンプライアンス” というのがあります。私も時々、どういう意味かと生徒たちから聞かれることがあります。普通は “法令遵守” と訳されます。特に企業活動において、法律を守るという、実はごく当たり前のことですね。


当たり前とはいうものの、現実は、雪印や三菱自動車、ライブドアなど大きな問題を起こす企業は後を絶ちません。厳しい競争の中で利益の最大化を至上命題とする企業の現場にとって、バレなければ良いのだという誘惑に勝つのは難しいようです。


アメリカの状況はさらに深刻で、ワールドコムエンロンといった超巨大企業の粉飾決算が明るみに出て、倒産までしています。経済がグローバル化している中での大企業の経営破綻は、その影響が世界経済にまで及びかねないため、コンプライアンスがあらためて問われているということでしょう。


企業を取り締まる法律は商法、独占禁止法、証券取引法、特許法、電子商取引法などなどいくらでもありますが、そういう難しいものに違反しているかどうかというテクニカルな議論とは別に、そもそも企業人のモラルの低下を問題にすることもあります。(モラルハザードという言葉が使われますが、実は意味が違います)


本書は、Library Journal の“全米ベストビジネスブック” というのに選定されたそうですが、実践的なビジネス書でありながらも、その内容はモラルを説く現代版おとぎ話なのです。

あるいは “ビジネス童話” とでも呼びたくなるような内容で、非常にユニークかつ、おもしろい一冊です。


どこの国のいつの時代の文化でも “正直さ” ということに価値が置かれていると思いますが、逆に言えば、それほどまでに人間は、放っておけば、自分の利益を最大化するためには平気でうそをついてしまう、ごまかしてしまうということでしょう。

少し広い視野で眺めると、ある社会でそれが横行すれば、結局、社会全体が不利益を被ってしまう。本来はそういうことを理解している大人たちが若者を教育すべきなのでしょうが、その大人たちも社会全体より自分優先で、あやしくなっているのですね。

ドラフトの裏金問題、落語家の巨額脱税!まで、あげればきりがない。

本書では、大人ではなく、身長190cmの大ウサギの「アリ(アリストテレスの略)」 が主人公の少年エドにつきまとって、教育するという物語なのです。


■~■ストーリー



エドが8歳、お母さんの運転する車に乗っている時に、突如として現われた大ウサギのアリ。お母さんが教会へ急ぐので、スピード違反をしているのですが、それを注意するようにエドに迫ったのです。お母さんにはアリの姿は見えません。

それ以降、エドのお母さんが何かずるいことをするたびにアリがエドの前に姿を見せるようになります。母親に注意しないとアリはエドを手や足で攻撃してきます。

人間誰でもやってしまう、ちょっとしたごまかしや他愛のないうそ。エドも大学生になって、そういうことをする仲間につられそうになると、やはりアリが現われて、エドを優しく蹴飛ばしながら(笑)いさめます。まじめにやっていたら損だと言ってもアリはそんなことを意に介しません。

エドの仲間たちが、テストや就職で“うまくやっている” のと対照的に、真っ正直に生きてきたエドには、いつも割りに合わない結果がついて回ります。もうその頃にはアリに文句を言うこともありません。

その正直な行動と性格ゆえに、“うまい話し” も来ない、仕事でもごまかしができないために、まわりから疎んじられ長続きしません。しかし、やがて人生も後半に入った頃、逆にその正直さゆえ、仕事でもプライベートでも大きなチャンスが訪れ、成功をつかみます。




姿を現すのが、ウサギ。最後に成功するエドの会社の名前が “トータス”エンタープライズ、そうカメです。つまりウサギとカメの話しがモチーフになっているわけです。このストーリー自体もそうですが、この本がアメリカで売れているという事実がとにかく興味深く、監修の山田氏もそれを指摘しています。


(実はですね、日本の大学受験の英語の例文でよく出ていた、

Honesty will pay in the long run.” (正直は長い目で見れば得だ)というのが、最近は

Honesty does not always pay.” (正直が常に得とは限らない) 

になっていて、あれ?おかしいなぁ~と気になっていたところなのです(笑)。ほんとに。)


生き馬の目を抜くアメリカのビジネス界で、なぜ今本書が尊重されるのか、山田氏は、結局、価値観(問題意識)は日米でそれほどかわらないと述べています。

これほどの高度情報化社会、複雑化した法律・経済制度を持つ現代ですから、コンプライアンス違反かどうかという問題も複雑、高度になっているでしょうし、ちょっとした違反がこれまで以上に企業の存続さえも危うくするという危機感があるのではないでしょうか。


物語の部分だけなら、本当に短時間で読めますし、仕事が忙しい人ほど、ぜひ一度手に取ってみて下さい。


ただ、難点は物語の途中途中に、コンプライアンスに関するコラムが10本くらい入るのですが、これがはっきり言ってじゃまでした。私の場合、気になって読んでしまうのですが、そうすると肝心のストーリーが中断してしまいます(笑)。後からまとめて読めば良いでしょう。

もう一点。本書は『さおだけやはなぜ潰れないのか』 の著者、山田真哉氏(拙ブログでも『女子大生会計士の事件簿』を取り上げました)が、まえがきも解説(あとがき)も担当しています。

山田氏の文章自体はわかりやすく、内容にまったく不満はありませんが、こういう独特な本だけに、ぜひ著者自身による解説や出版に関する意図などを知りたいと思ったのですが、本書にはそれがありません。きっと著者はこの風変わりな物語を書いた意図を強く主張したいはずなのに…。


そこで原書を購入して確認してみました。予想通り、小説の途中なんかにコラムも入っていませんし、ちゃんと長いまえがきと解説、あとがきなどがありました。しかも最後に、コラムがまとめてあり、それを小説で出てきたアリに置き換えて、解説が入っています。

はっきり申し上げて、原書の構成の方がずっとすばらしいと思います。従ってこちらも(英語ですが)お薦めです。


 ↓ 原題はストレートに 『A BUSINESS TALE』 (144P:1765円)
A .jpg


おそらく原書に出ている例が、エンロンやワールドコムといったアメリカ企業だったので、日本の読者にわかりにくという配慮から、日本版ではそれのかわりに、ライブドアなど国内企業による不祥事の一覧を付けたのでしょう。(これがコンプライアンス違反だったらシャレでは済まされない(笑)。)


それはともかく、本当は訳知り顔の大人たちに薦めるよりも、これからビジネス界に入る人、就職前の高校生・大学生にぜひ読んでもらいたい一冊です。



P.S. 街中の案山子さんが本書をご紹介して下さいました。私の故郷の近くに今、お住まいのようなので、こちらが一方的に親近感をもっております(笑)。ありがとうございました。


ウサギはなぜ嘘を許せないのか?

アスコム

詳細
A Business Tale: A Story of Ethics, Choices, Success and a Very Large Rabbit

Amacom Books

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『ウサギはなぜ嘘を許せないのか?』 マリアン・M・ジェニングス(著) 山田真哉(監修)
アスコム:159P:1029円




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『グレート・ギャツビー』 スコット・フィッツジェラルド著 村上春樹 訳

2007年04月16日 | 小説


グレート・ギャツビー.jpg



マスターピース、あるいはクラシックという呼び名が似合う名作 『グレート・ギャツビー』。アメリカ文学史上、最高の小説だという人もいます。私にとっても非常に印象深い一冊です。


著者のスコット・フィッツジェラルド自身が天才的な名文家として名高いのですが、人気作家の村上春樹氏がそれを翻訳したということで、話題になり、再読してみました。

村上氏のあとがきによると、氏は本書とドストエフスキーカラマーゾフの兄弟』 そして レイモンド・チャンドラーの『ロング・グッドバイ』 を自身の人生でめぐり合った重要な3冊としてあげ、その中でもベスト1は『グレイト・ギャツビー』 だと述べています。


第一次世界大戦が終わり、空前の好景気、その後、世界恐慌(1929年)前の1925年に出版されました。物語の舞台は1922年のアメリカ東部。戦争から戻ったあとに、事業を興し、成功させ莫大な富を手に入れたギャツビーという30歳くらいの若手実業家とデイジーという女性の物語です。

そして、その恋愛の成り行きを、偶然ギャツビーの隣の家に住んでいて、デイジーとも遠いつながりのあるニック・キャラウェイという青年が一人称で語るという形で、物語が進んでいきます。


ひたすら上流階級にあこがれ、自分の過去を消してまで、あらゆるものを利用しながら、無一文からのし上がり、今や不可能なものなどないのだという日の出の勢いのギャツビー。ある場所に豪邸を構え、夜毎、多くの著名人を集めた大パーティーを開きます。

究極の成り上がり者ですが、どんな仕事をしているのか、過去はどんなものなのか、いろいろな噂が飛び交うのも気にせず、社交界で頂点に近付いていきます。すべてがミステリアスなのですが、その目的は案外素朴なところにあります。

最後は、夢かなわぬまま、寂しくこの世を去ってしまうのですが、何度読んでも感動を味わうことのできる一冊。むしろ、一度目より二度目の方が深い感動があるというような、名作に共通する力のある本です。


力と富に対する飽くなき執着、ある段階でいやおうなしに浮かび上がる空虚感、それを埋めるために立ち止まりたくても、常に前進していなければ、後ろから追い越されてしまったり、見放されてしまう厳しい現実。そうしたことが予想外の展開と、他の人々の人生を通じて語られます。いかにもアメリカ的なサクセスストーリーとその顛末です。


そして、グレート・ギャツビーを読むとどうしても思い出さずにはいられないのが、だいぶ前にご紹介した、同じく上流階級を扱ったカズオイシグロの『日の名残り』です。こちらはイギリスが舞台。『グレート・ギャツビー』の中でも、彼の学歴がイギリスのオックスフォード大学になっていることについて何度も話題にのぼります。


『日の名残り』 では、きっとギャツビーならあこがれていたであろう、伝統と格式のある名家、その執事が主人公で、1930年代の思い出と50年代を描きます。時代が変わって、その豪邸の持ち主がイギリス人からアメリカ人に代わるのが象徴的です。


『日の名残り』に出てくる新しいアメリカ人家主は、ギャツビーのような人物ではないのですが、イギリスから見たアメリカをそれとなく感じます。また『グレート・ギャツビー』ではアメリカから見たイギリスが背景にありますね。


まぁ、いずれの作品も私があれこれ書くよりも、多くの専門家によるすばらしいレビューがあるでしょうから、この辺にして…。


せっかくですから、フィッツジェラルドの名文と村上春樹氏の訳を少し紹介しておきましょう。ほんの数行だけ取り出して比較しても、あまり意味はないのですが、生徒たちに訳の違いがあるということ知ってもらうために、終盤の名場面の一部を抜き出してみます。

ギャツビーが亡くなった後に、ニックが家主のいなくなった豪邸を前にして、語る部分です。“夢が過去のものであった” と語る、本書の中でも特に名文として名高い一部分です。高3・浪人クラスの生徒たちには和訳を宿題にしようかな(笑)。


村上春樹氏の訳が上、下は上岡伸雄氏(大学教授:翻訳家)の訳です。


 And as I sat there, brooding on the old unknown world, I thought of Gatsby's wonder when he first picked out the green light at the end of Daisy's dock. He had come a long way to this blue lawn and his dream must have seemed so close that he could hardly fail to grasp it. He did not know that it was already behind him, somewhere back in that vast obscurity beyond the city, where the dark fields of the republic rolled on under the night.


 Gatsby believed in the green light, the orgastic future that year by year recedes before us. It eluded us then, but that's no matter --tomorrow we will run faster, stretch out our arms farther.... And one fine morning --

  So we beat on, boats against the current, borne back ceaselessly into the past.


 そこに座って、知られざる旧き世界について思いを馳せながら、デイジーの桟橋の先端に緑色の灯火を見つけたときのギャツビーの驚きを、僕は想像した。彼は長い道のりをたどって、この青々とした芝生にようやくたどり着いたのだ。夢はすぐ手の届くところまで近づいているように見えたし、それをつかみ損ねるかもしれないなんて、思いも寄らなかったはずだ。その夢がもう彼の背後に、あの都市の枠外に広がる茫漠たる人知れぬ場所に -----共和国の平野が夜の帳の下でどこまでも黒々と連なり行くあたりへと---- 移ろい去ってしまったことが、ギャツビーにはわからなかったのだ。 

 ギャツビーは緑の灯火を信じていた。年を追うごとに我々の前からどんどん遠のいていく、陶酔に満ちた未来を。それはあのとき我々の手からすり抜けていった。でもまだ大丈夫。明日はもっと速く走ろう。両腕をもっと先まで差し出そう。・・・・そうすればある晴れた朝に…
 だからこそ我々は、前へ前へと進み続けるのだ。流れに立ち向かうボートのように、絶え間なく過去へと押し戻されながらも。




 そして私はそこに座り、いにしえの未知の世界に思いを馳せながら、ギャツビーの驚嘆について考えていた。彼はデイジーの船着場の突端にある緑の灯りを捜し当てて、さぞかし驚いただろう。長い旅路の果てにこの青い芝生までたどり着き、自分の夢がすぐ近くに感じられて、それをつかみ損ねることなどあり得ないと思ったに違いない。彼は知らなかったのだ。自分の夢がすでに自分の背後のものだということを。それはニューヨーク市の彼方にぼんやりと広がる広大な地域、共和国の暗い原野が闇夜の下に広がっている地域にあったのだ。

 ギャツビーは緑の灯りを信じた。私たちから年々遠のいていく狂騒の未来を。その未来は私たちをすり抜けてしまったが、それはたいしたことではない。明日、私たちはもっと速く走り、もっと先まで手を伸ばそう・・・・そうすれば、ある晴れた朝に-----。
 こうして私たちは進み続ける。流れに逆らって進むボートのように、果てしなく過去へと押し返されながらも。




「青空文庫」で別の訳も読めます。興味のある方はどうぞ


⇒ グレートギャツビー




グレート・ギャツビー

中央公論新社

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グレート・ギャツビー ペンギン・ミューズ・コレクション 原書で楽しむ英米文学シリーズ

ICGミューズ

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日の名残り

早川書房

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『グレート・ギャツビー』 スコット・フィッツジェラルド著 村上春樹 訳
中央公論新社:356P:861円



『小説 ザ・外資』 高杉良

2007年04月15日 | 小説


小説 ザ・外資.jpg


数日前、本書の著者、高杉良氏の別の小説 『乱気流 小説 巨大経済新聞』 で名誉を傷つけられたとして、日本経済新聞社の鶴田元会長が講談社と高杉氏に損害賠償と出版差し止めを求めた裁判の判決がありました。

名誉棄損が認められましたね。出版差し止めは免れましたが、要するに、争点は、「乱気流」が虚構のエンターテインメント小説か、実在の人物を題材にしたモデル小説かどうかということだったのですが、判決では、“日経をモデルにした” と判断したということですね。


日経新聞に関しては、拙ブログで取り上げた、『日経新聞の黒い霧(大塚将司)』 や 『日本がアルゼンチンタンゴを踊る日(ベンジャミンフルフォード)』 を読めば、かなり経営に問題ありだとわかっていますが、『乱気流』では、ないことまで書いたということでしょうか。未読なので何とも申せませんが…。


でもどうなんでしょう、人気の幸田真音氏や江上剛氏の本もしかりですが、“経済小説” という分野があるとすれば、現実に即して、その裏側を紹介するからこそ存在価値があるのであって、モデルがわからない経済小説というのはありえるのでしょうか。

つまり、正面から批判しても相手にされない強大な権力機構や、マネーシステムに対抗する手段が経済小説だと思いますから、モデルのわからない経済小説というのは言葉の矛盾のような気がします。


高杉氏の作品も、まさしくフィクションとノンフィクションの危ういところを書くというのが特徴で、本書もそんな一冊です。いわゆる“外資” の実態がどういうものか。日本の企業や税金までも食い物にしていくのではないかという危機感が書かせたのでしょう。


現実、最近でもサッポロビールが、外資に買収されるのを防ぐために、株主総会で買収防衛策を可決したばかりです。日清食品アデランスといった、他の日本の有名企業も名前が上がっていますが、今やどの上場企業も外資の買収のターゲットになることを真剣に恐れるようになってきた印象です。

日本の3大証券の一つ、日興コーディアル証券もシティーバンクの手に渡ったばかり。あっという間のスピード決着で、しかも日興は上場廃止にはならないという決定でしたから、シティーは大満足でしょう。みずほがあれこれ思案している間にさっとさらっていきました。もちろん合法ですが、実際、イメージとしてはまぎれもなく“ハゲタカ”。


さらにこの5月からは、外国の企業が、現金ではなく、自社株を対価に日本企業を買収することができる、いわゆる“三角合併” が解禁になります。こうなるとますます今の円安ドル高は、日本企業の輸出が伸びると喜んでばかりいられません。『黒字亡国』にもありましたが、経済は本当に難しい。


日本における、そういったな経済の流れを危険だと感じたためか、本書では、外資は日本の企業風土に合わない、情け容赦のないハゲタカとして描かれています。バブル崩壊の影響で日本企業が苦しんでいる時期に書かれたものです。


主人公は外資系金融機関を渡り歩くエリートです。理想に燃えて仕事に励み、順調にキャリアの階段を登っていくのですが、徐々に外資の実態を知るにつれ、それ特有の考え方に疑問を抱きはじめます。

強引な手法によって、日本の一般企業だけでなく、金融機関、官僚や政府までもが手玉に取られ、結局途方もない額の税金を吸い取られた挙句、さらにその買収された企業では厳しいリストラが行われる。


当時、旧日債銀長銀そごうなど、規模の大きい企業の破綻処理には、税金を使うことや外資を入れることに関して、かなり論争がありました。本書では、日本の当局者が、外資の言いなりになっていく情けない構造が描かれています。


ストーリー自体が上手く展開しすぎる点、酒場談義や不倫(サービスのつもりかな?)などの余分な描写が多いかなという気もしますが、外資の行動原理のようなものがはっきり書かれ、なるほどと思いながら読みました。


外資が入ったおかげで、やっと、ほんとうにやっと不良債権が片付いて、日本経済が復活した、というのも事実でしょうが、果たして本当にハッピーになっているかどうか、モデルはリップルウッドと長銀。どう思いますか。


やはりフィクションなのかノンフィクションなのか、実にきわどいという感じがします。

小説 ザ・外資

光文社

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『小説 ザ・外資』 高杉良
光文社:474P:1785円


すでに文庫本が出されています。(523P:800円)

小説 ザ・外資(文庫).jpg 



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未来を切り開く学力シリーズ 『中学数学発展篇 方程式と関数』橋野篤 【高校受験・参考書】

2007年04月15日 | 高校受験【情報など】


未来を切り開く学力シリーズ『中学数学発展編 方程ョと関数』.jpg



当教室 の生徒の割合は中学生が一番多いと思うのですが、中学生用のおすすめ参考書というのは、あまりないんですよね。中学受験や大学受験はたくさんあるのですが…。


公立高校を目指す生徒には、ワークブックや塾専用の教材とオリジナルプリントで充分間に合ってしまいますし、難関私立に向けては、過去問と塾専用教材と、やはり当教室のオリジナルテキストでほぼ足りてしまうからです。


でも、本書は興味深い一冊のようです。中川教室(横浜)のF先生にお願いしました。塾に通っていない生徒さんは一度手に取ってみてはどうでしょうか。


以下がF先生の書評・解説です。
 

■■■

タイトルは方程式と関数なのですが、式の計算から方程式、また関数、数列まで多種多用な問題が掲載されています。目次は以下の通りです。

第1章 連立方程式
第2章 多項式
第3章 因数分解
第4章 平方根
第5章 2次方程式
第6章 関数
第7章 数列
最終チェックテスト
解答・解説篇



だからといって問題数が多いわけではなく、問題数もちょうどよいくらいの分量になっています。

なんといっても解答と解説が詳しいのがよいです。他の参考書には書いていないような途中の過程も細かく書いてあります。

「式の計算」と「方程式の計算」のちがいや、「関数の変域」のような、つまずきやすい箇所の解説は、この本が一番わかりやすく詳しいのではないかと私は思います。


計算ミスが多い人、関数が苦手な人にはおすすめの参考書です。
 


■■■


いかがでしょうか。独自の分野構成がされているようですから、ある程度集中的に、継続的にやらなければなりません。

できれば、専門家にペースを作ってもらった方が良いかもしれませんね。



P.S.F先生はブログもあります。先月のボーリングで止まっていますが(笑)。


 ⇒ 『中川個人特訓教室:講師Fの独り言



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中学数学発展篇 方程式と関数

文藝春秋

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スットコ君4月号 塾のドタバタ

2007年04月14日 | スットコ ・ 川柳




★ お待たせしました~!

待ってないかな(笑)…


今月のスットコ君です。




これは3月中のできごと、今は新学期早々ですが…、

みんな新しいクラスであんまりやらないでね。



 それっ! (^_-)-☆



★★ 危機一髪、できそう! ★★

生徒 『 先生、この間ふと思ったんですけど、エレベーターってヒモが切れたら落っこちますよね?』

講師 『 ヒモ?』

生徒 『(無視して) まぁ、とにかく落ちるじゃないですか?』

講師 『 それで?』

生徒 『 で落ちたら死ぬじゃないですか~

講師 『 あ~』

生徒 『 でも、ここだけの話、落ちる直前に ピョンってジャンプすれば良いんですよ!』

講師 『 え??何言ってんだ?お前は 』

生徒 『・・・!あ!!そうか、ジャンプするタイミングを間違えるとなぁ~ 』

(日直: 実はこれちょっと魅力的なように聞こえますが、物理学的にいうと、ジャンプすることもほぼ不可能でしょうが、仮にできても、今度は天井にものすごいスピードでぶつかりますから…、

            いずれにせよ 即死 です(笑)。残念)





★★ ピンチ、切り抜けろ!★★

あれほど「覚えて来い!」と言ったのに確認テストの出来が悪いA子。

A子 『 昨日の夜ずっと練習していたんです。テレビも全く見ずに』

講師 『 テレビも見ないで頑張っても、結果が出ないとねぇ』

A子 『 本当に頑張ったのに・・・

講師 『 わかったわかった』

   ・・・休み時間中・・・

別の先生 『○○って番組知ってる人いるかな?』

A子 『 はーい、はーい 昨日見ましたよ~、えっとね~・・・・・

講師 『 おいっ!

(日直:いるんだなぁ~こういうヤツ)





★★ もう少し!★★

定期テスト対策中の中2のA子さん。社会はどうでしょうか?

A子 『先生、世界で一番面積が小さい国覚えたよ!スゴイでしょう?』

講師 『おお、すごいね。言ってみて』

A子 『バリカン市国!

(日直:坊主にするぞ! )




★★ あれあれ、話題の…★★

いつもは元気なのですが、今日は風邪でダウン気味のある先生。めったにないのですが、なんとなんとある優しい生徒が気の利いたことをしてくれました!

生徒 『 はい、先生!これ飲んで元気出してくださいよ!

講師 『 うそ!あ、有難う。おぉ!栄養ドリンクかぁ!えっ、もらっていいの?

生徒 『 大丈夫です。先生がんばって下さい!』

講師 『 わ・悪いなぁ~サンキュー、お~効きそうだなぁ。。。

生徒 『 はい!絶対効きますよ。だって、これ、あの~あれ、何でしたっけ、

     えっと タミフル 100mg配合ですから!!!』

講師 『…

(日直:どう考えても危ない気がする(笑)。タウリンですね)





★★ 母校 ★★

生徒 『 先生!ちょっと質問なんですけど…』

講師 『 うん?』

生徒 『 ラサール・石井ってなぜあんな名前なんですか?』

講師 『 鹿児島ラサール っていう頭の良い学校に通っていたかららしいぞ!』

生徒 『 そうなんだ。じゃあ “サレジオ”越後 の出身校はサレジオ学院ですか?』

講師 『 それはセルジオ越後!』

(日直:やってるやってる。いいじゃないっすか~)





★★ 絶対です! ★★


講師 『 高校には自転車で通うの?』

生徒 『 電車ですよ。私、自転車が苦手だから』

講師 『 あれ、この前乗れるようになったって言ってたじゃん』

生徒 『 乗れますよ。失礼な!でもブレーキが使えないんです。

        ブレーキを握ると絶対に前に転がるでしょ。』

講師 『 前に転がる?前転みたいにぃ?』

生徒 『 急に止まるんだよぉ。絶対に前に転がるじゃん

講師 『 転がらないってば』

生徒 『絶対に転がります!!!

(日直:率直に申し上げて…そんな人を見たことはありません)






■■ おまけ ■■


帰宅途中の駅で見かけました。

家庭教師をやりますという張り紙のようです。

■家庭教師やります■

御三家の論述対策(50字から200字位)指導対策もできます。

<連絡先>携帯電話 090-○○○-○○○○

※ご芳名とお電話番号の両方 お入れにおなりになられてくださいました方のみに、ご返事差し上げます。


(日直:こんなヤツに教わったら、タ・イ・ヘ・ン)



さ、いかがでしたか。今月はちょっとパワー不足かな。
みんなスットコ恐れて少しずつ行儀よくなりました(笑)。ホント?


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『流れがわかる日本史Bノート-新課程用』三善末照

2007年04月14日 | 大学受験【国語・社会】情報・参考書


流れがわかる日本史ノート.jpg


歴史好きですか?日本史も世界史も分かれますね、好きな人と嫌いな人に。学校の歴史の勉強は嫌いだったけど、大人になってから好きになったという人も多いですね。

生徒諸君!大人になるとわかるんだけど、歴史の知識抜きには、今の世の中を生きていけないと感じるものなんです。確かに歴史のテストは暗記ばかりだけど、社会に出たらもっとも必要で役立つ科目じゃないかな。覚えておいてね。


さて、なかなか評判の良い日本史のテキストがあります。以前、『ゴロで覚える古文単語ゴロ565(ゴロゴ)』 を紹介していただいた K先生に書評をお願いしました。すばらしいです。どうぞ。



■■■

社会科を好きでない皆さんに共通した認識は、学生生活を暗く染める試験直前、当該範囲を詰め込めるだけ只管詰め込んだのに、思った様な結果が得られず、あげく喉元過ぎて何とやらで、覚えたはずの事項は忘却の彼方という苦い経験の反復が基になっているのでは。

とりわけ厄介なのが日本史、世界史、虫食いの文章を埋めるだけでも虫唾が走り、ましてや知識をまとめて論ぜよなんて言われた日には…しかしそれもこれも社会科科目を暗記力ないしは勤勉さを試すものとする巷の偏見が禍してのこと。

歴史とは幸運にも現存している僅かな記録をつなぎ合わせ、綻びを繕いながら編まれた物語であることを思い出すなら、用語や数字を覚えるばかりが学習でないことは納得のいくところでしょう。

事はむしろ想像力に関わっているのです。


ここで紹介した参考書は、史実を政治的な変遷を軸に見やすい表形式で整理してあり、制度や文化や思想も加えられ、まさにこれから諸君が織るべき物語の型紙を提供しています。

かつて流れていた時間が如何なるものであったかを追う歴史の醍醐味を楽しむにはお勧めの1冊です。


■■■


歴史嫌いに共通するのは、昔のことと今とがつながらない、すなわち “流れ” が無いんですよね。きっと。

現実問題として、ゆっくり解説する授業時間も足らないし、世界史なんかはすぐにあちらこちらに飛んでしまうので仕方のない部分もありますね。実際、世界史に履修漏れが多かった事実を見ても、なかなかやりきるだけの時間の確保が難しいんでしょう。

日本史は世界史に比べれば、もちろん“狭い”んだけど、その分 “深い”からね。しっかり流れを把握した上で、勉強をどこまで深められるかが勝負です。


流れがわかる日本史Bテーマ史ノート―新課程用

山川出版社

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『流れがわかる日本史Bノート-新課程用』 三善末照
山川出版:159P:740円


『全「歴史教科書』」徹底検証する』 三浦朱門

2007年04月13日 | 教育関連書籍


全歴史教科書.jpg



・・・1945年8月6日には広島、9日には長崎にアメリカ軍は、原子ばくだんを落としました。1発のばくだんでいっしゅんにして数万人もの人々がなくなりました。ソビエト連邦軍も満州にせめこんできました。日本は8月15日、ついに降伏しました。こうして、アジア、太平洋を戦場とした15年にもわたる戦争が、ようやく終わりました。・・・


これは東京書籍の小6社会の教科書の記述だそうです。自分で確認したわけではないのですが、ポツダム宣言という言葉がありません。また小6にしては、やたらとひらがなが目に付いて、かえって読みにくいと思うのですが、どうでしょうか。


別の教科書を見てみました。教育出版の小学社会6上です。


アメリカ軍は、8月6日に広島、9日には長崎に原子爆弾(げんしばくだん)を投下しました。地上1万mまできのこ雲が立ち、熱線と爆風で、建物はくずれ、人々は体を焼かれて、まるで地獄(じごく)のようなありさまでした。原子爆弾によって、広島・長崎の両市では30万以上の尊(とうと)い命がうばわれました。現在でも、その後遺症(こういしょう)に苦しむ人々がたくさんいます。
満州(まんしゅう)や樺太(からふと)(サハリン)南部にはソ連軍がせめこみ、多くの日本人がぎせいになりました。こうした中で、8月15日、昭和天皇(てんのう)がラジオで日本のこうふくを伝え、15年にわたる戦争はようやく終わりました。同時に、、朝鮮(ちょうせん)や台湾(たいわん)は日本の支配から解放されました。




こちらもありませんね、ポツダム宣言。原爆の死者に関して、前者が数万で、後者は30万以上となっています。また漢字の使いかたも違います。片方では、“ばくだん”で、もう一方では“爆弾”。逆に片方が“降伏” と漢字なのに一方で “こうふく” となっていますね。細かいことはともかく、ある程度統一しておく必要はないのでしょうかね。


私は高校英語の講師ですので、小学校社会の細かな規定やこれが“ゆとり教育”以降のことなのかは知りませんが、さすがに歴史を教える教科書からポツダム宣言を省くのはまずいし、死者の数も違いすぎると思います。


ちょうどタイミングよく genio先生が、第二次戦争に関して、小泉首相の談話から出された開成中学の過去問を紹介しています。それと教科書を比べるのはどうかと思いますが、みなさんぜひチャレンジしてみてください。
  
    genio
先生のブログ ⇒ 試験に出る!時事ネタ日記!』 


 



習った漢字:ゆとり教育の成果は』で指摘したように、分かり易くしようとして、長い説明を省いたり、漢字をさけたりすると逆に頭に残りにくいと思うのですが…。“日本のこうふくを”⇒ 幸福 と思わないかな~とちょっと心配。


本書は、中学生が使う歴史教科書を比較したものですが、その前に、もうひとつ…。

テレビのニュースで、中国の温家宝首相が代々木公園で一般の人に混じってジョギングをして、言葉を交わすシーンが流れましたが、その時のあいさつで、温家宝首相が 『○○○』 と中国語で名乗りました。すかさず通訳の女性(おそらく中国人)が 『オ・ン・カ・ホ・ウです』 と言いました。あっ、日本語読みで良いんだと思ったわけです。

朝日新聞のサイトでは “温家宝” 首相の読み方は、オンカホウではなく “ウェン・チアパオ”首相と書いてあって、混乱しますが、実は東京書籍の中学の歴史教科書では、本書によると、“蒋介石” は人名索引で引いても「ショウカイセキ」のところに出ておらず、中国読みの「チャンチェシー」のところで引かなければならないそうです。


歴史教科書の検定のおり、扶桑社の教科書があれだけ批判されたために、どんなすごい本なんだろうかと思って自分で読んでみました。拍子抜けするくらい、普通の本でしたね。

手元にあった他の教科書一冊と比べても、扶桑社の方が読みやすい教科書だと思いましたので、いったいどうしてこんなに批判されるのか、批判されない教科書と何が違うのでしょう。全部で八種類あるそうですが、私が読んでいない他の教科書はどうなっているのかを知りたくて本書を読んだわけです。


非常におもしろい一冊で、“徹底検証する” の名に恥じないと思います。さまざまな観点から比較検討されています。まず、教科書がどんな人物に光を当ててコラムなどで大きく取り上げているか、それに偏りがないかを見てゆきます。そこからは時代順に検討を加えます。

目次です。

総論―人物・文化
古代(古代史と大和朝廷;中華秩序と聖徳太子;神話と伝承)
中世(鎌倉幕府の成立(武家政治の特色);元寇と倭寇;農村と一揆)
近世(朝鮮出兵;百姓一揆;琉球とアイヌ;江戸時代像の再評価)
近代(明治維新と近代国家の建設;大日本帝国憲法の制定;日清・日露戦争;条約改正;アジア諸国との関係、及び昭和期の政治・外交;満州事変・日中戦争と大東亜戦争(太平洋戦争))
現代(戦後日本の評価;共産主義の総括)
まとめ「まえがき」「あとがき」を比較・検証する 


三浦朱門氏自身は、曽野綾子氏の夫で、文化庁長官などをされていましたのでご存知でしょう。キリスト教徒であっても、靖国神社には参拝するというお考えのようですからよくわかりません(笑)。扶桑社の教科書を推しているのだろうと感じました。


それはともかく、他にも興味深い違いが次々に出てきます。社会の先生に限らず、ぜひお読みいただきたい一冊です。

全「歴史教科書」を徹底検証する―教科書改善白書〈2006年版〉

小学館

詳  細





P.S. 他に教科書に関する書籍をこれまでもいくつか取り上げました。よろしければご覧下さい。二つ目はかなり激しいことばで相手を罵倒し、感情的な印象ですが、他は興味深い内容でした。


●扶桑社の『新しい歴史教科書』 の採択がほぼゼロに決まったあと、どういうことがあったかを取り上げたもの:『教科書採択の真相』(藤岡信勝

教科書採択の真相 かくして歴史は歪められる

PHP研究所

詳  細



●同じ保守系の論客と思われた谷沢永一氏が、↑の本の著者藤岡氏ら、またその教科書を激しく批判したもの: 「新しい歴史教科書」の絶版を勧告する

「新しい歴史教科書」の絶版を勧告する

ビジネス社

詳  細



●アメリカを中心に、歴史教科書がどう扱われているかを紹介したもの: 『アメリカの歴史教科書が教える日本の戦争』 (高濱賛

アメリカの歴史教科書が教える日本の戦争

アスコム

詳  細


●韓国政府が日本政府に対し教科書の修正を要求した時のやりとり、具体的な指摘箇所や、事実関係を考察したもの :『親日派のための弁明2』 金完燮(キムワンソプ)
親日派のための弁明2

扶桑社

詳  細

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『全「歴史教科書』」徹底検証する』三浦朱門
小学館:239P:1260円







『現代文と格闘する』 竹國友康/前中昭/牧野 剛

2007年04月13日 | 大学受験【国語・社会】情報・参考書


現代文と格闘する.jpg


英語を教えていても、いつも思うのですが、国語力はすべての学力の基礎。もう一段上のレベルに行けるかどうかという時、国語ができる生徒は安心です。ではどうやったらできるようになるか。

成績を上げるのに、もっとも時間がかかるのも、国語。特に古文・漢文ではなく、現代文ではないでしょうか。昔の現国ですね。(それに比べりゃ英語なんか簡単に上がります。いや本当に)。

読書は確かにプラスですが、読んでるだけで成績が上がるわけではありません。

その現代文で、お薦めの参考書がありますので、『センター試験国語講評』 もお願いした、RYU先生に紹介してもらいます。

以下がRYU先生の書評・解説です。



■■■

現在のところ、もっともオススメできる現代文の問題集です。解説がよいのはもちろんですが、設問自体の作り方もすばらしく、本当に文章を読み取れていなければ太刀打ちできない問題が並んでいます。

この問題集を指示された方法でやり通すことができれば、間違いなく、大学入試を突破するのに必要十分な読解力が身に付くでしょう。

ただし、偏差値60未満の生徒は手を出さない方が無難かもしれません。なぜなら、この本をやり通すためには、標準以上の読解力が必要になるからです。

まずは、基本的な問題集・参考書を終えて、「文章の基本的な読み方」を押さえてしまうのが先決でしょう。


■■■


本書の特徴として

1.読解上不可欠な現代文読解用語40語を収録。 

2.現代文の読みつなぎ方を、「論理で読みつなぐ方法(評論文)」「心理で読みつなぐ方法(小説)」 の2系統で展開。 

3.キーワード・キーセンテンス・強調語・論理語の見分け方の実際を紹介。


とあげられていました。

本書の前段階の基本的参考書としては、以前、RYU先生は代々木ライブラリーから出ている、『田村のやさしく語る現代文』 を取り上げています。

私も以前、すばらしい一冊だと思う、『ことばはちからダ!』 と 石原千秋氏の『大学受験のための小説講義』 を取り上げました。それぞれ参考にして下さい。


現代文と格闘する

河合出版

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ことばはちからダ!現代文キーワード―入試現代文最重要キーワード20

河合出版

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『現代文と格闘する』 竹國友康/前中昭/牧野 剛 
河合出版:312P:1290円


『砂の文明、石の文明、泥の文明』 松本健一

2007年04月12日 | 新書教養

 

砂の文明・石の文明・泥の文明.jpg


温家宝氏が国会で演説しました。日本と中国で、“戦略的互恵関係” を築くのだそうですが、何が具体化してくるのでしょう。


さて、昨日取り上げました、『文明の衝突(ハンチントン)』 および 『文明の衝突と21世紀の日本』 では、日本と中国を異なる文明に分類していました。だからぶつかることが多いと。確かに中華思想にあるような、東夷・南蛮・西戎・北狄 という考え方は、日本では異質かなと思います。


ところが、今日、ご紹介する本では、日本・中国だけでなくインドまでを “泥の文明” として一くくりにしています。いろいろな見方があっておもしろいですね。

泥の文明というのは、日・中・印などの東アジアで、水田や、湿地、雨林などが多く、作物など恵みを与えてくれる天を神とみなし、共同体的作業や品種改良といったことが得意な人々が住んでいるところに生まれた文明です。


砂の文明は、アラブ、イスラムなど砂漠地帯の文明で、自ら生産活動ができないために、らくだに乗ってさまざまな物資や情報のネットワークを利用した交易が生まれたところ。バクダッドなどはその折のオアシスの一つだったそうです。  


石はヨーロッパに代表されるような、表土が薄く畑作をしようにも、すぐに岩盤に当たってしまうような土地に栄えた文明です。そういう地では農業の生産性は上がらないために、放牧や、それに手を加えるため、自然を理解し克服するために自然科学や、輸送などの技術開発が進んだという分析です。


簡単に言えばこのように分析をし、それぞれの民族性や社会を論じます。なるほどこうした視点から、世界を三つに分けて俯瞰してみると、すっきり整理できたような気がします。日本人論もおもしろかったです。


主な話題を取り上げますと

■人はなぜ「不毛」な砂漠に住むのか

■中国の「精神文明」、日本の「精神文化」

■「文化」は民族の生きるかたち

■「文明の衝突」はあり得ない

■「アメリカ原理主義」という病理

■アラブの国境線が点線である理由

■なぜ日本車が世界を制覇したのか

■日本文化の底層にあるインド文明

■力のヨーロッパ、美のアジア 



文明論と言っても、系統だった論文ではなく、エッセイのような書き方で読みやすくなっています。3つの文明をそれぞれ比較し、論ずる前に、第1章として「文明と文化の違い」があります。そこの部分だけは中学生にはちょっと難しいかなという気がしました。

目次です

●序章 砂の風土との戦い 

●第1章 文化と文明の違い 

●第2章 石の文明―外に進出する力 

●第3章 砂の文明―ネットワークする力 

●第4章 泥の文明―内に蓄積する力 

●第5章 「泥の文明」の中の日本 

●終章 文明としてのインド再発見




目次や内容を見て、おもしろそうだと思いませんか。実際、おもしろかったので興味のある方はぜひお読み下さい。

 


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砂の文明・石の文明・泥の文明

PHP研究所

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『特進クラスの社会―有名中学入試を突破する』水谷康昌

2007年04月12日 | 中学受験関連【算数・国語参考書など】


特進クラスのミ会.jpg

 
中学受験は、高校・大学受験に比べて、勉強方法次第で成果に大きく作用しますが、参考書選びも極めて難しいですね。何度も申し上げていますが、本当は志望校によって、本人の学力などによって、まったく選ぶ基準が異なりますので、専門家に個別に相談するのがベストです。


ただ、誰でも家の近くに理想的な進学塾があるわけではないでしょうし、信頼できるプロがいるわけでもないでしょうから、そういう方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

売れているから良いと考えるのは非常に危険です。中学受験の最高のテキストは常に過去問ですからね。まずは指導する側がきちんと目を通して下さいね。勉強の進め方は 『中学受験偏差値40からの大逆転合格法(有井博之)』 などが参考になります。



今回は、genio先生にお願いしました。

 genio先生のブログ ⇒ 『試験に出る!時事ネタ日記!』 


以下が genio先生の書評・解説です。



■■■

参考書に絶対的な良し悪しはないというのが持論・・・まぁ、どんなものでも使い用だということなのですが、本書もまさにそれですね。

「力の5000題」よりもグラフや重要事項のまとめが優れているという印象を受けました。が、それでも基礎学力の不足している受験生が自学自習用に手を出すのは危険です。

本書は、知識のまとめを辞書として、問題集を練習用として活用すればバランスが良いと思います。

暗記用として全てを覚えきろうとすると、どうしても無理が祟って消化不良に陥るか、全てを消化するころには受験が終わっているかのどちらかになるでしょう。

これは中学受験に限りませんが、もちろん、社会の受験勉強は膨大な知識量を定着させなければならないため、暗記を徹底することは必要です。しかし、最初から密度を濃く進めるよりも、ラフに(浅く)早く一巡してしまうことです。

何回も繰り返し基本事項を確認しながら並行して問題集も進め、その中で知識の密度を濃くしていくやり方が最も効果的だと思います。 ただ、合否を決定的に左右しかねない基本だけに限定して参考書や教科書を作ってしまうと、ゆとり教育における教科書と同じように内容の薄く面白みのないものになってしまいます。

社会の学習は周辺的な事項も一つの文脈として流れにしたときに初めて面白みが出てきます。全てを同じように飲み込むのではなく、重要な事項とそうでない事項についてメリハリをつけた学習をすることが大切でしょう。

教える立場からすると知識が上手く纏められていて、とても使い易い参考書だと思います。


■■■


特進クラスのシリーズはどれも量が膨大ですね。利用するなら、理科・社会を辞書的に使うのが良いのかなという気がします。

何か質問などがあれば、genio先生のブログ の方へどうぞ。

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『特進クラスの社会―有名中学入試を突破する』水谷康昌
文英堂:496P:2205円

特進クラスの社会―有名中学入試を突破する

文英堂

詳細を見る



『文明の衝突と21世紀の日本』サミュエル・ハンチントン著 鈴木主税 訳

2007年04月11日 | 外国関連


文明の衝突と21世紀の日本.jpg


中国の温家宝首相が来日しました。中国の首相の来日は7年ぶり。新聞によると中国では小泉首相時代とはうって変わって親日ムードを盛り上げているそうです。

ただ、ホントは反日だってこと、アジアカップのサッカーでわかっちゃいましたからね、複雑な気分です。


まぁ、仲良くできるんならそれに越したことはないので、ニコニコしている間に車に乗せて一緒に靖国神社に連れて行っちゃうなんていうのはどうでしょう(笑)。

いずれにしろ、北朝鮮や台湾に関しても微妙な駆け引きがあるでしょう。


温家宝 安倍首相.jpg



まじめな話、今回の来日では、色々な注目点があるのですが、小泉政権時代のアメリカとの蜜月関係にひびが入りつつあるという指摘もある、微妙なタイミングだけに日中関係がどうなるか、非常に気になります。


本書は、『文明の衝突』 の続編のような売り出し方で、『文明の衝突』が98年に出て、その後2000年に本書が出版されました。文明の衝突では日本に触れる部分が少なかったので、書名を見て期待したのですが、ほとんど文明の衝突の廉価版という感じです。一応論文が二つ追加されてはいますが。


ハンチントン氏は世界を8つの文明に分けます。西欧、東方正教会(ロシアなど)、中華、日本、イスラム、ヒンドゥー、ラテンアメリカです。この分け方自体に異論もあるでしょうが、とりあえずこれからの時代は国家の枠組みというより、文明の枠組みで衝突が起こると主張したわけです。


そして、それ以降、9.11のテロやロシアのチェチェン独立問題や東ティモールなどが起きて、ハンチントンの予言が当たった!となりました。確かにこれらの事件に関しては、国家以上に文明の力が引き起こしている部分が大きいと思います。


さて、問題は日本です。ハンチントン氏は日本を独立した一つの文明として、中華とは違うというように分類しています。が、困ったことに、どこの文明とも違うので、国単位で見ると、日本は孤立していくと指摘するのです。


そして、歴史的に見れば、日本は一番強い文明とくっつきたがるので、今後は衰退期に入るであろう西欧文明のアメリカではなく、どんどん力を付けて存在感を増している中華文明と連携するのではないか、2010年頃の予測としてそう書かれているのです。


今、2007年で、日米の雰囲気がちょっと悪くなって、逆に中国が親日ムードのまま北京オリンピックで大歓迎な~んて考えると、あながち荒唐無稽とは言えませんね。同時に氏は、自分の国アメリカに対しては、ぜひとも日本を味方につけておけと忠告しています。


文明の衝突』が500ページを越え3千円近くするのに対し、こちらは解説を省けば190ページほどの新書で700円くらいです。確かに一章分だけは日本に当てているのですが、他は文明の衝突の要約のような内容でした。

従って、続編を連想させる、こういう書名の付け方、売り方には正直がっかりさせられましたが、文明の衝突に興味があっても、まだ読んでいないという方ならお薦めできます。


同氏の『分断されるアメリカ』 の内容も、アメリカの大統領候補に、オバマ氏のようなスターが出現し、予想が当たっているような気がします。興味深い一冊でお薦めできます。

Barack_Obama_portrait_2005.jpg
(オバマ氏)

 

文明の衝突と21世紀の日本

集英社

 詳 細


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『文明の衝突と21世紀の日本』サミュエル・ハンチントン著 鈴木主税 訳
集英社:205P:693円



 


習った漢字 ゆとり教育の成果は?

2007年04月11日 | メルマガ関連記事





コラムのコメント欄で、歴史などは特に、『教科書を易しくすると逆に分かりにくくなる』 というパラドックスを紹介しましたが、国語の漢字学習だと、“まぜ書き” がそれに当たるでしょうか。“ら致” とか、“う回” とか難しい漢字を使わず、ひらがなとまぜて書くやり方です。


やはり、“拉致(らち)”、“迂回(うかい)” と漢字を書いて、難しければルビを付けてくれた方がずっと読みやすいし、子どもにとっても良いと私は思いますが、いかがでしょう。


それはともかく、その漢字に関してですが、これもゆとり教育で学習量が減りました。教科書は易しい方が良いという方もおられるようで、その易しくなった教科書の漢字を生徒たちはどの程度書けるのかという調査がありますのでご紹介しましょう。


これも、今月の当教室のメルマガで取り上げたものです。以下がメルマガの記事です。



 ■■■


『習った漢字』


中2・3年生の生徒諸君に質問です。ちゃんと頭の中で具体的に答えて下さいね。いいですか。

■ 質問 ■ 去年(中3なら2年生の時の一年間、中2なら1年生の時)、君たちが学校で習った教科書に出ている漢字、今100問テストをしたら、何問くらい正確に書けるでしょうか?


先生方にも

■ 質問 ■ 去年一年、学校で教えた漢字、生徒が今年になってどのくらい書けていれば指導した側としては満足でしょうか?


一応すでに教えた漢字、習った漢字ですから100%書けるのが理想ですが、まぁそうは行きませんよね。東京都内の6校の中学生2000人以上を対象に、ベネッセが実施した漢字の書き取りテストの結果をお知らせしましょう。

概要はこちら ⇒ 
http://benesse.jp/berd/center/open/report/kanji/2005/pdf/kanji01.pdf


中学1・2年生には中学1年で習った漢字を、中学3年生には2年生に習った漢字のテストを実施しました。 で結果ですが、びっくりしますよ。


  ■ 得点 ■   ■生徒の割合■

【0点以上~10点未満】   17.7%

【10点以上~20点未満】  22.2%

【20点以上~30点未満】  21.3%

【30点以上~40点未満】  13.9%

【40点以上~50点未満】  10.5%

【50点以上~60点未満】   6.2%

【60点以上~70点未満】   4.0%

【70点以上~80点未満】   2.5%

【80点以上~90点未満】   1.5%

【90点以上~100点以下】  0.2%



何と平均点はたったの27.8点!全部習ったものですよ。 しかもこのテストを受けた生徒の中には、当然学習塾に通っている人も多数含まれているでしょうから、それを除いてテストをしたらどんなことになるのでしょう。おそろしい。

さらに学校間の平均点、一番上の学校が、32.4点もあるのに、一番下の学校では22.1点と、平均で何と10点もの大差が付いています。

このデータに今の“ゆとり教育”の問題点が集約されているような気がします。とにかく公立の学校が宿題も出さず、定期テストの時しか、生徒たちは漢字をまとめて練習せず、その時だけ覚えてもすぐに忘れてしまいます。

おそらく計算問題にしても、英語にしても、社会や理科も同じでしょう。みんな大丈夫かな?

さらに詳しいテストの内容はこちら ⇒http://benesse.jp/berd/center/open/report/kanji/2005/pdf/kanji03.pdf

 

■■■


いかがでしょう。小学校に英語の授業を入れることも議論されていますが、その前に改革することがあると思うのです。ここまでひどいとなると、もはや学校だけの問題ではないような気もしますし、塾だって力不足でしょう。家庭環境やパソコンの普及の問題もあると思います。

実際に漢字が書けないというのは、子どもに限ったことではありません。テレビの字幕にも誤字が目立つという指摘もあります。(そういえば、この前、あるアナウンサーが不手際(ふてぎわ)を 『“ふていさい”をお詫びします』 と言っていてびっくりしました)


しかし、少なくともこの調査結果は、“全員が分かるようになる” ことを目指し、学習内容を厳選したはずの、ゆとり教育の成果です。それぞれの学校にそれぞれの事情があるのかもしれませんが、何よりもこうした調査を綿密に行い、そのデータを公表することで、適切な対策も立てられると思うのです。



最後まで、お読みいただきありがとうございました。
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P.S. 漢字に関して、白川静先生の 『神さまがくれた漢字たち』 はすごい本だと思いました。よろしければ参考までにご覧下さい。


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全国学力テストに関して (新たな教科書問題)

2007年04月10日 | コラム・備忘録





 以下は当教室の今月号のメルマガに、私が投稿した教育コラムです。少し手を加えました。

 よろしければお読み下さい。

■■■■■



 『全国学力テストの利用法』


教科書問題といえば、これまで中国・韓国から指摘される歴史教科書のことでしたが、ここへ来て新しい教科書問題が持ち上がっています。教科書の二極化、格差の問題です。

来年から使われる高校2・3年生用の教科書検定に関して、朝日新聞や産経新聞などでも大きく報道されました。 


高校教科書、二極化 学力格差浮き彫り (朝日新聞)

どこまで「あり」教科書の漫画多用 (産経新聞)



つまり、アインシュタインの相対性理論とか昨年のノーベル賞の対象になった研究を載せた、最新かつ高度な情報を含んだ教科書が出てきた一方で、逆にとても高校生が使うとは思えないような、易しいまんが本、絵本のような教科書が登場してきたというのです。


ある高校数学の教科書では、半分以上のページにイラストが付き、吹き出しつきのマンガまで載っています。別の教科書では、小学校で習う分数の計算練習まで付いているのがありますし、英語の教科書では、とうとう単語の読みを、カタカナで表記したものまで現われる始末です。


この教科書格差が出てきた理由は単純明快です。各社とも“売れる教科書” を作るためにしのぎを削っていることも確かです。ですが、何よりもゆとり教育で減らされてしまった授業数のせいで、分数計算などの基礎学力がさらに低下してしまい、これまでの教科書では難しくて使えなくなってしまったということでしょう。


心ある教育関係者は、アメリカ・イギリスで同様の現象がすでに現れたことを充分に承知しており、何年も前から日本での学力低下を必死に訴えてきました。ゆとり教育が導入されることに決まってからは、もう悲鳴に近い声を上げていたのです。


これまでずっと学力低下を否定し続けてきた文部科学省が、やっと学力の実態を把握しようと、この4月、40年ぶりに小6・中3を対象に、全国学力調査を実施します。あまりにも遅きに失したことは否めませんが、前進であることに違いありません。


ところが相変わらず、その調査に対し、教育の画一化、学校の序列化を招くとして、このテストを批判する声が教員組合を中心に上がっています。ペーパーテストだけでは測れない学力があるというような主張でしょう。


しかし、もしそれがいけないというのであれば、そもそも画一化の代表格、大学入試センター試験の即刻廃止を訴えるべきではないでしょうか。それならすじが通っています。

全国50万人、上から下まで、国立であれ私立であれ、同一のテストで振り分けるなど、画一化の権化のようなものです。日本中の大学受験生が同じ過去問をやり、同じ知識を吸収するように仕向けるのですから。本当に“個性”が大切だというのなら、各大学は、自分で入試問題を作れば済む話です。

“超画一的”なセンター試験をそのまま大学進学の条件として残しておきながら、公立の小中高では知識を測ることすらできないというのは実に不合理です。

とにかく、これ以上教育政策の失敗を隠すこと、生徒や教師に入試や学力に関する情報を遮断することは絶対に許されないと思うのです。


今、公立学校の先生方は定期テストの結果しか、学力の判断材料がないために、本番の入試の得点予測すら立てられず、とても進路指導ができるだけの情報を持たせてもらえません。特に一番失敗の許されない公立高校受験において、事態はもっとも深刻です。情報がなく、全くの手探りです。


本当に自分の生徒の進路を心配する先生なら、生徒の学力に関する客観情報、他校との比較した情報はのどから手が出るほど欲しいはずですから、学力テスト導入を批判する人は、進路指導についてどう考えているのでしょうか。

また通知表も絶対評価であれば、相対的な自分の学力的な位置は、父母はもちろん、本人ですら把握できていません。もちろん隣の学校との評価の違いもわからないというメチャクチャな状況が現実に続いているのです。これをすぐに直したいのです。塾に通えない生徒は情報ゼロ、完全に不公平です。


情報が定期テストしかないために、実際はできる生徒ができないと勘違いし、できない者ができると思い込んでしまい、本番の入試で失敗する例は実に多いのです。

いまだにテストに反対している人は、生徒のためではなく、自分たちが教員同士で競争させられ、学習指導の成果が客観的に比較されるのを恐れているのではないでしょうか。

テストを実施するだけでなく、きちんと都道府県別や学校別、科目別など細かいデータを公表し、少しでも塾に通っていない生徒や熱心な先生たちに自分の学力、学校について情報を与えるべきです。

そうすれば、成績の芳しくない地域や学校については、きちんと対策を立てられますから、上でご紹介したように、高校で小学校の分数の復習をするなどという事態はすぐに改善されるはずです。


まさか高校の教科書で小学生の内容を復習する教科書まで現われてきたこと、カタカナで英語を教える高校の教科書が登場したことを “多様化した” と喜ぶ教育関係者はいないはずです。


 
■■■■■


と強く思うのですがいかがでしょうか。最後まで、お読みいただきありがとうございました。もし記事に賛同していただければ、クリックをしていただけるとありがたいです。よろしくお願いします。
 
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『復讐する海ー捕鯨船エセックス号の悲劇』 ナサニエル・フィルブリック(著) 相原真理子(訳)

2007年04月10日 | ノンフィクション


復讐する海.jpg


全米図書賞を受賞したすばらしいノンフィクションです。


世界一の海洋小説とも呼ばれる、ハーマン・メルヴィルの書いた『白鯨』。そのクライマックスシーンは、怒り狂ったマッコウクジラが実在していた捕鯨船エセックス号を沈めてしまった事件を元に書かれていたのだそうです。 


『白鯨』 では船が沈没したところで物語を終えてしまうのですが、実際のエセックス号の悲劇は、その沈没後からはじまったと言っても過言ではありません。エセックス号の乗組員たちは、クジラに沈没させられたあと、小さなボート3隻に乗り移り、それぞれ故郷の町、ナンタケットへたどり着くことを目指したのです。


1820年、今から180年も前、江戸時代のできごとです。当時アメリカでは、鯨から油を取るために多くの捕鯨船が太平洋に出ていました。1853年にペリーが浦賀に現われた理由のひとつも捕鯨の中継地として日本を利用したかったためですね。


アメリカ近海の鯨を捕りつくし、日本沖、西太平洋に鯨の群れがいることを発見していたからです。話はそれますが、彼らは日本人のように鯨を食べるのではなく、わずかな鯨油を採ったらあとは全部捨てる。こんな乱獲をしておきながら、今頃になって日本の捕鯨反対なんてよく言えたもんです。まったく。


(日本の調査捕鯨:マッコウクジラ、大きいですね)
マッコウクジラ3.jpg

このひれでたたかれたら、ひとたまりもないでしょうね。 

マッコウクジラ.jpg
「(財)日本鯨類研究所 提供」


さて、その鯨油を求めて次第に遠くまで出なければならなくなった捕鯨船、エセックス号が沈没した後、彼らは必死で5000キロ離れた故郷を目指しますが、20人のうち生き残ったのはわずかに8人。

いったい何があったのか、3隻のうちの一つが救出された時、半死半生の状態の船員二人は手に、仲間の骨を握っていた…。そう、彼らは仲間の肉を食べながら生きながらえてきたわけです。


実際に起こったことが、あまりにも衝撃的であったために、当初はその事実が簡単には受け入れられませんでした。敬虔なクエーカー教徒たちの町でできたその捕鯨船なのですが、最初に食べられたのが黒人たちであったということも、彼らにはうまく説明できなかったそうです。


生き残った乗組員たちは、それぞれにいろいろな形で事件について語ったり、書いたりしていたのですが、それらのなかには、近年になって見つかったものがあります。当時考えられていたとは異なる事実も判明し、本書はそれを綿密に収集分析した一冊なのです。

できごと自体も想像を絶するすさまじさですが、本書の取材がすごい。筆者はエセックス号の故郷であるナンタケットに住む歴史家ですが、すべてのできごとを実に丹念に調べ上げているのがわかります。いったいこれを書き上げるのに何年かかったのか、そう聞きたくなるくらいの力作です。


どんな悲惨なできごとも、どんな予想外の事故に対しても徹底して冷静な筆致で、その状況を再現しようと努め、何が失敗だったのかを見極め、船員たちの心理を読み解こうとします。この、感情を徹底的に排した書き方が、返ってその時に起こっていたことの深刻さ、不気味さを印象付けます。


途中で見つけた小さな無人島にとどまって、地獄のような航海をやめ、仲間と別れる決断をした船員もいます。仲間に進んで食べられたものまでいます。人肉を食べてでも、その筆舌に尽くしがたい困難を乗り越えて還ってきた船員たち。

しかし、それは英雄として賞賛されるでしょうか、それとも…。故郷の人々はそれをどう受け止めたのかを知るために、生還した船員のその後の人生までしっかりと追跡をしています。


以上のような内容だけに目をそむけたくなるような事実もたくさん出てきます。決して美しい物語ではありません。エセックス号が転覆して以来、食料も水も減る一方で、自分たちの正確な位置すら確認できず、仲間も一人、また一人と力尽き死んで行ってしまうわけです。

絶望の淵で、極限の状況に置かれた者たちの姿、地獄絵図でもあります。刻々迫ってくる自分の最期を感じながら、自然に翻弄されながらも生き続けてしまう人々。人間のたくましさというより、生の虚しさまで感じるような一冊でした。

復讐する海―捕鯨船エセックス号の悲劇

集英社

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『復讐する海ー捕鯨船エセックス号の悲劇』 ナサニエル・フィルブリック(著) 相原真理子(訳)
集英社:296P:2415円


『受験算数の裏ワザテクニック』 山内正著

2007年04月10日 | 中学受験関連【算数・国語参考書など】


受験算数の裏ワザテクニック.jpg


中学受験用の算数の参考書です。そもそも中学受験では、パズルなどの類は別にして、算数を自習するのは至難の業ですね。このシリーズは結構売れているようですが、どうなんでしょうか。

中川適塾のmonta先生がレビューを書いてくれましたので、ご紹介しましょう。

以下が、monta先生の解説・書評です。


■■■

この本は、小学生が自分で読んで理解するというより、教える側が(特にプロではない父母やアルバイトの家庭教師)これを参考に教えたら、子供たちが問題を解きやすくなると思います。

線分図のような問題では解くルール・書くルールを決めてあげることが必要です。その基礎的なものをしっかり理解させる説明が多いです。

この本の内容をきちんと理解させれば、小学生にとっては問題がやりやすくなるのは間違いありません。算数の基礎的なところでつまずいてしまった場合や、受験勉強初期のころに見ておくと良いのではないでしょうか。

ただし、使い方は難しいと思います。書かれている対象が曖昧なのです。トップレベルの生徒には、ここに書いてあることは裏ワザでも何でもない当たり前のやり方ですし、逆に基礎力がないとなかなかどこをやれば良いのかわからないと思います。

ですから、生徒一人で使うのではなく、指導する側がやる内容を厳選する必要があると思います。


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なるほど、生徒より、アルバイト学生やご父母が教える際に使えるということですね。ありがとうございました。

受験算数の裏ワザテクニック

文英堂

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『受験算数の裏ワザテクニック』山内正著
文英堂:224P:998円