本を読もう!!VIVA読書!

【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『砂の文明、石の文明、泥の文明』 松本健一

2007年04月12日 | 新書教養

 

砂の文明・石の文明・泥の文明.jpg


温家宝氏が国会で演説しました。日本と中国で、“戦略的互恵関係” を築くのだそうですが、何が具体化してくるのでしょう。


さて、昨日取り上げました、『文明の衝突(ハンチントン)』 および 『文明の衝突と21世紀の日本』 では、日本と中国を異なる文明に分類していました。だからぶつかることが多いと。確かに中華思想にあるような、東夷・南蛮・西戎・北狄 という考え方は、日本では異質かなと思います。


ところが、今日、ご紹介する本では、日本・中国だけでなくインドまでを “泥の文明” として一くくりにしています。いろいろな見方があっておもしろいですね。

泥の文明というのは、日・中・印などの東アジアで、水田や、湿地、雨林などが多く、作物など恵みを与えてくれる天を神とみなし、共同体的作業や品種改良といったことが得意な人々が住んでいるところに生まれた文明です。


砂の文明は、アラブ、イスラムなど砂漠地帯の文明で、自ら生産活動ができないために、らくだに乗ってさまざまな物資や情報のネットワークを利用した交易が生まれたところ。バクダッドなどはその折のオアシスの一つだったそうです。  


石はヨーロッパに代表されるような、表土が薄く畑作をしようにも、すぐに岩盤に当たってしまうような土地に栄えた文明です。そういう地では農業の生産性は上がらないために、放牧や、それに手を加えるため、自然を理解し克服するために自然科学や、輸送などの技術開発が進んだという分析です。


簡単に言えばこのように分析をし、それぞれの民族性や社会を論じます。なるほどこうした視点から、世界を三つに分けて俯瞰してみると、すっきり整理できたような気がします。日本人論もおもしろかったです。


主な話題を取り上げますと

■人はなぜ「不毛」な砂漠に住むのか

■中国の「精神文明」、日本の「精神文化」

■「文化」は民族の生きるかたち

■「文明の衝突」はあり得ない

■「アメリカ原理主義」という病理

■アラブの国境線が点線である理由

■なぜ日本車が世界を制覇したのか

■日本文化の底層にあるインド文明

■力のヨーロッパ、美のアジア 



文明論と言っても、系統だった論文ではなく、エッセイのような書き方で読みやすくなっています。3つの文明をそれぞれ比較し、論ずる前に、第1章として「文明と文化の違い」があります。そこの部分だけは中学生にはちょっと難しいかなという気がしました。

目次です

●序章 砂の風土との戦い 

●第1章 文化と文明の違い 

●第2章 石の文明―外に進出する力 

●第3章 砂の文明―ネットワークする力 

●第4章 泥の文明―内に蓄積する力 

●第5章 「泥の文明」の中の日本 

●終章 文明としてのインド再発見




目次や内容を見て、おもしろそうだと思いませんか。実際、おもしろかったので興味のある方はぜひお読み下さい。

 


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砂の文明・石の文明・泥の文明

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『特進クラスの社会―有名中学入試を突破する』水谷康昌

2007年04月12日 | 中学受験関連【算数・国語参考書など】


特進クラスのミ会.jpg

 
中学受験は、高校・大学受験に比べて、勉強方法次第で成果に大きく作用しますが、参考書選びも極めて難しいですね。何度も申し上げていますが、本当は志望校によって、本人の学力などによって、まったく選ぶ基準が異なりますので、専門家に個別に相談するのがベストです。


ただ、誰でも家の近くに理想的な進学塾があるわけではないでしょうし、信頼できるプロがいるわけでもないでしょうから、そういう方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

売れているから良いと考えるのは非常に危険です。中学受験の最高のテキストは常に過去問ですからね。まずは指導する側がきちんと目を通して下さいね。勉強の進め方は 『中学受験偏差値40からの大逆転合格法(有井博之)』 などが参考になります。



今回は、genio先生にお願いしました。

 genio先生のブログ ⇒ 『試験に出る!時事ネタ日記!』 


以下が genio先生の書評・解説です。



■■■

参考書に絶対的な良し悪しはないというのが持論・・・まぁ、どんなものでも使い用だということなのですが、本書もまさにそれですね。

「力の5000題」よりもグラフや重要事項のまとめが優れているという印象を受けました。が、それでも基礎学力の不足している受験生が自学自習用に手を出すのは危険です。

本書は、知識のまとめを辞書として、問題集を練習用として活用すればバランスが良いと思います。

暗記用として全てを覚えきろうとすると、どうしても無理が祟って消化不良に陥るか、全てを消化するころには受験が終わっているかのどちらかになるでしょう。

これは中学受験に限りませんが、もちろん、社会の受験勉強は膨大な知識量を定着させなければならないため、暗記を徹底することは必要です。しかし、最初から密度を濃く進めるよりも、ラフに(浅く)早く一巡してしまうことです。

何回も繰り返し基本事項を確認しながら並行して問題集も進め、その中で知識の密度を濃くしていくやり方が最も効果的だと思います。 ただ、合否を決定的に左右しかねない基本だけに限定して参考書や教科書を作ってしまうと、ゆとり教育における教科書と同じように内容の薄く面白みのないものになってしまいます。

社会の学習は周辺的な事項も一つの文脈として流れにしたときに初めて面白みが出てきます。全てを同じように飲み込むのではなく、重要な事項とそうでない事項についてメリハリをつけた学習をすることが大切でしょう。

教える立場からすると知識が上手く纏められていて、とても使い易い参考書だと思います。


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特進クラスのシリーズはどれも量が膨大ですね。利用するなら、理科・社会を辞書的に使うのが良いのかなという気がします。

何か質問などがあれば、genio先生のブログ の方へどうぞ。

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『特進クラスの社会―有名中学入試を突破する』水谷康昌
文英堂:496P:2205円

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