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『オレ様化する子どもたち』 諏訪哲二

2006年10月18日 | 教育関連書籍


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“いじめによる自殺” に関して、学校側、教育行政の対応に批判が集中しています。確かに 『ナイフ(重松清)』 のところで触れたように、重度の機能不全におちいっている印象を私も持っていますから、大いに問題点を議論し、改善すべきだと思います。

ただし、それでも問題の一部を取り出したに過ぎません。そもそも、いじめる子、ある意味、暴行や恐喝という犯罪行為をし、他人を死に追い詰めてしまう子どもの問題は、何も分析、解決されません。

どんな生徒たちだったのか、私の知る限り、ほとんど報道もありません。


今日、取り上げるのは、現代の子どもに何が起こっているのかを掘り下げた、非常に優れた、名著とも呼べる一冊ではないかと思っています。

本書の大前提は、“子ども”という存在を、無垢のものとして神聖視したり、イデオロギーで語ったりするのをいったんやめて、何が起こっているのか分析しようというものです。

何よりも子どもというのは、学校ではなく、社会全体の思想や流れに、最も敏感に影響を受け、したがって社会を、もっともストレートに映し出しているのだからということです。 その通りだと思います。


80年代のいじめ、校内暴力、その頃から子どもが変わったと指摘され、何かあるたびに、子どもではなく、教師、学校、社会批判がなされました。しかし、いまだに世間が、『子どもがわからない』状態が続いていると指摘します。いったい子どもに何が起こっているのか。

筆者は、現代を、社会の隅々まで、生まれてから、どうやって死ぬかまで、お金とそれにまつわる情報があふれている時代だと見ます。すでに子どもたちは経済的には独自の判断をする、『消費の主体』となっています。 ところが消費では主体であっても、学習や労働の場では、主体ではありません。


“タバコを吸ってはいけない”というのは、消費の観点から見ると、自分のお金で買って、自分の部屋で吸っているならば、教師が出るマクはないというわけです。

さらに、授業中に『しゃべってはいけない』という注意に対し、『しゃべってねえよ、オカマ!』 と先生に言い返す生徒。現場を押さえられているにもかかわらず、『喫煙していない、カンニングをしていない』と言い張る生徒。これらをどう理解すればよいのでしょう。

すべて彼らが主張しているのは、市場経済でいう“等価交換”だというのです。つまり、自分の行為と処罰や人前で叱られるというマイナス行為が、つりあわないと感じて、怒ってしまう。経済的に常に“等価”という考え方が、学校という、本来、ひどくそれが釣り合わない場所に持ち込まれた現象だと分析します。

過度の平等主義から、“教師も生徒も同等の一人の人間”、などというイデオロギーも、こうした現象を後押ししているかもしれませんね。


子どもは『自分を変えよう』としなくなった、子どもには完成した自分がすでにあり、一人の個である教師に、一人の個として拮抗しようとすることが教師をあわてさせているとします。

確かに、消費ということに関しては、高校生くらいなら、大人顔負けの主体として、何でも判断できるでしょうが、教育の場面ではそうはいきません。そこを子どもにわきまえさせる、親の教養や、洞察力があるかないかで、子どもの将来に大きく影響を及ぼすという指摘です。そうなると、格差社会へつながりまでも見えてきます。


さらに、後半はメディアで盛んに発言が取り上げられる、宮台真司、和田秀樹、上野千鶴子、尾木直樹、村上龍、水谷修の各氏の教育観を論評します。長くなりますので、紹介しませんが、その分析や問題提起にもうならされます。

強く推薦したい一冊です。



http://tokkun.net/jump.htm
 


P.S.
 当教室のある、横浜市都筑区というのは、ある経済紙に、日本で唯一“塾のダンピングが起こっている!”と書かれたことがあります。それで余計にそうかもしれませんが、何が安い、高いということを親ごさんも生徒もよく話題にします。

中には『先生、その先生の食べている弁当ね、○○で、△△時以降に買うと、50円安いよ』などと教えてくれる、超親切な子まで(笑)。 それに関する子どもの判断は常に的確なんですわ、これが。


オレ様化する子どもたち

中央公論新社

詳  細



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『オレ様化する子どもたち』諏訪哲二
中公新書クラレ:238P:777円

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6 コメント

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・・・・ (bucky)
2006-10-18 12:57:13
子供は直面して(というか、持ってみて)はじめてその面白さと大変さに気がつきました。子供に背中を見せるにしても、正面きって付き合うにしても、とても根気のいる事です。

大人社会をそのまま映し出す、というのはしみじみと当たってると思います。

子供のいじめが増えるとは、大人社会で何が起こっているからなのか、その辺りも考えた方が良いのかもしれませんね。

是非読んでみたいと思いました。
Unknown (milesta)
2006-10-18 14:01:34
これは興味深いですね。

私たちが小さい頃に比べて、子供が子供らしくなくなっているような気がしていましたが、その背景がわかりそうな本ですね。

buckyさん (VIVA)
2006-10-18 17:27:49
いじめが増えているか、減っているかは難しい問題なんですよね。教育のデータっていうのは、本当に扱いにくいんですよ。だって、あんな遺書があってもいじめに入れないでしょ。



学力データも同様なんです。都道府県別センター試験平均点とか出せばいいんですけどね。



いずれにせよ、本書はお薦めです。
milestaさん (VIVA)
2006-10-18 17:31:04
そうですね。確かに、子どもでも、経済的な主体という意識が、すべての主体だと勘違いして、言動に表れるのかもしれませんね。なるほどと思ったところはいつも本の隅を折っておくのですが、本書だと、いくつもあったので、結局全部だなと一人で苦笑しておりました。よろしければご覧になって見てください。
小林よしのり。 (HIRO。)
2006-10-18 20:53:33
確か、間違いかも知れませんが、小林よしのり氏がこの本について書いていたような気がします。授業中、まったく自己中心的な生徒に対して先生はなすすべがない、といったような。昔の校内暴力はある意味、分かり易かったと思います。今は、子どもに全く自覚がないのでやっかいです。これは学校だけでなく家庭や社会全体の問題だと思います。
HIRO。さん (VIVA)
2006-10-19 10:26:14
そうですか、全く知りませんでした。おわかりになったらぜひ教えて下さい。



おっしゃるとおり、本書でも社会全体として、この問題を把握しなおして、教師はどうすべきかを考えていますね。それにしても、新鮮な知見だと感じました。

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