ポール・オースターは以前取り上げた、『英語達人読本(斎藤兆史・上岡伸雄)』の中で、現在日本で最も人気のあるアメリカ人作家として紹介されています。
達人読本は “音読で味わう最高の英文” と銘打った英語名文集です。 そのことからも分かるように、ポール・オースター自身の小説もすばらしく、私も好きなのですが、今回はその彼が選んだアメリカの物語を集めた一冊を紹介します。
ナショナル・ストーリー・プロジェクトというのは、彼がホストを務めるラジオ番組で、リスナーに、“自分自身の物語を書いてくれ”と呼びかけ、現実にあったことで、短いストーリー(ラジオで朗読できるように)という条件で募集したものです。
なんと5000を越えるノンフィクションが集まったそうですが、その内容はありとあらゆる年齢、人種、階層のありとあらゆる物語が詰まっており、本当にアメリカを象徴する物語集になりました。
その中から選ばれた優秀な作品180を集め『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』として、新潮社から出されております。(556P:2730円)↓
これも良いのですが、556Pというボリュームがあり、さすがにアメリカ、メルティングポットというか、サラダボールというか、本当にいろいろ混入されており、それぞれが人生を語るわけですから、ヘビー過ぎるのです。
正直、ちょっと読むのがつらくなってきます。ポール・オースター自身が似たような感想を漏らしています。原稿を読んでいると、自分のリビングルームにアメリカ中の人々が押し寄せたようだと…。
アメリカ大好きとか研究家には絶好の資料といえるほど楽しいでしょうから、興味のある方はそちらを。
そこで、その中からさらに厳選した作品18を選び、何とポール・オースター自身が朗読した英文集である本書の方を紹介しました。このような経緯ですから、当然、素人の書いた文ということになりますが、忘れられない話ばかりです。
ページ数は多いのですが、字が大きく、英日対訳になっているためです。 しかもこのうちいくつかは、大学入試で出されたものが入っています。こんなところからも大学は英文を取るんですね。
笑い話もあるのですが、人生を変えるということになると、やはり肉親の死や、戦争などを語ったものが多く、さらに厳選されただけあって、どれもこれも印象的です。
当然のことながら、大学入試を意識した本ではありませんが、英語の受験指導にも使ってみたいと感じますし、リスニングの練習にもなります。そして最近特に評判の悪いアメリカですが、その現代アメリカの生の良心の部分に触れることができます(笑)。
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『ポール・オースターが朗読する ナショナル・ストーリー・プロジェクト』ポールオースター
アルク:229P:2730円
2001年9月11日早朝までの還暦を迎えた男性を中心とした人情話しです。
そういえば『初秋』読みましたよ。まったく知らなかったのですが、すばらしい一冊でした。良書をご紹介いただきありがとうございました。
社会のスケールが日本と違うと、ハードボイルドのスケールも違ってきて、とてもおもしろかったです。どこかで取り上げようと思っておりますが、本音は、山ちゃんさんに書いていただきたい(笑)。