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『博士の愛した数式』小川洋子

2007年05月10日 | 小説

先日、大学受験生の授業で扱った英文の中で、『数学は現代文化の形成における原動力であった』 という記述が出てきました。そこで生徒たちに、映画化もされた本書を読んだかどうか聞きましたが、誰も読んでいませんでした。残念!

どう紹介したら、生徒に読んでもらえるかなぁ~と迷ってしまうくらい、おすすめしたい小説です。私が読んだのは、もうかなり前ですが、それでも気持ちとしては、本書は “全中学・高校生必読!” です。

交通事故によって80分しか記憶が続かなくなってしまった天才数学者(博士)、その世話に通う清貧の家政婦と、その10歳になる息子が中心人物です。

数式にしか興味のないはずの老博士が、家政婦に子どもがいると知り、博士の世話をするより自分の子どもの世話をするように言い張ります。生活していくためにそれはできないと家政婦が答えると、ではここで一緒に食事をすれば良いということになります。

こうして3人の時間ができ、ドラマが始まります。見ず知らずの人の子どもにルート(√)と名づけ、溺愛しますが、悲しいかな博士の記憶はわずかに80分。“メモ” しておかなければ次の日には少年が誰なのかすら分かりません。

女性、子ども、老人と、それぞれに社会的な弱みや、限界をかかえながらも、人の心を思いやりながら生きる姿、展開されるエピソードに引き込まれます。そして、その交流の真ん中になんと“数学”があります。学校で習う、テクニックとしての数学とは異なる美しい数学です。

“数学” によって、少年の“無限” の可能性や、人の出会いの“偶然と必然” を示唆しているようであり、数学の“厳格さ” を強調することで生の限界を示しているようでもあり、その反対の人の心の“理不尽さ” を描いているようでもあります。

以前、サイモンシンの書いたドキュメンタリー『フェルマーの最終定理』 を読んだ時も、それに挑んだ数学者達の姿と数学の美しさに魅せられましたが、本書では、別の種類の感動を同じくらい多く味わうことができました。やはり小説の力は数学同様、偉大です。

小川氏自身が数学の持つ神秘性や美しさに惹かれていることは明らかですが、それを見事に過不足なく紹介しながら、人の心の美しさを同じように描いてしまう手法や技量に、ただただ恐れ入りました。

未読ですが、小川氏と藤原正彦氏との対談『世にも美しい数学入門』 も評判が良いようですね。映画はどうなんでしょうか。


http://tokkun.net/jump.htm
博士の愛した数式

新潮社

詳 細


博士の愛した数式

角川エンタテインメント

詳 細


『博士の愛した数式』小川洋子(他に文庫版・コミック版もあり)
新潮社:253P:1575円


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10 コメント

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大好き! (飛び入りで~す!)
2006-06-15 14:34:13
です。この本。超オススメ!!!

読んでくれるといいですね。
お~ (VIVA)
2006-06-15 15:36:27
記事投稿後、わずか数秒で、コメントいただきました。びっくりした~。こういうこともあるんですね!

飛び入りで~す!さん:ありがとうございます。ぜひ常連にまでなっていただきたい(笑)。
スエーデンの応援です (kazu4502)
2006-06-16 04:01:30
おはようございます、vivaさん毎日ご苦労様です、ランキングすごいですね、5つも押せば時間がかかりますよ(笑)これからスエーデンの応援です、眠いけどストックホルムの友人のためにもがんばらなくちゃ、意外にケルト民族好きなんですよ、美人も多いし、関係なんか(苦笑)

さぁ4時から試合開始です。

しかし眠いなぁ、ワールドカップのおかげで毎日が寝不足ですよ、仕事ができなーーーい!

早速感想書いてみました♪ (女のゆう)
2006-06-28 23:17:15
普段数字に触れる機会は世界史の年号とページの数ほどしかない私にも難なく読めました

年号を暗記する時にちょっと立ち止まってその数が素数かどうかチェックしたくなっちゃいそうです(笑)

もちろんこちらに紹介されている本もチェックしますが、また面白い本でこれくらい軽く読める本を教えてくださいね
女のゆうさん (VIVA)
2006-06-29 13:28:15
ようこそ!受験生で本を読む余裕があるのはすばらしいです。いろんな数字が出てくる世界史で、素数かどうか考えていたら、先に進まない(笑)。でも、見つけたら絶対忘れないか(笑)。ガンバッて!
2度目の訪問です。おはようございます (街中の案山子)
2006-07-10 07:26:24
弊ブログもお尋ねいただきありがとうございました。

博士が、数学パズルを解いては応募していましたよね。(難問も解けることに対して)「ボクは神様の手帳に書いてある答えをちょっと、見せてもらっているだけなんだよ」って言うところ、いいな、と思った記憶があります。

そして、「フェルマーの最終定理」では、貴族の親戚だという女性数学者が、かのベルサイユ宮殿のパーティーへ親戚の替わりに出かけたときに、周りの女性達が話している話題のおもしろなさに辟易したとの記載があったこと。おしゃれに夢中な貴族おばさんたち、噂話やお世辞、着る物、食べ物の話だったのだろうな、なんて現実的な想像したものです。そんな些少なことしか覚えていません(苦笑)。
やっぱり読みたい (ぶきおん)
2006-07-11 14:20:49
はじめまして。

読書ランキングのブログをサーフィン中です。

たくさん訪問したいところがあって迷います。

楽しいのでやめられませんが。

で、VIVAさんのブログに、つい足(?)をとめてしまいました。

小川洋子は「妊娠カレンダー」しか読んだことがないんですね。

この「博士の愛した数式」はそのうち読もうと思っているうちに・・・いまだ未読です。なんだかんだと。あっという間に話題作になって本屋大賞までとってしまいましたね。あっけにとられました。

それなのに読んでいないわたしです。

こんど読みます。
ぶきおんさん (VIVA)
2006-07-11 15:15:39
ようこそいらっしゃいました。コメントありがとうございます。ぜひ、お読みになった感想などお聞かせ下さい。お待ちしております。
やっと読みました (ぶきおん)
2006-08-15 22:33:51
VIVAさん、お久しぶりです。

ようやく「博士の愛した数式」を読みました。

小川さんにしてはメルヘンっぽい?

部分もあった気がしますが。

おもしろかったです。

ですが数式はなるべく見ないようにしました。

でへっという感じです。

ごまかしながら去ります。

また遊びにきます。

ほとぼり(?)がさめたころに。
ぶきおんさん (VIVA)
2006-08-16 11:30:41
いやぁ~本当にお久しぶりですね。お越しいただいて、しかも実際にお読みいただくなんて、とてもうれしいです。ほとぼりさましてください(笑)。

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