包丁のトギノン ブログ

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-本刃付けについて2-

2009-07-24 | 包丁の切れ味考察
-本刃付けについて2-

前回、お話しした本刃付けについてのつづきです。
今回は具体的な加工方法に迫ってみたいと思います。

まず、下図の写真をご覧下さい。
5寸口金付ペテーナイフを例にご説明します。
標準刃?の包丁と本刃付け加工の包丁の比較です。



刃物の写真は光り物と言われ上手く写すことが難しいので、現物と比べると上手く表現できていません。
私的には写り具合に不満があるのですが...なんとか違いが解りますか?

なんとなく刃先の加工が少し違うかな~という位にしか感じませんが、ここに本刃付け加工の秘密があるのです。

それには、包丁の刀身の研ぎ(刃先だけではない)からご説明しなければなりません。
本来包丁は鋼材を板状にして包丁の形を作ってゆきます。


しかしその包丁の形状をした板状の物に刃を付けただけでは、カッターナイフのような刃しかつきません。
100円均一ショップなどで販売されている包丁は実はこのカッターナイフ状態に加工されている物がほとんどみたいです。
この手の包丁は切れ味を確保するため身厚(鋼材の厚み)が薄い物を使っているタイプが多い。しかしこれだと包丁の身厚が無いので硬い物や大きな食材を切るときに強度不足でかけたり、曲がり易かったりとカッチリ感が無いなど問題が出てきます。
この問題を解決するために厚めの刀身を加工している物もありますが、刃先が鈍角になりナタのような刃角になっていますので、最初は切れるのですが刃先が鈍角なのと身が厚いので包丁が食材に食い込んでゆきにくくなります。


それに引き替え、それなりにちゃんとした包丁は「刃肉取り」作業を行っています。
刃肉取りとは下図のように刀身の身厚を研上げる加工のことです。

この加工は大変な技術と手間を要します。
刃肉取りによって得られるメリットは、包丁の峰(刀身の背部)から刃先にかけてテーパー状に研上げられることにより、強度を確保しながら食材に食い込みやすく、刃先を鋭くできるので切れ味も確保できることです。

ただ、刃肉取りも使用目的に応じた包丁の特性?素性?によって適正値は変化して行くのでただテーパーにすれば良いという物ではありません。
鋼材の身厚も出刃、柳刃、牛刀、三徳、ペテー等それぞれ想定される使用範囲において適した厚みがあります。

ま、ここが上手く選択し加工出来るか出来ないかは職人の腕の見せ所なのでしょうけどね。

少々、本刃付け加工から話が脱線気味でしたが、刀身の研ぎが解っていないとこの先の話も誤解され易いのでお話しさせていただきました。

長くなりそうなので続きはまた次回に。

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