【バンコク=小野由香子】公判欠席で逮捕状が出ているタイのインラック前首相について地元メディアは26日、「国外逃亡説が有力」と一斉に報じた。政府の公式発表はまだないが、各メディアは逃亡先としてシンガポールやアラブ首長国連邦(UAE)のドバイ、英国などを挙げている。前首相を支持するタクシン派の求心力低下を狙う軍事政権が逃亡を手助けしたとの臆測も広がっている。
インラック前首相は在任中のコメ買い上げ政策を巡り職務怠慢の罪で問われている。判決公判を25日に予定していたが、体調不良を理由に急きょ欠席。現在の所在はわかっておらず、最高裁は逮捕状を出している。
英字紙バンコク・ポストは、政府や同氏の家族関係者の話として、インラック氏が公判前々日の23日には既にカンボジアに渡っていたと報じた。国外逃亡中の兄のタクシン元首相に会うため、シンガポール経由でドバイに向かっているという。
新聞コムチャルック(電子版)は「逃亡は軍政にとって喜ばしいこと」と指摘。タクシン氏とインラック氏が国内にいないとなれば、タクシン派の求心力低下は避けられないとした。同デイリーニュースは厳戒監視下にあったインラック氏が国外へ出るのは難しいと分析し、軍がカンボジアへの越境を手助けしたとする政府関係者筋の話を紹介した。