*主力市場の中国の景気減速が続、エレベーター、業務用空調など、最大速度で、売り上規模の拡大策不可欠であった、品揃えの弱点カバー、販売対象先増加、最適買収野1つ、ダイキンに比較してM&Aは劣位にあった、今回の買収でも何馬身も先?
株価推移 1,174.5前日比+28(+2.44%)
1株利益102.48 配当不定
三菱電機は25日、イタリアの業務用空調メーカー、デルクリマ社を買収すると発表した。買収額は約6億6400万(約902億円)で、三菱電機にとって過去最大のM&Aになる。日本に次ぐ重要市場と位置づける欧州で空調機器の品ぞろえを増やす。これまで販売代理店など小粒な買収を重ねてきたが、大型投資に踏み切り欧州市場で首位のダイキン工業を追撃する。
親会社のデロンギインダストリアルから、デルクリマの発行済み株式の約75%を11月末をめどに取得する。その後、残りの株式を(株式公開買い付け)で取得し、15年度中の完全子会社化を目指す。デルクリマ社の14/12期の売上高は約488億円だった。三菱電機の空調事業の売上高は16年3月期に約7200億円を見込む。
デルクリマは大型ビルや工場の空調に使われる「チラー」と呼ぶ機器に強みを持つ。冷温水をつくって室内機に送り室温を調節する装置で、三菱電機にとっては弱い分野になる。デルクリマは欧州のチラー市場で約10%のシェアを握る3位メーカーだ。同社はの室で使う空調機器でも高い技術を持つ。
一方で三菱電機は中小型のビルに使う空調機器を得意とする。大型から中小型の建物までカバーできる品ぞろえにし幅広い顧客を取り込む。
製品開発でも相乗効果を見込む。欧州を中心に認知度が高くブランド力があるデルクリマの製品に、三菱電機が持つモーターやパワー半導体の技術を導入して省エネなどの性能を高める計画だ。
欧州の空調機器市場ではダイキンが2割前後のシェアを持つ首位で、シェア12%の三菱電機がダイキンと激しく争っている。過去最大の規模となる買収に踏み切り追撃態勢を整える。
三菱電機はエアコンを含む家庭電器事業の規模を拡大する必要がある。連結売上高約4兆3000億円のうち、発電機や送配電機器の「重電システム」と、製造業の工場で使う自動化機器など「産業」がほぼ3割ずつを占め、収益のけん引役となっている。しかし、最近は両部門を取り巻く環境が厳しくなっている。
15年4~6月期の決算では重電システム部門は66億円の営業赤字になった。国内市場の伸び悩みで競争が激化しているためだ。産業メカトロニクスは前年同期比で増益となったが、主要な販売先である中国は経済成長の減速が懸念されている。「景気変動の影響を受けやすい事業と受けにくい事業のバランスをとる」と柵山正樹社長は買収の狙いを説明する。
三菱電機にとって家電は第3の柱だ。グループで手掛けているエレベーターや監視カメラなどの製品も含めて幅広く提案することで、世界市場を開拓する戦略だ