*三菱と日立は第三者サイドからみていると、野武士的なところが相性がいいようである、
(ブルームバーグ):三菱日立パワーシステムズ (MHPS)の西沢隆人社長はブルームバーグニュースのインタビューで、2020年に火力発電関連の受注額2兆円を目指す方針を明らかにした。
三菱重工業と日立製作所は、海外勢に対する競争力を強化するために火力発電事業を統合。昨年2月に同社を設立した。今期の受注額は1兆4000億円弱になる見通し。西沢氏は、2兆円という目標を達成し、昨年仏アルストムのガスタービン事業を買収した米ゼネラル・エレクトリック(GE)や、独シーメンスを超える「ナンバーワンになりたい」との思いを強めていると話した。
アルストムの買収をめぐっては、三菱重とシーメンスに日立も加わり共同で買収を提案したが、最終的にはGEに競り負けた。西沢氏は、これが刺激となり「われわれの中の融合がものすごく加速された」と話した。さらに融合を進展させるため、経営統合で先行しているJFEホールディングスの助言に従い、10月には両社の工場の設計部長や製造部長をそのまま「ばさっと入れ替えた」。4月1日にはもう一歩踏み込んだ人事交流も検討しているという。
中小型(100メガワット以下)のガスタービンに強かった日立、大型に強かった三菱重と、統合前の両社製品のラインナップの「いいとこ取り」できる点がMHPSの強みだと指摘する。西沢氏は顧客のニーズに合わせて2社の長所を組み合わせるという「いいとこ取りをすると不思議なことに受注が取れる」と明かした。
同じ資材の購入でもどちらかの工場のほうがもう一方の工場よりも安く調達している場合があり、以前はできなかった2社の調達価格の比較というコスト削減の効果が生まれた。さらに規模が大きくなって資材の購入量が増え、安く購入できるメリットもあるという。
今後同社が強化を目指すのが、既設の発電設備に対するアフターサービス事業だ。これまでは人的な資源が限られていたために手薄だったが、経営統合で社員数2万3000人の体制になったことで積極的に顧客を訪問しニーズを掘り起こすことが可能になっているという。GEは以前からこの分野に強く、さらに新規のガスタービンなどの受注獲得は他社との競争も激しいことから、この事業を拡充するため統合時にサービス事業本部を設置した。
さらに、西沢氏が15年度に目指すのは海外展開の拡大だ。ロシアや中南米、南アフリカ、モザンビーク、タンザニア、中東などで受注を目指す。同氏は商談に弾みをつける狙いで、統合後1年間で22カ国を訪問。国名は非公表とした上でサハラ砂漠以南の国から、小型ガスタービン6台規模、計200億円-300億円の受注が近いことを明らかにした。
2兆円受注目標の達成のカギとなるのが、高効率で環境負荷の低い石炭ガス化複合発電設備(IGCC)。石炭を固体から気体に変えて燃焼させることで二酸化炭素(CO2)の排出を減らすことができる。西沢氏によると、ポーランドやインドネシア、タイ、モンゴル、南アフリカといった国々に対してIGCCを売り込む計画だという。
水分や酸素分が多いために発熱量が低い低品位炭を、従来の石炭火力で活用することは難しかった。しかし、IGCCは低品位炭との相性が良いことから、低品位炭が採掘される豪ビクトリア州での受注も狙っていると話した。
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