エジプト軍、大統領に48時間以内の危機解決を要請―軍介入の可能性
【カイロ】エジプト軍は1日、モルシ大統領が48時間以内に政治的危機を解決できなければ軍指導部が介入すると警告した。数千人に上る反政府デモ参加者はこれに大歓声を上げたが、警告は軍事クーデターに発展する可能性が高まってきた。前日はエジプト全土で数百万人が大統領の辞任を求めデモ参加していた。
軍の警告は、大統領の支持基盤となっているムスリム同胞団の本部にデモ参加者が押し入った際に8人が殺されたことを受けて出された。デモ参加者は6月30日に続き1日もカイロ中心のタハリール広場や大統領宮殿の前で再集結し、その規模は過去最大級になっているとみられる。また、エジプトの衛星テレビ局CBCは、ワサト党の本部が反政府デモ参加者によって放火されたとみられる映像をライブで放映した。ワサト党は過去1年、ムスリム同胞団やイスラム教の諸政党と連立関係を結んでいる。
エジプトのシシ国防相兼軍最高司令官は、テレビを通じて「もし国民の要求が聞き入れられないのなら、軍は、その使命と義務に基づき行動し、独自の将来へのロードマップを示す」と語った。さらに国防相は「このステップでは全ての政治勢力、とりわけ革命達成の起爆剤となり今もその推進力である若者が議論に参加し、どんなグループも排除されたり軽んじられることはない」と述べた。
シシ国防相はモルシ大統領にどのような提案を期待するかや軍の介入の仕方などについては語らなかった。ただ、2011年の2月にムバラク前大統領を追放した後に一時的に軍が実権を掌握したときのような政治的な関与をすることはないだろうと述べた。
その代わりに軍は「状況を継続的に監視し、国民を支援する」と、国防相は述べた。この演説の数分後に軍の各部門を表す大きな垂れ幕を下げた5機の軍ヘリコプターがデモ隊の上空を飛行し、大喝采を浴びた。
REUTERS
この最後通告は、1年前に軍自体が取り仕切ったエジプト史上初の大統領選で選出されたモルシ大統領にさらなるプレッシャーとなる。
シシ国防相は演説で軍の関与は限定されると約束する慎重さをみせたものの、2年半に及ぶ民主化移行プロセスは、軍が政治過程に強力に関与した振出地点に戻ることになる。
軍の声明に対し、大統領側は沈黙を続けている。一方、反政府勢力のメンバーの多くは軍の介入を歓迎せず、軍が要請した政府との交渉を拒絶、声明は大統領を辞任に追い込む軍の腹積もりを示していると受け止めた。
30日の大規模デモに大きな役割を果たした反政府勢力連合体である救国戦線の広報担当のカレド・ダウード氏は、「国民を支援するとして48時間与えるという軍のメッセージは明らかだと思う。ムスリム同胞団が台無しにしないことを望む。2000万人を超える国民から辞任要求を突き付けられ