歴歩

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足利市・鑁阿寺 浙派の山水図を確認

2009年10月09日 | Weblog
 足利市の鑁阿寺で中国・明代の山水画の一流派である浙派(せっぱ)の作とみられる山水図「雪景山水図」が、今年6月の県立博物館の調査により確認された。絹本墨画淡彩の作品で、縦142・4cm、横79・7cm。雪景に楼閣や点景人物が描かれている。落款はないが、画面左側の松の根が描かれていないことから、一部が切り詰められた可能性があるという。
 足利長尾家の菩提寺・長林寺に狩野正信の真筆「観瀑図」が伝わっていることなどから、初期狩野派は東国(関東)とのゆかりが指摘されており、狩野派を含む絵画史研究の上で非常に意義深いとしている。
 浙派は、室町時代に活躍した狩野派の祖・正信や元信も学び影響を与えた。江戸時代以前に渡来し寺院に伝わる浙派作品は国内でも数少なく、狩野派の源流を考える上で貴重な資料という。
 栃木県立博物館の企画展「狩野派-400年の栄華」(10月9日~11月23日)で、同図のほか、78年ぶりに県内で発見された下村観山10歳時の作品「太公望図」など貴重な資料約100点(重要文化財7点を含む)を展示する。
[参考:下野新聞]

備考
■金剛山仁王院法華坊 鑁阿寺 栃木県足利市家富町(国史跡)
真言宗大日派の本山。足利氏の氏寺。本尊は大日如来。
12世紀の半ばに足利氏の祖・源義康が同地に居館を構え、建久7年(1196) 足利義兼(戒名:鑁阿)が自宅である居館に大日如来を奉納した持仏堂を建立したことに始まる。
参考 2008.6.26 NY競売の大日如来座像
■浙派(せっぱ)
 中国・明代の山水画の一流派。浙江省杭州出身の戴文進(1388-1462)を祖とし、所属する画家に浙江出身の者が多かったため、浙派という。
■大祥山 長林寺 栃木県足利市西宮町
 長林寺の創建は文安5年(1448)足利長尾景人が開基となり大見禅竜禅師が開山したのが始まりと伝えられる。当初は長雲寺と称し勧農城(岩井山)の麓にあったが三代景長が現在地に移し長林寺と改称した。
■狩野正信筆 絹本墨画淡彩「観瀑図」 長林寺(足利市西宮町)蔵 室町時代 縦 119.7㎝ 横 37.4㎝
狩野正信(1434~1530)は足利長尾氏の縁者とされる。本図は長尾憲長(1503~1550)の寄進とされ、足利長尾氏の菩提寺である長林寺に伝わる。横川景三(1429~1493)の賛がある点や厳格な描法からみて、正信の前半期の作とみられる。
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