佐藤匠(tek310)の贅沢音楽貧乏生活

新潟在住の合唱指揮者・佐藤匠のブログです。

実相寺昭雄氏を悼む~オペラの観点から~

2006年12月09日 00時25分28秒 | クラシック

 

 ウルトラマンシリーズの演出などで知られ、

映画もたくさん手がけている実相寺昭雄氏、

先日亡くなりましたね。

 

 

 ウルトラマンを見たのは子供の頃。

おそらく再放送だったと思います。

今考えると、あの頃の方たちは、

色々なメッセージを織り込んでいたんだなと思います。

今レンタルできるでしょうかね?

機をみてもう一度振り返りたいですね。

 

 

 

 ここでこの訃報に触れたのは、

僕の心に強く残っている出来事があったからです。

 

 

 東京に居た頃、

芸大オペラというのがあって、見に行きました。

学生オペラといっても、ソリストは一流どころ。

福井敬とか出てたし。キャストに学生出ていたかな。。。

オケは学生。あと合唱も学生でした。

上京して浮かれていた頃、

今と同じように、演奏会に足しげく通っていました。

その一環で見つけたオペラ。

余談ですが、音大などの学校の名前が入ったオペラは、

結構面白いです。名前をかけてやっているところがあって、

音大ごとに面白いですね。

 

 

 で、その演出が、実相寺さんだったのです。

演目はモーツァルトの「魔笛」。

その後、二期会の公演で実相寺さんが演出したと思いますが、

実はその前に、この芸大オペラで演出していたのです。

 

 

 その頃の記憶だと、

初めてオペラを演出するとの触れ込みでした。

「どんな魔笛になるのだろう」

そんな思いをもって出かけた記憶があります。

というのも、この公演で使われた会場が、

すみだトリフォニー大ホール。

1800席くらいの、

思いっきり、普通のコンサートホールです。

幕とかも無かったと思います。

僕はその頃、魔笛は一番観ていたオペラで、

このオペラは非常に難しいのですよね、演出が。

外れも結構ありました。

で、このホール。そしてウルトラマンの演出家がオペラ演出。

値段も全席2400円だったんです。

どうなるのか、、、と思って観ていました。

 

 

 

 しかし、これがとても良かった。

僕が生涯観た魔笛の中で、一番良い演出でした。

魔笛という、ある意味扱いにくい題材を、

実相寺さんならではの演出で、

夢と希望溢れるものになっていた、そんな感じでした。

 

 

 もう亡くなったということだと、

2007年7月の二期会公演はどうなるのか、

HPを観ただけだと分かりませんので、

演出の内容については触れないことにします。

一つだけ言うと、

怪獣が出てきます(笑)。本当です。

あれだけで、会場が和みました。

それだけでも、実相寺さんの功績が称えられると思います。

ウルトラマンは変わりなく毎回登場するけど、

そこに出てくる怪獣たちが個性様々。

何と愛らしいキャラクターたちか。

 

 

 2007年の魔笛が実相寺さん版で公演されるなら、

ぜひ一度観てください。

ここに哀悼の意を表したいと思います。