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映画の王様

映画のことなら何でも書く

『愛と憎しみの彼方へ』

2022-09-09 21:59:17 | ブラウン管の映画館

『愛と憎しみの彼方へ』(51)(日本映画専門チャンネル)

 北海道網走刑務所から、模範囚だったオホツク不動こと坂田五郎(三船敏郎)ら、6人が脱獄する。

 看守長の久保(志村喬)は、生疵の助こと鎌田与助(小沢栄太郎)が、囚人仲間の伊達(木村功)を使って、坂田の妻まさ江(水戸光子)が医師の北原(池部良)と不倫関係にあるといううそを教えたため、坂田がそれを確かめたい一心で、脱獄の首謀者となったことを知り、坂田の後を追う。

 寒川光太郎の原作を谷口千吉と黒澤明が共同で脚色し、谷口が監督した映画で、東宝争議のため、映画芸術協会製作となっているが、おかしなところがたくさんある映画だった。

 脱獄した夫がやって来ると思われる山小屋を、子どもを連れて北原と一緒に訪れるまさ江。これでは不倫を疑われても仕方がない。それを見た坂田は2人の関係を確信し、猟銃を手に入れ、逃げる2人を殺そうと、山中を執拗に追い掛ける。

 坂田に対して過度に思い入れる久保(これもちょっと異様)もその後を追う、という展開は、誤解が招いた悲劇ではあるのだが、そもそもは、まさ江が北原から贈られた高価な帯を着けて、仮釈放が近い夫に面会に行ったことが、坂田に疑念を抱かせるきっかけとなったのだ。何だかめちゃくちゃである。

 例えば、この映画と同じように、谷口と黒澤が共同で脚本を書き、谷口が監督をした『銀嶺の果て』(47)『ジャコ万と鉄』(49)同様、人物描写のまずさが目立つ。

 特に、夫と北原との間で揺れるまさ江の煮え切らない態度(しかも子ども連れて)を見ながら、『カサブランカ』(42)のイルザ(イングリッド・バーグマン)のことを思い出してイライラさせられた。

 ところが、北海道の大自然の中での逃避行の描写が尋常ではなく(玉井正夫の撮影がすごい! 特に氷混じりの池を、北原=池部が、まさ江=水戸と子どもを担いで歩くシーンは壮絶)、そのバックに伊福部昭独特のメロディが流れてくると、人物描写のまずさを忘れて、思わず見入ってしまった。これを谷口の力業と呼ぶべきか。

 後に東宝映画が獲得する洗練さに欠け、良くも悪くもとても荒々しい印象を受けた。何だか、傑作と愚作の間にあるような、妙な映画を見せられた気分になった。

 三船は片鱗をうかがわせるものの、まだ発展途上な感じがした。池部はセリフ回しは悪いが存在感はある。水戸は年増の魅力と思ったら、当時はまだ30歳ぐらいと知って驚いた。脇役では、小沢栄時代の小沢栄太郎、警務課長役三津田健、警察署長役の清水元、新聞記者役の佐野浅夫が目立っていた。

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【ほぼ週刊映画コラム】『ビースト』『夏へのトンネル、さよならの出口』

2022-09-09 10:01:41 | ほぼ週刊映画コラム

共同通信エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は
ユニバーサルお得意の動物パニック映画の系譜を継いだ『ビースト』
夏、青春、淡い恋、SF、ノスタルジー…定番の要素を組み入れた『夏へのトンネル、さよならの出口』

詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/?p=1348476&preview=true

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「BSシネマ」 『オクラホマ・キッド』

2022-09-09 06:50:22 | ブラウン管の映画館

『オクラホマ・キッド』(39)

 開拓者に解放されたオクラホマの土地に、ジョン・キンケイドの一家がやって来る。新しい町では悪事が絶えず、ジョンは町を浄化しようと町長に立候補するが、悪名高いマッコード(ハンフリー・ボガート)の策略で無実の罪を着せられ、殺されてしまう。ジョンの息子オクラホマ・キッド(ジェームズ・キャグニー)は、復讐のため、悪党一味を追い詰めていくが…。

 監督ロイド・ベーコン。キャグニー初の西部劇だが、自伝『汚れた顔の天使=キャグニー・バイ・キャグニー』によれば、「企画、監督、脚本、衣装の変更が相次ぎ、月並みな西部劇になった」と嘆いている。そのほか、深呼吸をするしぐさを思いついたこと、ワード・ボンドの首を目がけて投げ縄をするシーンは実際に自分がやったこと、ラストシーンの変更などについても記している。

 キャグニーもボギーも、ギャング映画やハードボイルドなイメージが強い。特にボギーに西部劇は似合わないと思うが、それは後付けのイメージ故か。キャグニーは、ボギーについて、当時ワーナーが正当に評価していなかったとし、『カサブランカ』(42)への出演を「ワーナーのまぐれ当たり」と記している。

「BSシネマ」『追われる男』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/894a0474bf525b6235331a2570bfc7e4

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「金曜ロードショー」『るろうに剣心 伝説の最期編』

2022-09-09 06:15:02 | ブラウン管の映画館

『るろうに剣心 伝説の最期編』(2014.8.13.ワーナー試写室)

まるで『三大怪獣地球最大の決戦』のよう
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/f84aa25c695791386ab6a25f396277b5


「金曜ロードショー」『るろうに剣心 京都大火編」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/b37b80748a57f969fba3cee597ad931a

 

 

 

 

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