『非情都市』(60)(2006.3.29.)
NHK BSが昼間に鈴木英夫の映画を特集している。初日の『彼奴を逃すな』(56)は残念ながら録画し忘れたのだが、今日は『非情都市』を見た。
舞台は昭和30年代の新聞社(モデルは有楽町にあった頃の毎日か)。三橋達也扮する記者が、強引に特ダネを狙い過ぎて自滅していくさまがドライなタッチで描かれる。何でも安藤組が横井英樹を襲撃した事件を基にしているらしい。今となっては当時の有楽町や新橋の風景も見ものの一つ。三橋はこういう嫌な奴をやらせると結構巧い。
社会派物としては、同年に作られた黒澤明の『悪い奴ほどよく眠る』(ここでも嫌な奴を三橋が好演している)や、新聞記者のでっち上げを描いたビリー・ワイルダーの『地獄の英雄』(51)などの影響を感じるところはあるが、プログラムピクチャーとしてはよくできていると思う。それと、やっぱり自分は、いろいろな意味で東宝の映画が好きなんだと思う。