「テレビ」と「平和」と「憲法」のblog

元ワイドショープロデューサー仲築間 卓蔵(なかつくま・たくぞう)のブログ

長崎市長へのテロ行為とテレビ朝日

2007-04-20 15:06:25 | Weblog
願いも空しく 伊藤一長・長崎市長は逝った
選挙期間の最中の 現職市長にたいするテロ行為です

事件は17日午後7時50分頃に起きました
心肺停止の状態で病院へ急送されました
安倍首相のコメントは 「捜査当局で厳正に捜査が行われ 真相が究明されることを望む」というものでした
事態にそぐはない白々しい内容です

18日午前2時28分 伊藤市長は銃創による大量出血のため搬送先の長崎大学附属病院で死亡しました
逮捕されたのは指定暴力団山口組水心会会長代行 城尾哲弥容疑者です

テレビ朝日の『報道ステーション』は(17日) 「城尾容疑者から 15日付けの消印で
市長を糾弾する手紙が届いていた」ことを(封筒と内容を見せながら)紹介していました
古舘さんは たしか「犯行声明」という表現をしていたと思います
そのかぎりではスクープといっていいでしょう
手紙の内容は「伊藤一長市長を許せないのは 市民のため県民のため 不正をゆるすことができない」と書いてあり 動機に長崎の公共事業でのトラブルをにおわせていたといいます

その後 古舘さんは「あれは犯行声明ではなかった 告発文だった」と訂正して「犯行声明」発言をしたことを謝っていました
テレビ朝日にかなりの抗議が寄せられたと聞いています
「なぜ知らせなかったのか」という声だったのでしょう

15日付けの郵便物ですが テレビ朝日に着いたのはいつだったのでしょうか
それを見た人はどんな対応をしたのでしょうか
警察当局に知らせるかどうかについてはいろいろ意見もあるでしょう
しかし 少なくとも伊藤市長側には知らせるべきだったと思う
伊藤市長は警備を断わっていたといいます
でも テレビ朝日からの知らせがあれば 身辺警護に少しは気をつけることができたかもしれない

テレビ朝日のホームページによれば 「番組では 午後9時ごろに容疑者の名前を知ることになりました その後 同容疑者名で番組宛に手紙が届いていたことが判明いたしました」「スタッフがその手紙の中身を確認したところ 長崎市長を告発していると見受けられる内容であることがわかりました しかしながら 文中には今回の犯行に繋がるような文言は一切ありませんでした」と書かれています

郵便物はたしかにきていたのです
でも 見なかった
見たとしても 重要視しなかった だから報告もしなかった
長崎で市長選挙がおこなわれていたことも知らなかった?

ここで思い出すのはTBS「オウムビデオ事件」です
1989年10月 TBS『3時にあいましょう』の曜日プロデューサーはオウム側の要請を受けて 坂本 堤弁護士のインタビューテープを見せてしまいました(坂本弁護士は オウム被害者弁護団として対決していました)
数日後 坂本弁護士一家の失踪事件があり やがて殺害されていたことが判明しました
あのとき「実は・・・」ということが報告されていれば あのような事件は起きなかったかもしれません TBSはもちろんのこと テレビ界は大きな教訓としました

テレビ局にはさまざまな郵便物が届きます
目を通すのはたいへんかもしれません
しかし 目を通すべきです
そして判断すべきです
そのことを過小評価するから 視聴者とのコミュニケーションが成り立たないのです
そんなことからも 信頼関係は崩れていくのです
「脇の甘さ」があってはなりません
今回のテレビ朝日の対応については きちんと議論する必要があると思うのです。