「テレビ」と「平和」と「憲法」のblog

元ワイドショープロデューサー仲築間 卓蔵(なかつくま・たくぞう)のブログ

真夏なのに 「うすら寒い」

2006-08-04 18:51:53 | Weblog
暑中お見舞い申しあげます
ニューヨークはひどい暑さだそうです 人間の体温以上だそうです。
なにかの報復でしょうかね。まさか。

ところで
この暑さのなかで 「うすら寒さ」を感じたこと二つ

「寒さ」その一
将棋の名人戦をめぐってのことです。
勝ち組・負け組論について 大方のメディアは批判していますが こと自分自身のこととなるとどうやら別のようです。
将棋名人戦といえば 将棋界きっての歴史と格式を誇るものです。
1935年に毎日新聞主催で始められています。
太平洋戦争終戦の前年からしばらくの間 朝日新聞に移っていましたが 1978年から毎日新聞に戻っています。将棋名人戦といえば毎日新聞 は定着していましたね。

その名人戦を 朝日新聞が狙ったのです。
ことしの3月 朝日は(毎日に一言の挨拶もなく)単独主催案を提示しました。
それを受けて日本将棋連盟理事会は 毎日に契約解除を通告しました。
騒ぎ?はそこから始まっています。
将棋連盟は 8月1日臨時総会を開いて第66期以降の名人戦契約問題について 棋士による採決をおこなったのです。

言い忘れましたが 連盟の会長は米長邦雄という元名人です。天皇主催の園遊会かなにかの席で教育基本法「改正」に取り組んでいることを話して 天皇にたしなめられた人といったほうがわかりやすいですかね。彼は東京都の教育委員です。

話をもとに戻しましょう。
採決は (朝日の提示に対して)契約金増額などを盛り込んだ毎日の提示案についてです。
賛成 90 反対 101
僅差でした 
森内俊之名人 羽生善治三冠(王位 王座 王将) 渡辺 明竜王など棋界を担っている若手は この騒ぎを憂慮していたようです。米長某に比べるときわめて冷静です。
将棋界は迷走をはじめたようです 朝日が毎日と共催する意思があれば それも含めて交渉すると言い始めました 最初のボタンの掛け違えからはじまったのです。
理事会はどうするのでしょうかね。
 
理事会は 「発行部数が多く 金もある」朝日提案に飛びついたとしか思えません
朝日はどうか 「歴史と格式のある名人戦が欲しい」ということでしょう。金持ちのこどもが 友だちの玩具を欲しがるのと同じだといったら 怒りますかね。
「歴史と格式」は 主催者の長年にわたる「努力」とセットのものだと思いますが どうでしょうかね。
歴史と格式を尊重することは 文化を重んじることにも通じると思うのです。
金さえあれば「なんでもあり」路線は まさに勝ち組論です。

選抜高校野球を読売新聞が狙っていましたね これはうまくいきそうもないようですが
「なんでもあり」路線に踏み込んだと思える大手紙の考え方に なにやら「うすら寒さ」を感じてしまったのです。

「寒さ」その二
8月2日の 浪速の闘拳・亀田興毅の世界タイトル戦を観ましたか?
ぼくは夜のニュース 翌日のワイドショーで知りましたよ
中継したのはTBS 亀田一家の生き様を美談仕立てで盛り上げていましたね
「そこまでやるか」という批判はあるでしょうね。でも 中継権を獲ったのですからチャンネルイメージのためには当然といえば当然でしょう。

問題は 「判定」ですよ
1Rでダウンでした。初めての世界戦ということもあったのでしょうが 相手選手の動作は「さすが」と思えるものでしたよ 素人目でも亀田選手の動きは「幼稚」に見えましたね。
誰も勝つと思っていなかったみたいですね 観客のインタビューも「あれは負けだよ」でしたよ。
ほとんどのメディアは「不可解な判定」「疑惑の判定」という見方でした(TBSは中継した手前 言えませんね)
でも2対1で亀田の勝ち。三人の審判で 最初は1対1 三人目の審判で決まるところなんかは出来すぎでしたね 亀田選手の父親の顔が映りましたが 「えっ!」という顔でしたよ ドロー(引き分け)と思っていたのでしょうかね。

この種の試合は地元有利といいますが 「それにも許容範囲がある」とスポーツ評論家の二宮清純さんが言っていましたよ。許容範囲を超えていたのですね。
「日本の恥だ」と言った人もいました。
憶することなく判定を批判したメディアに軍配を上げますよ。

どうしてこんなことになってしまったのでしょうかね。
「少々のことには目を瞑る」ことにした人がいたのでしょうかね まさかTBSがそれに噛んでいたなんてことはないでしょうね。おかしな風潮が蔓延しはじめているような気がします。
真夏だというのに ここでも「うすら寒さ」を感じてしまったのです。
みなさん 暑さに負けずお過ごしください。