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葉室麟著 「はだれ雪」

2024年02月03日 17時25分21秒 | 読書記

図書館から借りていた、葉室麟著「はだれ雪」(角川書店)を読み終えた。本書は、著者創作の架空の小藩「扇野藩(おうぎのはん)」を題材にして描かれた長編時代小説「扇野藩シリーズ」の第3作目になる。先日、第1作目「散り椿」、第2作目「さわらびの譜」を読んだばかりだが、本書は、主な舞台は扇野藩ながら、新たな視点で、「忠臣蔵」を感動的に描いている作品であるとも思える。尚、「扇野藩シリーズ」には、さらに、第4作目「青嵐の坂」が有り、続けて読んでみたくなっているところだ。

■目次
「紅葉」「秘文」「雪の宿り」「龍笛と琴」「山風」「五月雨」「天狗」「木槿(むくげ)」
「狐火」「想夫恋(そうふれん)」「君父の讎(あだ)」「託された言葉」「討ち入り」
「池中の月」「輪王寺宮」「吉良の忠臣」「いのちの縁」「はだれ雪」

■主な登場人物
紗英(さえ)・雪、
永井勘解由(ながいかげゆ、実父松平隼人正、実母よし)
なか、松藏、
佐治弥九郎
扇野藩藩主千賀谷左京大夫信家
筆頭家老馬場民部、次席家老才津作左衛門、
由比道之助、
五代将軍徳川綱吉、柳沢美濃守吉保、
細井広沢、
浅野内匠頭長矩・瑤泉院(阿久里)・浅野大学
吉良上野介義央(よしなか)、吉良左兵衛義周(さひょうえよしちか)、山吉新八、
大石内蔵助、吉田忠左衛門、堀部安兵衛、寺坂吉右衛門、
玉屋忠兵衛、寛永寺住職公弁法親王、

■あらすじ等
元禄十四年(1701年)十一月、扇野藩の馬廻り役中川三郎兵衛が不運な事故で死去、嫁して3年、若くして寡婦となり、実家勘定方桑田武兵衛に戻っていた紗英に、江戸からやってくる永井勘解由の接待役兼監視役が命じられた。永井勘解由とは、何者?。旗本であり、幕府の目付役だったが、将軍・徳川綱吉の怒りにふれて扇野藩にお預けの身になったという。
この年、江戸城内で、播州赤穂藩藩主・浅野内匠頭長矩が、高家筆頭、吉良上野介を斬りつける刃傷事件が起き、内匠頭は、理由を問われぬまま即日切腹。勘解由は、老中に切腹の見合わせを進言したり、切腹の直前、襖越しにひそかに浅野内匠頭の「最後の言葉」を聞いたという行いが、綱吉の知るところとなり、機嫌を損じたのだった。
雪が舞い散る中、屋敷に到着した勘解由を迎え入れた紗英は、役目を全うしようとするが・・・・、
  はだれ雪あだにもあらで消えぬめり世にふるごとやもの憂かるらん
(注)「はだれ雪」とは、はらはら降る雪、とけ残りの雪、まだらになった雪のこと。
流罪人扱いながら、相手は、旗本、
扇野藩としては、藩の存亡に関わる厄介な預かり者、勘解由の処遇を巡って混乱、

もともと有った筆頭家老馬場民部と次席家老才津作左衛門の対立が激化。
龍笛の名手勘解由、琴を奏でる紗英、
同じ屋敷で寝起きする勘解由の人間性、優しさに引かれていく紗英。
身分を隠して、勘解由を訪ねてくる赤穂浪士。
扇野藩内の勘解由抹殺の動き、刺客が、討手が・・・。
勘解由が、大石内蔵助以外には、絶対に明らかにしなかった、内匠頭が密かに残した「最後の言葉」とは?、
赤穂家旧臣のよる、吉良上野介仇討ちが有り、
関わりを疑われる勘解由、紗英の運命は?
なすことはなす、不動の覚悟、
諦めず、迷わず、信じた道を一筋に生きる姿が描かれている。

  江戸に赴けば、新たな苦難も待ち受けているだろうと思いながら、
  紗英はあどけなく笑いかけてくる雪に頬ずりして、自らを奮い立たせた。
  名残の雪の美しさが目に眩しい。



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