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平岩弓枝著「はやぶさ新八御用帳(七)寒椿の寺」

2023年04月29日 17時50分38秒 | 読書記

図書館から借りていた 平岩弓枝著「はやぶさ新八御用帳(七)寒椿の寺」(講談社)を読み終えた。本書は、南町奉行所、内与力隼新八郎が活躍する長編時代小説「はやぶさ新八捕物帳シリーズ」の第7弾目の作品で、表題の「寒椿の寺」の他、「吉原大門の殺人」「出刃打ち花蝶」「桜草売りの女」「青山百人町の傘」「奥右筆の用人」「黒河亭の客」の連作短編7篇が収録されている。一話完結、小気味良い筋立ての短編のせいもあり、読みやすく、一気に読破出来る書だ。


読んでも読んでも、そのそばから忘れてしまう老脳。
読んだことの有る本を、うっかりまた借りてくるような失態を繰り返さないためにも、
その都度、備忘録として、ブログ・カテゴリー「読書記」に 書き留め置くことにしている。


▢主な登場人物
隼新八郎(新八、内与力、根岸肥前守の懐刀)、郁江(新八郎の妻女)
根岸肥前守鎮衛(やすもり)(南町奉行、新八郎の上司)、
宮下覚右衛門(南町奉行所用心)、高木良右衛門(南町奉行所用人)、
お鯉(南町奉行所奥仕え女中、新八郎の心の恋人)
神谷鹿之助(勘定方、郁江の兄、新八郎の義兄、幼馴染)、
大久保源太(定廻り同心)、大竹金吾(同心)、勘兵衛(元岡っ引き、鬼勘)、
お初(勘兵衛の娘、小かん)、
藤助(岡っ引き)、熊吉(下っ引き)、

▢あらすじ
「吉原大門の殺人」
越前大野藩土井甲斐守の家臣の若侍岡源次郎が、妓楼「玉屋」の小ゆきにのぼせ上がり、吉原へ誘った海鮮問屋越前屋喜兵衛も困り果て、土井家でも、玉屋でも困惑。土井家では、源次郎を国許へ返す処置をとるが・・・。小ゆきは、駒込の大地主に身請けされることになっており・・・。新八郎は、根岸肥前守の下知で、吉原通いすることになり・・・、用心宮下覚右衛門からは「鼻の下が長いぞ」と冷やかされ、お鯉には、つんとそっぽを向かれる始末。
「えらいことになりました」・・・、大久保源太の知らせに、新八郎は言葉を失った。源次郎が、国許に旅立つ日に、無理心中を図った。小ゆきが血に染まって倒れたであろうあたりで、新八郎は三味線の音を聞き、いつぞや九郎助稲荷の社前にぬかづいていた小ゆきの姿を思い浮かべた。

「出刃打ち花蝶」
根岸肥前守が、勘定奉行兼道中奉行の石川左近将監忠房から内々に頼み込まれた事件探索は、知行地上州山田群山地村の大百姓木島屋清右衛門殺害事件だった。江戸を離れると危難に遭うというジンクスを持つ新八郎だったが、快く引き受け、岡っ引き藤助と共に上州へ。途中、藤助のかっての仲間佐紀三も合流して探索開始するのだが・・・。木村七郎左衛門甚八丑右衛門。途中、激しい雨の中泊まった甚八の土蔵では、火災発生し、甚八が焼死。新八郎は、九死に一生を得る。山田徳兵衛?、木島六兵衛?、お蝶(歌川花蝶)?とは?、
肥前守が、「例の出刃打ちお蝶、まだ行方知れずか」、「屋根裏へ寝かされて、火を付けられては、新八も・・・カチカチ山の狸にされなんだだけ、幸いであったが・・」

「寒椿の寺」(表題作)
向島村に有る根岸肥前守の叔母の隠居所を訪ねた新八郎は、弘福寺の境内の寒椿の前で、京極家の若殿六丸と供侍生駒隼人を見掛ける。蔵前の札差板倉屋重兵衛の寮の離れで、旗本の本庄新兵衛が出刃包丁で殺される事件発生。本庄新左衛門、出戻り娘お栄、女中お峯、寮番治助お徳夫婦・・・・、「あの人は、椿の花を馬の鞭で叩き、人の首が落ちるように、一打で花が落ちるのが気持ちいいと・・・・」、下手人は、分かれた女房が他の男と幸せになることが許せない性格?、証拠の品は、燃え損ないの着物だった。
袱紗包みを新八郎に渡した肥前守、「その中からお稲荷さんに油を供えること、寒椿の咲く寺にお清めを納めるのを忘れるな・・・」

「桜草売りの女」
中川御番衆の落合清四郎の友人榊原政之助の奥方藤世から、主人の金遣いに不審有り、探索真相究明して欲しいとの依頼が持ち込まれた。桜草売りの女とは?、さらに、榊原家で300両紛失事件。菓子屋板橋屋庄兵衛の後家おこう、おみの、おせい・・・。落合清四郎も活躍し・・・、真相は、取り替えられた男女が、40年ぶりに巡り会ったことからか?、おこうは、夫庄兵衛と共に川越へ・・。
「手前と落合殿が相談し、榊原家の奥方には、真実を申さぬことにしました。政之助殿が桜草売りの女に浮気心を起こしたことにして・・・・」「女子と小人は口が軽いので、用心するに越したことはないと・・・」・・、お鯉が、つんと横を向いた。

「青山百人町の傘」
用部屋手付同心大竹金吾が知り合いから頼まれたという、甲賀組秋山家の養子となっている秋山長三郎の嫁取り問題に不審が有るという事案、肥前守の下知も有り、新八郎は、真相探索、謎解きに掛かった。そこに、大奥で羽振りの良い妹を持った奥方光江に頭の上がらぬ甲賀組組頭藤山久兵衛の存在が?、おようとは?、行方不明の前妻露路を探している長三郎、住居は異様なほど荒れ放題、「露路無しでは、生きていけない」と言う。????。
秋山長三郎から文、「もはや堪忍なり難く・・・、道玄坂下、道祖神裏までお出でくだされたく」・・・すべて明らかになり・・・・。露路が内職で作った傘には、蛇の目の隠し印?、お手先が総動員され江戸の町々の傘調査した結果・・・。二人そろって新八郎に深く頭を下げた。・・・、江戸はまもなく師走だった。


「奥右筆の用人」
上野寛永寺の大灯篭に寄りかかった形で、奥右筆組頭大石源左衛門の用人初老の武士飯倉勘兵衛が死んでいるのを、寺男安造が見つけた。事故?、事件?。新八郎は、根岸肥前守に下知され、大竹金吾と探索、謎解きを開始するが、目撃情報ゼロ。勘兵衛の息子勘之助、娘早苗は?、中村市右衛門の出戻り娘加津江とは?、秩父のキノコ?、
「そういうことだったのか・・・・」、真相は究明され、飯倉早苗が、御番所に、新八郎の手拭いを返しにきた。
「早苗と申す娘、なかなか美型じゃな・・・、」、「殿・・・、」、新八郎は赤くなり居間から滑り出た。背後で、肥前守の高笑いとお鯉の忍び笑いが聞こえ、新八郎は、舌打ちした。

「黒河亭の客」
正月早々、向島村に有る根岸肥前守の叔母の隠居所を訪ねた新八郎は、墨河亭という高級料理屋が武家の接待等で大繁盛しているという噂を聞き、その帰りに黒河亭前で、旗本山下作左衛門の奥方(後妻)藤江、息子金之助、養女お喜久を見掛ける。数日後、藤江変死事件が発生。毒死の疑い有り?。肥前守の下知により、大久保源太と共に、真相探索、謎解きに掛かった新八郎。藤江の実家、三井家の分家当主(藤江の弟)伊兵衛おりく夫婦とは?、八上主殿(とのも)とは?、夏用茶碗?、下手人は?・・・。守ってやろうとした人間を殺害し、切腹・・・・・、なんともはやの結末。新八郎は、声が出なくなり、自分の膝を両手で掴んだ。

(つづく)

 


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2 コメント

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時代小説 (アナザン・スター)
2023-04-29 18:11:48
平岩弓枝さんの小説を読むと、上京した折に下町を歩きますのでインパクト強いですね。
浅草や深川にも、足を運びました。

土地勘があると、読み応えしますね。
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アナザン・スターさん、こんばんは、 (takezii)
2023-04-29 18:47:09
今や、隙間もなく、ビル、住宅で埋め尽くされている1000万都市東京ですが、時代小説では、田んぼ、山林風景も有った江戸、谷中、駒込、湯島天神下、小石川、向島、麻布、八丁堀、深川、・・・、地名等が登場する度、方向や距離等を 地図で見ながら楽しんでおります。歩くか、駕籠か、舟で移動、経過時間の計算も、面白いですね。
コメントいただき有難うございます。
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