草枕

都立中高一貫校・都立高校トップ校 受験指導塾「竹の会」塾長のブログ
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福島原発事故の本当の原因

2011年05月19日 09時08分55秒 | 
 草枕でも津波による外部電源の喪失という点にについては何度となく触れてきました。また、仮に外部電源が保たれたとしても、冷却のための機械そのものが水浸しになって使えない状態になっていたとしたら、外部電源云々の問題ではなくなります。ところで、事故から2ヶ月が過ぎて東電も事故後の細かいようすを公表したりと次第にその実態が明らかにされつつあります。一昨日でしたか。実は3基ともすべてメルトダウンしていたということを今頃わかったかのように公表しています。
 まず広瀬隆氏の指摘によれば、福島第1原発のGE製原子炉が実は欠陥商品であったという点です。この点は、3月14日、アメリカのCNNテレビで、元GEのエンジニアが訴えていたというのです。それによりますと、福島第1原発の1号機から5号機は「大規模事故に耐えられる設計ではない。冷却システムがぎりぎりの容量で設計されている。そのため電源喪失で冷却システムが止まると、爆発を起こす危険性がある」と語り、なぜギリギリの設計になったのかという点については、東京電力の要請でそうなったというのです。つまり、GEの設計陣が「もう少し余裕を」と言ったのに対して、東電は製造コストを下げるために、「ノー」と拒絶したのです。福島の格納容器は容量が小さいため4気圧ほどの圧力でもう限界になります。
 1号機の冷却システムが止まったときどうなったか。原子炉内では水位が一気に下がった。このときメルトダウンが生じていたことは先日東電が公表したとおりです。このときの原子炉内のようすはどんなものであったのか。おそらく崩壊熱で中は水蒸気で充満していた。それがどんどん格納容器に送られている(理由は後述)。このとき格納容器の内圧は8気圧にまで達しています。もう破裂寸前でした。東電はあわててメルトダウンによって高濃度の放射性物質の充満した蒸気を排出させたのです。建屋が吹き飛んだのは3月12日の午後3時36分でした。メルトダウンにより燃料棒はむき出しになります。燃料棒を包んでいたジルカロイドは水と反応し酸化されて、つまり水は水素と酸素からできていますが、水から酸化のために酸素を奪い取るので、残された水素が大量に発生することになります。そのとき圧力容器の「
破損した部分」から大量の水素が格納容器の上部に溜まっていったと思われます。水素は空気より軽いので上に集まっていたはずです。内部は8気圧もあったのですから、上部の蓋が開いて、建屋の中に水素が漏れて充満していったと思われます。建屋内の酸素と水素が反応して爆発が起きた。このとき原子力の専門家の誰一人として水素爆発を予測していなかったというお粗末さです。保安院は「なんらかの原因で爆発が起きた」と説明していますが、なんという間抜けな連中でしょうか。
 上には圧力容器の「破損した部分」と朱書きしましたが、なぜ圧力容器は破損していたのでしょうか。
 この点について、福島第1原発の4号機の主任設計者で、現在ライターの田中三彦氏の指摘を広瀬氏が紹介しています。それは1号機の圧力容器の圧力が運転中は70気圧あるものが、3月12日深夜2時45分にいきなり9気圧に落ちている点です。これは原子炉に接続されている多数のパイプのどれかが破損していることを意味しているというのです。つまり配管に穴が開き、そこから充満していた蒸気がどっと格納容器に噴出して、圧力容器内の燃料棒は水位が下がり一気にメルトダウンしたということになります。
 今述べたことの意味がおわかりでしょうか。そうです。爆発の原因となったもともとの原因は地震による配管の破損であり、決して津波などではなかったということです。ところでその地震の揺れはどの程度のものであったかですが、東電のHPによれば、なんと319~550ガルというのです。ガルというのは揺れの大きさを示す単位です。たとえば、震度7の揺れで2933ガル程度です。
 かねてより地震による原発の配管の破損が重大事故につながるということは、私の読んでいる原発警告書には必ずといっていいほど指摘されていました。
 外に向かっては「絶対安全」と言いながら、設計段階でコストを下げるために安全性を軽視してきたというのが本当のところでした。安全神話という言葉を電力会社の走狗の勝間和代が自省的に使っていましたが、神話でもなんでもないただの大ウソです。彼らが言ってきた原子炉の完全性というものが、僅か400ガル程度で壊れたのですから、耐震設計も何もあったものではありません。全国54基の原発の耐震度の程度がこれでわかろうというものです。あの斑目春樹のような偽学者たちも許せませんが、東電が何をやってもやらなくてもニコニコしている保安院というのはいったい何なのであろうか。平成の悪代官たちに私たち民百姓は言いなりでいいのでしょうか。
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