草枕

都立中高一貫校・都立高校トップ校 受験指導塾「竹の会」塾長のブログ
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「まなぶ」くんと「しおり」さんの話

2013年09月27日 09時19分47秒 | 
 お早うございます。いよいよ本格的な秋の装いです。今日は秋晴れで遠くに富士山が見渡せるほどに空はクリアーです。長い間秋の紅葉というものを見ていない。郷里の別府は海と山に囲まれた街だった。市内にはいたるところに温泉があり、わたしは幼い時からどこかしらの温泉に毎日通った。土地に住んでいる人はみなそうであった。だが世の中が便利になってきた頃から温泉には入らず家で風呂を沸かす変わり者も出てきた。わたしの家は市を二分する鉄道が山側と海側に分断する山側の住宅地域にあった。家の近くには何カ所かの温泉があった。たいていの家庭はどこかの温泉と1か月契約を結ぶ。1月入り放題で400円とかそんなところだった。わたしが小学生の頃は100円したのかどうか。今は市営温泉で1回50円~100円かもしれない。山に近いところにある温泉はたいてい無料だ。ただし、入り口には必ずお地蔵さんがいて風呂代代わりのお賽銭を入れることになっている。
 わたしは秋も深まる夜道を毎日洗面器に石鹸とタオル一式をもって近くの温泉に浸かりに行った。かえりにはよく満月が明々と夜道を照らし、新月のときは星が夜空に輝いた。まだ浪人だったわたしはよく湯上がりの体を冷たい空気に冷やしながら、遠く東の夜空を見上げながらいつか羽ばたく日の来ることを夢見た。いや心に誓った。いつか故郷を去る日のことをいつも思った。故郷の秋は山々の紅葉で一段と「秋」という季節を特徴付けた。晩秋はすぐやってきって落葉樹が葉を落としても山々はそれでも緑を保った。小学生の頃はよく山に遊んだわたしも中学、高校と次第に家にこもって勉強するようになり、紅葉を愛でる心も忘れてしまった。
 秋には紅葉を見に行きたい。山に行きたい。長い間忘れていた紅葉をこのところよく懐かしむ。今は亡き母のいた故郷を今はもうほとんど訪れることもない。ただ母の喜ぶ顔が見たくて今までがんばってきた思いが秋の紅葉に湧き上がる郷愁を抑えきれない。
 「まなぶ」くんと「しおり」さんの話はいつか算数専門誌の中で編集者が書いていた話であった。
 しおりさんは小学校に入ったときから、親の言うことはよく聞いてなんでもできる子だった。学校の勉強もよくできて宿題も予習も復習もなんでもきちんとやった。学校の成績もいつも一番だった。いわゆる優等生でした。一方のまなぶくんはといえば、学校でも先生の言うことはほとんど聞いていない。宿題も適当に済まして好きなことに夢中になる、そういう子でした。学校の成績も評価はよくない。しおりさんは言われたことを100%こなす子でした。その二人が5年生になった頃から少しずつ変化が出てきました。しおりさんのあれほどよかった成績が次第に下がってきたのです。いっぽうまなぶくんのほうは算数でもわからないと夢中になって考える、そういうことがよかったのかどうか、テストの点数がぐんぐんとあがっていったのです。しおりさんはまじめでとにかく一生懸命に勉強します。が、成績はぱっしなくなるのです。
 「言われたこと」をきちんとやるのがしおりさんでした。「習ったこと」はきちんとできるのです。しかし、見たこともない問題が出されると、途端にしおりさんはできなくなるのです。一方のまなぶくんはそういう問題にこそ発憤しました。本人は面白くてしかたないようです。こうしてここには勉強に対する、真の勉強に対するある本質が語られることになるのです。
 「言われたこと」、「習ったこと」をきちんとこなしていく優等生というのは、勉強を面白いと思ったことがあるのでしょうか。難しい問題を解くときに心をかき立てられる思いというものをしたことがないのではないでしょうか。「できない」のが、なぜかわからない。「できない」と泣いてもこれはどうにもできることではないのです。優等生がゆえにパニックを起こしてしまうのです。どうしていいのかわからない、できないという現実が受け入れられないのです。見たこともない問題に対したとき、「面白い」と思えるほどにまなぶくんはもう夢中でした。「言われたこと」をこなすだけの勉強では殻は破れないでしょ。「殻を破る」。殻というのは鳥類の卵ですよね。あれは理科の問題でも出ましたが、天敵から守るということもありますが、水蒸気の蒸発を防ぐという意味もあります。魚類の卵というのは殻がない。あれは水の中に産むからですよね。その代わり大量に産む。魚の餌になることは予め想定の内なんですね。鳥の卵なんか蛇なんかは大好物ですよね。固い殻は自分で破るものです。母鳥なんか知らんぷりしています。人間みたいに絶対手伝わない。おろおろしない。じっと見ています。いつか塾のベランダに鳩が雛をかえしたことがありました。途端にカラスが襲って雛を食べました。離れたところで母鳩がじっとそれを見ていました。抗えないことを知っていました。
 子どもは殻を自ら破るしかないということを自然の摂理は教えてくれています。だったら親がなんでもかんでも手取足取りなんかしてはならないでしょ。厳しい自然の中に放り出してじっと見ていることしかできない、それが自然のルールでしょ。
 さて、「しおり」さん型の子というのは、女の子に多いのですが、もちろん男の子にもいます。あなたはどちらのタイプですか。

 
○高校入試のための「明日のために」その2~国語の勉強
  これまで共通問題型の都立では、特に国語の対策というものは必要なかった思います。しかし、小学校の時から漢検を一切やってこなかった子が受験の時に漢字問題20点分の枠がほとんどとれないという事態がありました。漢検をやっていれば、3級ほとの力で8割はとれた問題です。高校受験では準2級をとっていればいいと思いますが、ただ受験の漢字専用の問題集ぐらいは1冊やっておくべきでしょう。都立の国語は大半が選択肢から選ぶ問題です。記述問題は200字問題が1題、それとほかに簡単な記述1題です。独自問題は国語のできる人ならたいていできます。ただ200字問題は深い読解が前提になければなかなか書けないでしょう。その意味で哲学的臭いのする本を読んでおくべきです。池田晶子の本がいいでしょう。あるいは直接過去問を読んで普段から「考える」ということが対策としてはいいかもしれません。世の中にある代表的な価値観を難度の高い論説文を通して勉強していくということです。そのためのノートを用意し、見たことも聞いたこともない言葉についてまとめていくのもいい対策になると思います。
 たとえば、「リベラル」とか、「形而上学」とか、「帰納的に」とか、様々な論理文に出てくる未知の言葉に惑わされないようにしておくことです。そのためにはやはり過去問をじっくりと読むのがいいでしょう。
 私立難関高校の読解文はセンター試験以上です。開成高校や早稲田は記述式が多く、問題は素直で解きやすいと思いますが、慶応高校は難しくて解けない問題が普通です。
 あなたたちは理科と社会の対策、英文解釈、数学とそれはそれはもうそれだけで手一杯の状態なのに、またここで国語の対策も必要だとされるとわたしは気の毒でしかたありません。一日の時間がいくらあっても足りませんね。
 さてどうしますか。決めるのはあなたです。
 ちなみに、中3の9月の模試で理科、社会悪くても80点以上、英語、数学、国語はもちろん90点以上をとれるかどうかです。いつやるの? 今でしょ。答は中3の9月に出る。そのことだけははっきりしています。

 
 
 今日の空
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