草枕

都立中高一貫校・都立高校トップ校 受験指導塾「竹の会」塾長のブログ
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私は部活は害だと思っている

2010年06月13日 08時31分59秒 | 
 学校の成績は, たいてい部活に夢中な子ほどよくない。そもそもかなり知能の高い子でも部活をやれば体力を消耗し勉強どころではないはずだ。塾で練習に疲れ果ててもの憂いしぐさを見ているとかなり絶望感が漂う。
 部活を疲れ切るまでやるようになると, まず普段の勉強は皆無になる。そのため特に勉強の継続が大きな意味をもつ英語や不断に整理と暗記が必要な社会, 理科といった科目の成績は後でいくらがんばっても回復し難い落ち込みを示す。特に, 英語という科目はどんなに知能が高くても回復できない(逆に, 知能は普通並みよりやや低くても夢中で英語をやってきた子というのは, 英語は伸びるばかりである。)
 かつてバレーボールやサッカー, 吹奏楽部といった練習のきつい部活の子たちが, どれほど高校入試で失敗していったことか, 枚挙に暇ない。
 かつての親たちには「うちの子は毎日7時まで練習があり, 空いている曜日がない」ということを言う親がいたが, それなら学校の成績が悪いことは当然のことと思っているのかと思うと, 成績をよくするために塾を探しているというのだ。私は無理は承知で引き受けては見たが, 案の定2か月ほどで潰れた。親も子も勉強よりも部活をとるという信念の強さがすごい。
 部活に熱心な親には高校入試を部活推薦でと考える人もいる。私の知る限りでは, よくて高輪くらいであったか。たいていそれほどいいところの推薦が簡単にとれることはない。よしんば推薦で入れたとしても, 高校も中学と同様のスポーツを続けなければならないという義務を課せられての入学はかなりストレスとなる。よく高校ではあれほどむちゅうだったスポーツを平気で止めて, 結局退学したという例もかなりある。
 勉強を犠牲にして, 親子共でやったはずの部活だったのに, 結果はかなりにいい加減なものである。親にどれほどの見識があって子どもの勉強放棄を認めて部活に熱中させたのか, いつも思う。
 普通に考えても, 土日を練習試合に明け暮れる子と, 理科をまとめ, 社会の教科書を読み, 英語の練習をする子との1年後, 2年後がどれほどの差になるのか, わかりそうなものである。
 中3になって, そろそろ受験勉強を始めなければいけないと思い塾を探す親や中3の6月頃には部活も引退となるのでそろそろ受験のための勉強をしなければと塾を探しているという親などがかつてはよく問い合わせをしてきたものだが, 唖然とするばかりである。
 部活で勉強してこなかった子たちの中には, 特に, 中3になっても, 3人称単数現在のSさえも知らない子というのがわんさかいるわけで, こういう子がどうやって50分という制限時間内で長文読解をし20問ほどの設問に正確に答えられるようになるのか, 考えてもわかりそうなもので, もはや受験云々の問題ではなく, 無試験つまり単願推薦で入れるところを見つけるしか道はないのである。
 単願で入れる高校といっても, 内申により, ランク付けがある。大学入試の実績もほとんどない高校が大半で, そういう高校に行けば, 高卒で社会に出るほかない。おそらくそういう子たちは大量にいるはずで, 社会にはフリーターつまりは事実上の無職の若者たちが溢れることになる。
 部活が, 勉強しないことの口実で, もともと勉強嫌いにすぎないとかなのに, 親も部活なら仕方ないと大義名分があるかのように子どもに振る舞う。いかにも不思議な思考様式である。
 かつて私の長男は中1に入学するとすぐにバスケ部に入った。小学時代ずっとバスケをやっていたからだ。ところが, 入学すると最初の土日から遠征試合の荷物運びに駆り出され, ほとんど勉強どころではない。それで私は「これでは目黒さえも入れない。このままでは受験なんかできっこない。」と妻に猛抗議した。それで1か月ほどでバスケを止めてもらい, 水曜日だけ練習という水泳部にしてもらった。中1の中間テストはガタガタでこれで部活を止めさせるという私の抗議を妻は認めざるをえなかった。それから長男は竹の会にきちんと通うようになり, 成績も次第に上向いてきた。中3の時には学年で10番内になった。なによりも勉強するくせがついたのがよかった。都立新宿に合格後も受験の時よりははるかに長く勉強していた。学校から帰ってくると部屋にこもり切りでずっと勉強していた。1年の後半には学年1番を2回ほどとった。長男の成績はそれからずっとトップ・クラスであり続けた。
 あのままバスケを続けていたらと考えると, ゾッとする。
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