ボクシングレヴュー

「TM」はタイトルマッチ、階級名につく「S」はスーパー、「L」はライトの略です。

ボクシング人気向上のために

2002年07月09日 | その他
昨今「ボクシングの人気向上を!」という声がファンの間でよく聞かれる。
しかし、どうすれば人気が回復するのか、僕には明確なアイディアがない。

「人気がない」という表現は、比較の対象が曖昧だ。K-1と比べて?
20年前のボクシング界と比べて? そもそも、人気って何だろう?
まあ確かに選手の名前も一般にそれほど知られているとは言えないし、
スポーツ紙やテレビのニュースでの扱いも小さい。
                
今の時代、「世界戦だから全国放送は当然」という姿勢は奢りでしかないと
思う。テレビ局にとっては所詮「ソフト」の一つに過ぎないのだ。
バラエティ番組と同じで、スタートは深夜から。そして人気の向上に伴って
ゴールデンタイムに進出、というのが正しいあり方の例だと思う。

ボクシングは色々な意味で不確定要因の多いソフトだ。仮にある世界王者の
ファンになったとしても、その試合が見られるのはせいぜい年3回、しかも
いつ行われるのかもはっきりしない。そして内容だって素人好みの「壮絶な
打撃戦」ばかりではなく、技術戦や凡戦だってあり得るし、せっかく2時間枠を
取っても1分で試合が終わる場合もある。あまりにリスクが大きすぎるのだ。

そもそもボクシングという競技自体、かなり好き嫌いが分かれるスポーツだと
思う。殴り合いや流血戦を毛嫌いする人もいるだろうし、だからと言って
おとなしい試合ばかりでもファンは増えない。

世界王座を3度も防衛すれば、立派なチャンピオンと言える。しかし3度では、
ようやく世間に名前を知られるようになった、という程度なのが実情だ。
もっと長く防衛するか、よほどインパクトの強い試合をしないと、すぐに
忘れ去られてしまう。構造上、安定した人気を得るのが非常に難しいスポーツ
なのだ。

つまり、世界王者になってから名を売っていたのでは遅い、ということになる。
その前から積極的にメディアに出て、「近い将来僕は世界チャンピオンになり
ますよ、覚えといてね」とアピールすることが必要だと思う。

ゴールデンタイムは言わば浮動票の時間帯だ。ただボクシングの能力が高い、
というだけでは人気を集めることは難しい。言い方は悪いが、下世話な共感を
呼ぶ話題作りも必要だろう。幼い頃に両親が離婚したとか、大怪我を克服した
とか、昔はすごい不良で親に迷惑をかけたが今はボクシング一筋、とか。

要するに幅広い人気を獲得するには、あえて泥を被るように、そういった
下らない策略に自らを巻き込まなければならないのだ。それをするもしないも
選手の自由だし、逆にそういったことを避けて人気者になろうというのは虫が
良すぎる話だ。

だから僕は、ボクシング界の現状は決して悪くないと思っている。畑山隆則の
ように、さかんにテレビに出て自分をアピールしたり、話題性のある試合を
上手に作り上げたりすれば、それなりの知名度が手に入るし、そういうことが
苦手な選手は、それなりの知名度しか得られない。ごく真っ当な理屈だ。

辰吉丈一郎のようなカリスマ性を持った選手が出てくるのは、ごくまれだ。
言ってみればそれは例外のようなものだ。カリスマを待つばかりではいけない。
やはり人気を得るためには、宣伝を上手にすることが大切だと思う。

それから、いつまでもテレビ局に頼っていてはいけないとも思う。これからは
恐らく日本でも、自分の見たい番組に直接お金を払うスタイルが主流になる
だろう。そうなれば、最も大事になるのは根強くボクシングを支持してくれる
ファン層である。「いい試合を組む」という基本的なことも決しておろそかに
してはならないのだ。


何だか全くまとまりのない文章になってしまった。