ボクシングレヴュー

「TM」はタイトルマッチ、階級名につく「S」はスーパー、「L」はライトの略です。

徳山、正念場の防衛戦

2001年09月23日 | その他
いよいよ明日(24日)、WBC世界スーパー・フライ級チャンピオン、
徳山昌守の3度目の防衛戦が行われる。相手は元王者で現在ランキング1位、
いわゆる指名挑戦者のジェリー・ペニャロサ(フィリピン)だ。

ペニャロサと言えば何と言っても、日本が誇るテクニシャンであった川島郭志
から判定でベルトを奪ったことで知られる。その頃の川島は視力が少し低下して
いてベストの状態ではなかったようだが、とにかく日本のボクシングファンの
間でも評価は非常に高い選手だ。テクニックと強打を併せ持ち、今年3月には
元世界王者の山口圭司を何と1ラウンドで粉砕している。

などと偉そうに語ってはいるが、実は僕は、先に挙げた2試合をいずれも
見ていない。なので本当のところ、ペニャロサがどういう選手なのかはよく
知らないのである。ただ戦績や周りの評判から考えるに、これといった欠点の
見当たらない、恐ろしく強い選手なのだろうと想像してしまう。

ところで、そのペニャロサが徳山戦を前に受けたインタビューの中で、興味深い
ことを語っている。「徳山は平均的なボクサーだ。特にスピードがあるわけでも
技巧があるわけでもなく、パワーがあるわけでもない」と。

実際、徳山はつかみどころのないボクサーだ。戦い方にこれといったパターンも
ないし、長身を利した勘の良いアウトボクサーであるということ以外には特徴も
挙げられない。前回の防衛戦では印象的なKO勝ちを収めたが、決して強打を
売りにしているわけでもない。

しかし実の所、その「つかみどころのなさ」こそが徳山の最大の武器なのだ。
一定のパターンに自分を縛ることなく、戦局に応じて臨機応変に戦い方を
変えることができる。実に頭のいい選手なのである。

ボクサーとしての個々の性能はペニャロサの方が上のような気がするが、その
「クレバーさ」では徳山に分があると思う。ペニャロサが有無を言わせず前進し、
徳山がその圧力に対処しきれないようだと早い回でのKO負けもありうるが、
逆にその圧力をうまくかわし、徳山に考える時間が与えられれば、ペニャロサを
空回りさせ続けての判定勝ち、という結果も考えられる。

しかし川島戦の例がある通り、ペニャロサも決して愚鈍なファイターではない。
だからこそこの両者の対戦は、お互いのコンディションや序盤の出方によって
様々な展開が起こり得るわけで、試合予想は非常に立てにくい。

いずれにせよペニャロサは強敵であり、徳山にとっては正念場であることだけは
間違いない。これをクリアできれば長期防衛、あるいはWBA同級王者である
セレス小林との統一戦などが現実のものとして見えてくるであろう。

いや~明日の試合、見るのが楽しみなような怖いような・・・。