043)古い町並み

農村でアンズの苗を植えて、陽高県の県城に帰ってきたときのことです。マイクロバスがやっと通れる狭い道路の両側に、崩れ落ちそうな建物が連なっています。冗談で「重要文化財だぞ!」といったんですけど、ほんとうに由緒がありそう。翌朝、ツアーのなかまには内緒で、写真を撮りに行きました。
 驚いたのは柱や梁をはじめ骨格が木造なんです。ずいぶん太い木が使われ、釘なんかを使わないで木組みによって建てられています。規模はずっと小さいけど、応県の木塔と同じです。そして窓には精巧な造りの木の格子戸が入っているんですよ。京都あたりにありそうな町並みです。
 招待所に帰って、県の幹部に話をききました。「南街」と呼ばれる明代の街で、5~6百年の歴史があるそう。さまざまな業種の商店、茶館などが軒を連ねていたようです。
「あのまま朽ちさせるのは惜しいよ」と私がいうと「修復保存の計画は何度もあったけど、経費の問題で行き詰まった」とのこと。
 大同は歴史名城ですから、市内には、大きな寺院をはじめ、たくさんの文物が残っています。それだけでなく、農村部の県にもこれほどのものがあるんです。歴史の面でも、中国は私の想像をはるかに超えています。
 そしてその時代までは、木の文化、木の技術がちゃんと成立していました。そう遠くないところに森林があったんでしょうね。
  (2004年5月25日号)
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