044)芽生え

 昨年の7月、大同県で豪雨があり、聚楽村では土石流で4人の死者が出ました。私たちの「カササギの森」でも、大は一抱え以上のポプラから、小はヤナギハグミ(沙棘)やヤナギなどのブッシュまでが流されてしまいました。年々緑が濃くなり、自然の公園のようになっていたのに、石と砂利の河川敷に戻ってしまったのです。
 ところが…、写真をみてください。今年の4月初め、そこにたくさんの芽がでていました。場所によっては、びっしりと、といっていいくらい。ポプラです。
 ここが裸地になったから発芽したんでしょう。でも今年はまだ花も咲いていません。ポプラの種の寿命は2~3週間だそうで、去年の春の種とも思えない。私が不思議そうな顔をしていると、遠田宏さんが話しかけてきました。
「覚えていませんか? 洪水の直後、ここにきたら、ときならぬ柳絮(ポプラやヤナギの種)が飛んでいたでしょう。あれがすぐに芽をだして、冬を越して生き残ったんですよ」
 そのポプラ苗は地上部は小さいんですけど、根は道具がないと掘れないくらい長く伸びています。それにしても、不思議ですね。夏の時期に柳絮が飛ぶなんて、めったにあることではないでしょう。まるで洪水でここが裸地になることを見越して、種を飛ばしたかのようです。
 砂に埋まったヤナギハグミやヤナギも新しい芽をだしています。自然の再生力ってすごいですね。
  (2004年6月5日号)
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