052)ノウサギの害

 ウサギというと、みなさん、可愛いとお思いでしょうが、植林の現場では泣かされるんですよ。協力活動を始めてすぐのころ、地元の幹部から「ノウサギとネズミの害が深刻だ」と告げられたのに、これといった解決策がないものですから「ウサギの分も植えておこう、ネズミの分も植えておこう」なんて答えたんです。そしたら、そのプロジェクトで80ha、6万本のアンズを全滅させられました。
 日本のノウサギは苗木の直径が1センチになると大丈夫だそうですが、ここでは5センチ以上のアンズも皮をかじられます。グルッとやられたら、枯れるしかないんですね。石灰にブタの血や脂をまぜて塗っておくと、ウサギはいやがるようですが、塗り残しがあるとそこをかじります。
 マツの苗にも深刻な被害がでます。春先、草の芽生える前がウサギにとってエサの不足する時期です。マツの青い葉に誘われて、刃物で切ったようにスパッと苗木をかみ切るんですけど、食べられはしないから、またつぎの苗にむかう。1ヘクタールに3300本も植えるマツに忌避剤を塗るのはムリです。小苗のほうが活着率もコストパフォーマンスもいいんですけど、ウサギの害のために、大苗に切り変えるところがあるほどです。
 ついにノウサギを捕えました。といってもカメラでのこと。目の前を走ることがあるんですけど、写真はムリでした。好運とデジカメのおかげです。
  (2004年9月5日号)
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